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われらの! ライダー!(第二部)

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2.友よ! ライダー!



(2016.08 お題:『煙草』、『落し物』、『家族写真』 オリジナル・ライダーは元ショッカー
の戦闘員、当然友人もいました、煙草は不使用です)


『友よ! ライダー!』


「出でよ! シューゾー!」
「シューゾー? テニスウエアにラケット……マツオカか?」
「別人だ(キッパリ)! 我々ショッカーの改造にかかれば火の玉サーブの持ち主なぞ、すぐに生み出せるのだ!」
「火の玉サーブだと?」
「百聞は一見にしかず! 文字通りの火の玉サーブよ! シューゾー! 見せてやれ!」
「あっ、シューゾーが炎に包まれて……私が心配すべきことではないが、彼はあれで大丈夫なのか?」
「ふん、この炎はシューゾーの内部から湧き出てくる炎よ、限りなく熱い改造人間、それがシューゾーなのだ! 焼け死ぬが良い、ライダー! やれっ! シューゾー!」
 バシッ!
 炎をまとったボールがレーザービームのようにライダーを襲う、あまりのスピードにライダーでもかわすのがやっとだ。
「うっ! ボールから焦げた臭いがする……しかし、地獄大使、火の玉というわりには火が消えているが?」
「なんだと? シューゾー、どういうことだ?」
「時速五百キロのサービスなので、風圧で火は消えますが?」
「そ、そうなのか? しかし、ボールは焦げているではないか」
「空気摩擦で焦げます」
「火はつかんのか?」
「八十キロくらいのサービスなら燃えたまま飛びますが……」
「それでは簡単に避けられるではないか! ええい! こうなったら体当たりだ! シューゾー! その燃えさかる炎の体でライダーに体当たりを食らわせるのだ!」
「はいっ!」
 シューゾー自身が火の玉となって走り出すと、ライダーマンが割って入った。
「ライダー、ここは私に任せてくれないか?」
「ライダーマン、スーツド戦闘員は片付いたのか?」
「ああ、マッスルが大暴れさ、彼一人で充分だ、だから加勢に来たのさ」
「対シューゾーの秘策でも?」
「ああ、新兵器を試すのにちょうど良い機会だ……食らえ! ウォーターガン!」
「ぎゃあ!」
「ああっ、シューゾーの炎が……消える……ええい! シューゾー、戦闘員ども! 退け、退くのだ!」


「何だったんだ、あれは……」
「あっけなかったな」
「それはそうと、ライダーマン、ウォーターガンとは?」
「まあ、平たく言えば水鉄砲さ」
「君が開発したのか?」
「本体はトイザらスで購入した、千九百八十円プラス消費税だったよ、まあ、少々改造はしたがね」
「千九百八十円プラス消費税で撃退される怪人か……ショッカーも堕ちたものだな」
「いや、しかし、いまやスーツド戦闘員がデフォルトだ、一点豪華主義から薄利多売へ方向転換が進んでいるのかもしれないぞ、今日はプチ改造プラス強化スーツの戦闘員もいたようだ」
「それはなかなか手ごわいな……マッスルと条件は同じじゃないか」
「いや、元々の筋力が優れているのに加えてプロレス技も使えるし、場外乱闘にも慣れていて臨機応変に戦える、マッスルは格闘の天才だよ、プチ改造スーツド戦闘員と言えども彼の敵ではないさ……おや? マッスル、どうしたんだ? ぼんやり立ち尽くしたりして」
「ああ、いや、なんでもない……」
「そうか? まあ、とにかくアジトに帰るとするか」


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「あなた、どうしました? 浮かない顔……、ショッカーは蹴散らしたんじゃなくて?」
「ちょっとこれを見てくれ」
「ロケットペンダント? 今時珍しいわね」
「写真が入ってるんだ」
「それはロケットですもの……あら? この写真……富樫さん?」
「そうなんだ、今日蹴散らした戦闘員の中にアイツもいたらしいんだ」
「このロケットはどこで?」
「戦いの後、現場に落ちているのを偶然見つけて拾ったんだ、アイツが肌身離さず身につけていた物だからすぐわかったんだよ」
「奥さんとお子さんも……」
「ああ、五つと三つの男の子がいるんだ……」

 富樫、それはマッスルがプチ改造を受けるか迷っていた時、居酒屋で相談に乗ってくれた、同期入隊の親友の名前だ。
 そして、彼は、マッスルがライダー側についた後も、こっそりショッカーの情報を流してくれたりしている……もしそれが発覚すればただでは済まないことを知りながら……。

「俺はアイツを殴り飛ばしていたのか……」
「それは仕方がないわ、覆面をしていたんでしょう?」
「ああ、しかし、今日は強化スーツに加えてプチ改造を受けたらしい戦闘員もいたんだ、多分あれが……訓練で何度も手合わせしているから、格闘の癖は知ってる、おや? とは思ったんだが……」
「富樫さんもプチ改造を?」
「ああ、俺がまだピンピンしているから副作用はないと思ったんだろう……」
「だとすると……」
「ああ、拙いな……」

 実は副作用はあったのだ。
 マッスルこと納谷剛は、プチ改造の注射を受けた後、ほぼ一カ月おきに原因不明の高熱に襲われていた、そしてその間隔は徐々に短くなり、正式にライダーチームに迎えられた頃には十日に一度の間隔になっていた。
 それを重く見たライダーマン・結城丈二が友人の医師と共に剛の血液を調べ、特効薬を作ってくれたのだ、それ以来高熱はぴたりと収まった。
 しかし、富樫がこのままショッカーに留まるならば……。


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 立花のおやっさんからの通信が入った。
「ライダー! ライダーマン! マッスル! ショッカーが現れた! すぐに出動してくれ!」
「「「了解!」」」
 三人はすぐにそれぞれのマシンに跨った。
「あなた! 待って! あたしも行きます!」
「志のぶ……お前はまだ格闘術の修行が……」
「ええ、まだ修行が終わっていないのはわかっています、でも、富樫さんを救い出さないと」
「そうか……わかった! 乗れ!」
 剛と志のぶを乗せたGO-ON号は、先に出たサイクロン号とライダーマン・マシンの後を追った。


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「わはははは、待っていたぞ、ライダー!」
 丘の上には死神博士。
「お? 死神博士か! 随分と久しぶりだな、地獄大使はどうした?」
「シューゾーの出来があまりに悪かったんで、首領様の怒りを買って謹慎中だ、ふふふ、ワシが筆頭大幹部に返り咲く番だ」
「なんだか情けない交代劇だな……」
「何とでもほざくが良い、出でよ! プチ改造スーツド戦闘員ども!」
 死神博士の背後から五人のプチ改造スーツド戦闘員……面倒なので以下スーパー戦闘員と略……が進み出て姿を現す、それを見たライダーマンとマッスルは苦りきった顔……そしてマッスルが叫ぶ。
「おい! お前ら! プチ改造薬には副作用があるぞ、俺は治療を受けたから大丈夫だが、お前らはどうなんだ?」
 しかし、プチ改造戦闘員は改造注射を受けたばかり、まだ筋力増強以外には何の自覚症状もない、しかし唯一の経験者がああ言っていると言う事は……動揺が広がる。