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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 21話から25話

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 それには、確かな理由が有る。
町の地下を流れていく、飯豊山系の豊かな伏流水が重要な役割をはたしている。
澄んだこの水が、酒造りと、美味しいラーメンの麺を生む。
「五百万石」や「京の華」。「華吹雪」など、酒造に適した米が盛んに
作られる。
これらの地元米をつかい、長年にわたる酒造りがおこなわれてきた。

 「喜多方の小原庄助さんの酒蔵には、200年余りの歴史があります。
 当主は代々、弥右衛門を名乗ります。
 当人で9代目。
 2000石の生産規模は、地酒のメーカーとして大手の部類に入ります。
 (1石はお米150kg相当。体積にして約180リットル)
 喜多方の小原庄助と、売り出し中の小春がたまたま、湯西川で行き会います。
 財力と面立ちに恵まれた若旦那と、小粋で女盛りの小春が恋に落ちるのに、
 それほど時間はかかりませんでした。
 愛し合うようになったものの、その後の2人に、厄介ばかりが
 つきまといます」

 「誰かが2人の仲を邪魔したのですか?
 それとも、庄助さんと小春姐さんは、道ならぬ恋をしたのですか?」

 「清子はもう、道ならぬ恋、などという言葉をしっているのですか。
 そうではありません。
 いくら自由な恋愛が許される時代とは言え、名門で大手酒蔵の御曹司と、
 売り出し中の芸妓の恋愛では、失うものが多すぎます」

 「失うものが多すぎると、男と女の仲は、うまくいかなくなるのですか?」

 「清子もそのうち恋をする。
 いちどだけじゃないよ。生きていれば、2度も3度も火傷しそうな恋をする。
 それが女の性(さが)さ。
 泣くのはたいてい女。いつの世でも、たいていはそういう結果になる。
 惚れるのはいいが、訳ありの男を好きになると、大抵は身を
 滅ぼす結果を招く。
 危険だとは分かっていても、女は、そんな男をすきになる。
 そう思うだろうミイシャ、メスのお前も。うふふ」

 ミイシャの柔らかな毛並みに顔を押し付けて、豆奴がうふふ笑う。
豆奴の白粉の匂いに、たまがすかさず反応する。

 『いいにおいだぜ、白粉の匂いは・・・
 ところでよぉ。一概に、女がひどい目にあうとは限らないぜ。
 最近は美魔女なんていう生き物や、妙齢の悪女どもが増えてきた。
 女は油断できない生き物だ。
 ミイシャだって、そのうちにどうなるか、わかったもんじゃねぇ』