赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 16話から20話
「会津地方で歌い継いでいる正調の会津磐梯山は、162番まである、
とても長い唄です。
あいだにときどきに都都逸(どどいつ)なども織り込まれている。
粋で艶っぽくて、セクシーだよ。
♪ 色で泣かされ 味でも泣かせ
罪なものじゃよ エーまた唐辛子
なんてのもあるし、そうかと思えば、
♪ 浅い川なら 腰までまくり
深くなるほど エーまた帯を解く
♪ 俺と行かぬか あの山越えて
落ち葉布団で エーまた寝てみたい
なんて一節もある。
いまでは忘れられてしまった若い男女の出会いの場が、
地方の盆踊りの中に、まだ有った頃の歌さ。
とはいえ清子にまだ、男女のことは全然わからないと
思いますがねぇ・・・・」
春奴母さんと豆奴姉さんが、顔を見合わせて笑いはじめる。
『そうだよなぁ。オイラも、難しすぎてよくはわからねぇもの・・・』
と、たまも、小首をかしげている
(21)へ、つづく
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 16話から20話 作家名:落合順平