傷痕と絆創膏
第五章絆創膏
傷を覆う
瘡蓋
長い
年月
費やした
日々
傷を
舐め合う
愛など
求めては
いない
傷ついた
傷痕を
優しく
包み込む
絆創膏
傷みから
解放される
安らぎ
一瞬
揺らぐ
心
塞がれた
傷痕
絆創膏を
捲いた
女
愛の象徴に
眼が眩む
過ぎゆく
月日
剥がれる
絆創膏
化膿した傷痕が
腐敗臭を
放つ
醜く
爛れた
傷痕を隠し
女が
気づくのを
待ち侘びる
絆創膏を
捲いた事さえ
記憶から
削除され
傷痕にすら
興味を失い
身勝手な
愛へと
摩り替わる
長い年月
時を経て
積み重ねた
瘡蓋
絆創膏に
覆われ
瘡蓋が
湿り
傷痕を
穢す
二度と
捲かれる事のない
絆創膏
一度限り
惰弱的な愛だと
悟る