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われらの! ライダー!(第四部)

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 晴子は両親と共にショッピングを楽しみ、両親と談笑しながら、父が予約してくれたレストランに向かっていた。
 と、突然、通りの背後から人々の悲鳴……。
 そちらを振り返って見ると、カラスの大群が人々を追っていたのだ。
「私の後ろに隠れていなさい」
 父は何かを察したらしく、妻と娘……弘子と晴子に命じると、通りの真ん中に進み出て仁王立ちになった。
「狙いは私だろう? アシャード・ドゥーマン! 無関係な人たちを巻き添えにするな!」
 そう言い放ったのだが、晴子にはなんのことやら……。
「おお、アベノ・セイコウ、そこにおったか」
 父の名は安倍晴宏……アベ・ハルヒロ、確かに晴宏はセイコウとも読めるが……アベノ・セイコウって一体どういうこと?
 晴子にはちんぷんかんぷんだったが、母には事情が飲み込めているようだ。
「晴子、お父さんの言うとおりになさい」
 晴子を包み込むように抱いてしゃがみこんだ。


「そのカラスは、式神の仕業だな?」
 アベノ・セイコウと呼ばれた父が、アシャード・ドゥーマンと対峙する。
「言わずと知れたことよ、一方的に攻めるばかりでは面白味がない、先祖の無念も晴れまいて……何をしておるのだ、反撃せぬのか?」
「貴様に言われるまでもない!」
 アベノ・セイコウが呪を唱えると、カラスが一羽飛来してセイコウの肩にとまる。
「ふむ、カラスを式神に選んだか、目には目をというわけだな? なるほど、空を飛べぬ犬猫では相手にならん、賢明な選択だが、カラス対カラスであれば道力の強さが勝敗を決するぞ」
「望む所だ」
「ならば、勝負だ!」
 ドーマンの式神、僕となったカラスが大群を率いて飛び立てば、セイコウの式神に選ばれたカラスもまた大群を率いて迎え撃つ。
 空中でカラスの大群同士の戦闘が繰り広げられた……が、平穏な日本で、陰陽師の末裔であることを伏せて静かに暮らしていたセイコウと、インドの山奥で道力を磨いて来たドゥーマン、その力の差は徐々に明らかになる。
 セイコウの式神がドゥーマンの式神に敗れると、セイコウのカラスの大群はクモの子を散らすように飛散してしまった。
「食らえ! セイコウ!」
 ドゥーマン操る大群がセイコウに向かい、セイコウはそれを迎え撃とうと呪を唱え始めたのだが……。
「何っ!」
「わははは、狙いは貴様と言った覚えはないぞ」
「卑怯な!」
「ふん! 戦いに綺麗ごとなど要らぬ! ぬるいわ!」

 ドゥーマンのカラスたちはセイコウを飛び越し、背後のハルコと母に群がったのだ。

「きゃーっ!」
「お父さん! 助けて!」
「うぬぅぅぅ……このままでは二人とも……」
 セイコウはポケットから人の形に切り出した紙を取り出し、妻子を振り返る……。
「弘子、すまない! 俺も一緒に逝く、許してくれ!」
 そう叫び、紙に息を吹きかけた……。


「え? 何? どうなったの?」
 晴子は突然鋭い嘴と真っ黒な羽の雲から解放された、そして、振り返ると、両親がカラスの群がられてもがいている。
「お父さん! お母さん!」
 晴子の必死の叫びも、カラスの大群が発するけたたましい鳴き声にかき消される。


 セイコウはとっさに自分と娘の体を入れ替えたのだ、娘を助けるべきか、妻を助けるべきか、苦渋の決断だった。


「わははは、馬鹿め、貴様自身が死んだら娘も助けられぬではないか、平和な暮らしが長すぎたようだな、判断力も鈍っていたと見える」
 勝ち誇ったドゥーマンの顔……晴子は悔し涙のスクリーンを通してその顔を脳裏に刻み込んだ。


「さて、小娘、次はお前だ、恨むなら無力な父を恨めよ」
 再びカラスの大群が晴子に襲いかかろうと飛び立った。
 その時だった、黒は黒でも、カラスではなく逞しい体が晴子を包み込んでカラスの鋭い嘴の攻撃から守ってくれ、別の黒いジャンプスーツが踊り出したかと思うと、右腕からロープフックを発射してドゥーマンを弾き飛ばした。
「ぐえっ! 何ヤツ! うぬぅ、貴様らが話に聞くライダーとライダーマンだな? まあ良い、目的は達した、無用な戦いをするつもりはない、ワシは消えるとするかの」
 そう言い残すと、ドゥーマンの姿は空気に溶け込むかのように消え去ってしまった。


 ライダーマンは倒れている晴宏と弘子に駆け寄るが、晴子に向き直ると残念そうに小さく首を振った……。


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!

 
 一度はショッカーに狙われた身、おやっさんの判断でしばらくは立花レーシングに匿われていた晴子だったが、自宅に戻ると、両親が居なくなったことが改めて身に沁みる……。


 一人ぼっちの寂しい夜、居間でぽつんとしていると、七色の衣を纏った少女が現れた。
 それは晴宏の式神、自分の身に何かあった時の事を考え、飼っていたインコに呪(しゅ)をかけて置いたのだ。
 少女は陰陽道の秘術を記した巻物のありかと、教えを請うべき人物……賀茂忠行の子孫の名前と居場所を晴子に告げると、元のインコに戻った。


 それから八年、自らを陰陽師の血筋の者、安倍清明の子孫と自覚した晴子は、来るべきアシャード・ドゥーマンとの対決に備えて、養護施設の職員として住み込みで働く傍ら、密かに陰陽道の修行に励んで来たのだった。


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「あの時に安部晴明の血を引くお前を消しておかなかったのは迂闊じゃったな、じゃが、所詮は小娘一人、何と言うこともないわ、食らえ! コチカメ波!」
 アシャード・ドゥーマンが気功波を放つと、晴子、いや、アベノ・セイコは空中に五茫星を描いて呪を唱えた。
「ぐあっ!」
 吹っ飛んだのはセイコではなくドゥーマン、セイコは五茫星でコチカメ波を弾き返したのだ。
「うむむ、思ったよりやりおる……ならばこれでどうだ、コチカメ波・北斗! アタタタタタタタタタタタタタタタタ!!!」
 コチカメ波の乱れ撃ちだ!
 しかし、セイコはさらに大きな五茫星を描き、背後のレディ9までも守る。
「うぐっ!」
 しかも、弾き返されたコチカメ波・北斗はドゥーマンの胸に七つの星まで描いてしまう。
「くっ……みくびったか……」
 ドゥーマンは膝をつき、上目遣いでセイコを睨む。


「ドゥーマン! そろそろ我々も反撃させてもらうぞ!」
 コチカメ波のダメージから回復した三人ライダーも立ち上がった。


「うぬぅ……ワシの力はコチカメ波だけではないぞ、目に物見せてくれる」
 そう言いながらも、ドゥーマンはちょうど通りがかったウエスタン・リバー鉄道に飛び移る。
「あ、逃げるか! 待て!」
 ライダーとマッスルも列車に飛び乗る、セイコとレディ9も飛び乗ろうとするが、ライダーマンがそれを制した。
「晴子ちゃん、助かった、しかし君を危険に晒すわけには行かない、レディ9、何があるかわからない、ここで晴子ちゃんを守ってくれ!」
 ライダーマンはそう言い残すと、ロープフックを飛ばして列車に引っ掛け、飛び移って行った。


「…………あっ! いけない!」
 僅かの間だが、記憶を辿っていたセイコが小さく叫ぶ。
「何? どうかした?」