赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 16話から20話
赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (17)
たまが迷子になったわけ
うたたね寝から目覚めたたまが、清子の胸元をよじ登っていく。
清子も同じように、後部座席でうたた寝をしている。
それほど今日の日差しは、心地よい。
いつものように清子の懐の中へ、たまがゴソゴソと潜り込む。
ここがいつもの定番の席。
外へ出て迷子になるたび、帰りはいつも決まって、清子の懐の中。
『やっぱりここが一番落ち着くぜ』指定席におさまったたまが、
ヒョイと顔を出す。
その瞬間。清子の膝で目を覚ましたミイシャと、目が合う。
『なにやってんの、あんた』
『上がってこいよ。暖かいぜ』たまが目で、ミイシャを誘う。
爪を立てすぎないよう注意しながら、細身のミイシャが清子の着物を
ゆっくりした足取りでよじ登っていく。
『いくらなんでもいっしょは無理だ。お前は反対側へ潜り込め。
2人じゃさすがに狭いものがある』とたまが笑う。
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 16話から20話 作家名:落合順平