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われらの! ライダー!(第四部)

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 罪なき動物に向かって本気は出しにくい、しかし大量の動物に群がられて、ライダーたちは苦戦を強いられる。

「あれは何?」
 遅れて到着したレディ9の目の前には、それは信じ難い光景……。
 しかし、セイコはすぐに事情を察知した。

「動物たちは操られているのよ!」
「ドゥーマンに?」
「直接的にはディズニーキャラクターによ!」
「もう! ドゥーマンって最低! 子供たちの夢を壊すような真似するんじゃないわよ! でも、あの三体を倒せば良いのね?」
「そうなんだけど、物理的な攻撃では倒せないわ」
「じゃ、どうすればいいの?」
「任せて!」

 
ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「ミッキー! あなた、一体全体どういうつもり? 答えによっては許しませんからね!」
「ドナルド! あなた、見損なったわよ! もうお付き合いしてあげないから!」
「トランプ! あなたはもっと誇り高いと思ってたわ、イヌは人間の最良の友って言われてるのよ! 人を襲わせるなんて最低!」

 セイコが式神の呪を掛けたのは、ミニー、ディジー、レディの三体。
 ミッキー、ドナルド、トランプは、それぞれ愛する彼女に詰め寄られてタジタジ……。

「馬鹿者! 何をたじろいでおるのだ! 相手は女だぞ、シャンとせんか! さっさと蹴散らせ!」
 ドゥーマンは地団駄を踏むが、そこはレディーファーストの国、アメリカ生まれのキャラクター達、それぞれの彼女には頭が上がらない。

「ごめんよ、ミニー、僕が悪かったよ」
「ぐゎぐゎぐゎぐゎぐゎぐゎぐゎぐゎ、ぐゎぐゎ~(ゆるしておくれよ、ディジー)」
「こんなことは、二度としないと誓うよ」
 ミッキー、ドナルド、トランプは腰砕け、動物達へのマインドコントロールも解けてしまう。

「今よ! レディ9、ドゥーマンに攻撃を!」
「わかったわ! この女性蔑視主義者! これでも食らいなさい!」
「うわっ! 何だ? 煙玉だと? こんな攻撃でワシが……ゲホゲホ、ハァ~クション」
「煙玉は煙玉でも、特製ハバネロペッパー入りよ!」
「ゲホゲホ、ハァ~クション……うう、咳にくしゃみ、涙も止まらぬ……くそぅ、早くこの場を離れねば……うおぅ! 痛い!」
「お気を付けあそばせ、足元は撒きびしだらけよ」
「く、くそう、かくなる上は……出でよ! わが最強の僕よ!」
 ドゥーマンはシンデレラ城の階段にたどり着くと、踊場に立って両腕を天に突き上げた。


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「あれは何! シンデレラ城の陰から巨大なコブラが!」
「蠱毒(コドク)よ!」
「蠱毒?」
「毒を持つ生き物を沢山壷の中に閉じ込めて、生き残った生き物に呪を掛けて僕にするの! 日本では大抵ムカデなんだけど……」


「なるほど、インドのローカル・ルールというわけか」
 動物達から解放されたライダーたちが、女性二人の後ろに立っていた。

「要するにあれは巨大化したコブラなんだな?」
「ええ、基本的には……でも死闘の末に生き残ったコブラだから、きっと毒は強くなってるわ、もしかしたら毒を飛ばしてくるかも……締め付ける力も強くなってると思う」
「つまり、それさえ気をつければ、物理的な攻撃で倒せると?」
「ええ、実体はあるわ」
「ならば我々に任せてくれ、君はかなり疲れているように見えるぞ」
「大丈……」
 最後まで言えずにセイコはふらついてしまい、レディ9に抱きとめられた、人形の呪返しの影響も残る上に、より強力な道力を持つドゥーマンに必死で対抗して来て、力を使い果たしかけているのだ。
「ここまで良く頑張ってくれた、おかげで助かったよ、君がいなければやられていたかも知れない、ありがとう、感謝するよ……ライダーマン! マッスル! 聞いただろう? あれは物理的攻撃で倒せるそうだ、行くぞ!」
「「おう!」」
 三人ライダーは巨大なコブラに向かって走り出した。
 

ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「レディ9、お皿を二枚、見つけてきてくれる?」
 セイコが僅かに残った気力をふり絞る。
「お皿?」
「大きくて真っ白なのが良いわ、それと油性マジックも」
 セイコは予想外のものを所望した。
 しかし、ここまでの活躍を見てきた限り、ちゃんとした意味があるのに違いない。
「わかったわ、すぐに戻る!」
 レディ9はクリスタルパレス・レストランに走った。


「おっと! 本当に毒を吐きやがる!」
「気をつけろ! 猛毒だぞ、舗装が溶けている!」
「忠告を聞いておいて良かったぜ、あんなの食らったらこの強化スーツでも危ねぇな」
「ここは私に任せてくれないか?」
「何か新兵器が? ライダーマン」
「ああ、多分有効だと思う、あの口さえ封じれば……」
「確かに」
「ライダー、私が弾を打ち込んだらヤツのアゴにキックを打ち込んで口を閉じさせてくれ」
「おう!」
「行くぞ!」
 ズバン!
 ライダーマンの右腕から発射された弾は、狙い違わず、巨大コブラの口の中へ。
「今だ! ライダー!」
「よしっ! とおっ! ライダー・キ~ック!」
 ライダーキックがアゴに命中すると、コブラは毒を吐こうとするが、口が開かない。
「ライダーマン、今のは?」
「特製アロンアルファ弾さ」
「ははぁ、なるほど」
「こうなりゃ、こっちのモンだ、むん!」
 マッスルが巨大コブラの尻尾を抱え、その巨体を扇風機のように振り回し始めた。


「これで良いの?」
「ミッキーのパンケーキ用のお皿ね、ばっちりよ」
 セイコは油性マジックで皿になにやら書き始める。


「ちいっ! しまった、シンデレラ城の塔を一本壊しちまった」
 マッスルが巨大コブラを投げ飛ばすと、シンデレラ城に命中、意外と石頭で、塔が一本倒れてしまったのだ。
「だが、相当に弱っているな、目も回しているようだ、ライダー! 今だ!」
「ああ! わかっている! とぉっ!」
 ライダーが空中高くジャンプした。


「レディ9、土遁の術は使える?」
「ええ、習得済み」
「出来るだけ深い穴をお願い!」
「了解!」


「ライダー! キック!」
 ドスーン!
「ああっ! わが最強の僕よ! しっかりしろ!」
 

「ドゥーマンは戦いに気を取られてる! 今のうちよ! これを出来るだけ土中深く埋めちゃって!」
 セイコが二枚の皿に向かい呪を唱えて、ぴったり合わせると、ドゥーマンがガクッと膝をつく。
「ま……まさか……あの術を?」
「そのまさかよ!」
 セイコが皿を穴に投げ込む。
「し……しまった、まさか『埋鎮の皿』の術も使えたとは……ふ、不覚……」
 

「毒ヘビはしっかり頭を潰しておかないと生き返るぜ」
 マッスルが倒れた塔を抱えて、巨大コブラの頭に振り落とすと、巨大な体に痙攣が走り、見る見る小さくなって行く。


「レディ9! 今よ! お皿を埋めちゃって!」
「わかった!」
 レディ9が印を結ぶと、深い穴はその痕跡も残さずに消えてなくなって行く。
「おのれ……安倍晴明の血筋の者……千年の時を超えてまたも敗れようとは……無念じゃ……」