われらの! ライダー!(第三部)
首長竜は恐竜と時期を同じくして絶滅したとされる巨大水棲爬虫類、その巨体と鋭い歯で、太古の海では食物連鎖の頂点に立っていたのだ。
「わはははは! 我々の調査でクッシーは実在するとわかったのでな、DaiGoNの特殊言語能力を駆使してクッシーを操ることに成功したのだ! まだ調教は完全ではないが、この際、四の五の言ってられん! DaiGoN、クッシーを上陸させろ、ライダーたちを食いちぎれ! 観光客どもを踏み潰せ!」
「ま、まずい! あんなのが上陸したら……」
「ライダー! 奴を食い止めよう!」
「ライダー! ライダーマン! 行ってくれ、DaiGoNがそっちにかかりきりなら俺はマスクをつけて戦える、こいつらなら俺一人で充分だ!」
「私だって前回までの私とは違うわ!」
「そうか! 頼むぞ! マッスル! レディ・ナイン、行こう! ライダーマン!」
「待て、ライダー、足場がなければ戦えないぞ」
「それもそうだ……あれか?」
「あれしかなさそうだな……君は何色がいい?」
ライダーとライダーマンはピンクのスワン型足こぎボートを力の限りこぐ!
脚力に秀でているライダーたちのこと、スワンボートは豪快な水しぶきを上げ、ぐんぐんと進んで猛り狂うクッシーの前へ!
多少足場が不安定ではあるものの、スワンボートは重量がある、ライダーはその屋根の上に仁王立ちだ!
「援護してくれ! ライダーマン!」
「わかった! 任せろ!」
「とぉっ! ライダーキック!」
「食らえ! 冷凍液ショット!」
ライダーマンが冷凍液を発射して首の動きを封じ、ライダーキックでダメージを加えようと言う作戦。
「しまった! 外したか!」
クッシーの首は自在にすばやく動く、冷凍液は狙いを外れ、ライダーキックは命中したものの、柔らかな首の動きにその威力は半減してしまう!
「うわっ!」
バシャーン!
クッシーの首が鞭のようにしなり湖面を叩く、その衝撃を受けてスワンボートはひっくり返った。
「いかん! 足場を失った!」
「また来るぞ!」
「うわっ!」
バシャーン!
ギリギリで避けたものの、ライダーたちに戦う術はなく、水中での動きはクッシーには到底及ばない、危うし! ライダー! 負けるな! ライダーマン!
ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!
「ホラホラホラ、動きが鈍いって言うんだよ! 成長してねぇな!」
「グハッ!」
「忍法、クモの巣網!」
「うわぁぁぁ」
一方、湖岸ではマッスルとレディ・ナインが大暴れしていた。
「ええい! 頼りにならん奴らだ、かくなる上は!」
マッスルたちの優勢で進んでいた戦闘だったが、地獄大使が自ら戦闘に加わると形勢は逆転した、マッスルも何発ものパンチ、キックを受けてうずくまることも……。
(あのコ……そうだわ!)
レディ・ナインは煙玉を投げつけて敵の目をくらませると、DaiGoNに駆け寄った!
「あ……近くで見るとより美しい……」
「ねえ、ちょっとクッシーを操るの、止めて貰えないかしら」
「そんなことを言われても困ります、地獄大使に怒られちゃいますから」
「ねぇ、お願い……」
DaiGoNに抱きつくレディ・ナイン、覆面をずらして、頬にチュッ……。
「あ、はひ、やめまふ……」
「ありがとう、でも、ごめんなさいね、ちょっとの間ねんねしてて……エイッ!」
腰砕けになったDaiGoNの延髄にチョップを食らわせると、DaiGoNはへなへなと膝をつき、ばたりと倒れた。
ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!
「どうなってる? クッシーが急に大人しくなったぞ」
「おそらく、マッスルかレディ・ナインがDaiGoNを封じてくれたんだ」
「おや? ライダーマン、あれはなんだろう?」
ライダーがクッシーの頭部に不審な機器を見つけた。
「おそらくあれでクッシーを操っていたんだ、DaiGoNの奇声を受信して脳に命令を送っていたんだろう」
「よし、俺のライダーキックで」
「いや、害がないのならクッシーは貴重な生物だ、これで充分だろう」
ライダーマンはロープアームを発射し、先端の鉄鉤でコントロール装置を破壊した。
「地獄大使も暴れているようだ、ライダー、岸に戻ろう! スワンボートを元に戻せるか?」
「よし! 任せろ!」
ライダーは湖に飛び込むと、スワンボートの屋根にキック一閃! 大きな水しぶきを上げてスワンボートは起き上がった。
「さすがだ、ライダー」
「さあ、岸に急ごう!」
再び豪快な水しぶきを上げてスワンボートは爆走する……。
ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!
「く、くそぅ」
「わははは、スーパー戦闘員には無敵でも、本物の改造人間である俺様には敵うまい、仮面ライダー・マッスルだと? 戦闘員崩れにこの俺様は倒せぬわ!」
マッスルの首には地獄大使の電磁鞭が巻きついている。
「この一撃で貴様は終わりだ! 死ねぃ!」
地獄大使が鞭に電磁波を流そうとした刹那、どこからともなく飛んできたクナイが鞭を真っ二つにした!
「な、何っ!」
「私のダーリンに何てことするの! このゴキブリ男!」
「ゴ、ゴキブリだと? よく見ろ! ファラオのマスクをモチーフに、キングコブラのエッセンスを加えてだな……」
(参考URL https://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%98%E3%81%94%E3%81%8F%E5%A4%A7%E4%BD%BF&newwindow=1&espv=2&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwi00qmlpffRAhUHUrwKHaxyBbwQ_AUICCgB&biw=1920&bih=925#imgrc=uGeNcYwBDn-2aM:)
「ゴキブリにしか見えないわっ!」
「ゆ、許さん!」
レディ・ナインに突進する地獄大使!
しかし、鞭から解放されたマッスルがその前に立ちはだかる!
「おっと、俺はこいつを一生守ると神様に誓ったんでね! 食らえ! マッスル・パンチ!」
「ぐえっ!」
逆上して冷静さを失っていた地獄大使は、そのパンチをまともに受けた、しかし、さすがは大幹部、二歩、三歩と後退しただけで踏みとどまる。
「ええい! 武士の情けだ、二人まとめて葬ってやるわ! 蓮の花の上でまた夫婦になれぃ!」
地獄大使は左手の鋼鉄の爪を振り上げる!
しかし、そこに緑色の一閃! 鋼鉄の爪は砕け散った!
「ぎゃぁぁぁ!」
クッシーとの戦いから戻ったライダーのハイキックが決まったのだ!
「お、憶えていろ! ライダー! そしてマッスル、貴様も決して許さんぞ!」
地獄大使は捨て台詞を残し、ノーマル戦闘員が運転するトラックの荷台に飛び乗って走り去った。
「くそぅ……サイクロン号があれば……」
悔しがるライダーの肩をライダーマンがポンと叩く。
「いいさ、クッシーを止められたんだ、あんな巨大な敵は初めてだ……それに、見ろ」
作品名:われらの! ライダー!(第三部) 作家名:ST