赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 16話から20話
「あら。さすがは酒豪のお国。
3人目がいちばん、小原庄助さんに近いかしら。
でも久五郎さんでは、お名前が違います・・・
結局、どなたが小原庄助さんなのか、決め手に欠けますねぇ」
「諸説がありどれが本物か、決め手はありません。
でもね。どの庄助さんが本物であれ、庶民のなかに人物のイメージが
歌を通して出来あがっているのは事実。
こよなく酒を愛し、おおらかに人を愛し、誰からも好かれる好人物、
それが歌に出てくる小原庄助さんです。
身上をつぶしたからといって、暗いイメージは全くありません。
人を信じてやまない愛すべき飲兵衛、それが会津の小原庄助さんなのです。
良い水、良い米、良い技、そして酒を愛する良い飲み手がいて、
初めて良いお酒が生まれるのです。
美味しい酒を育てる飲み手側の代表が、まさに会津の小原庄助さん。
会津の酒がいまこうして脈々と在るのも、やはり
小原庄助さんがいたからこそ。
そしてその心意気は、いまもこうして会津の地に息づいています」
「そうだよねぇ。未来があったというのに
あえて、好き好んで身上をつぶしたのは、小春の方だものねぇ」
春奴母さんが、2人の背後でポツリとつぶやく。
『粋な歌さ、磐梯山は。まるで、小春の人生そのものなんだ』
と笑って見せる。
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 16話から20話 作家名:落合順平