赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 16話から20話
赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (20)
小原庄助のモデル
「へぇぇ・・・小原庄助さんは、実在していたのですか!」
磐梯山を見上げていた清子が、豆奴を振り返る。
深い眠りの中に居たたまも、豆奴の懐で目をさます。
『清子の胸の匂いもいいが、たまには年増の胸もいいもんだ。
なんでぇ、何かと思えば呑んべェの話かよ。そんなもの、おいらは
まったく興味ねぇぞ』
フニャァと大きな欠伸をする。
(最初から、お前さまは仲間に入っておりませぬ。いいから黙って寝ておいで。
この、やんちゃ坊主)
うふふと清子が、たまの黒い鼻先をツンツンとつつく。
「全国に知られている会津磐梯山の元歌は、玄如節(げんじょぶし)。
玄如というのは、天寧寺のお坊さんのことです。
玄如は会津でも評判の美男子。
水をくみに寺から山すそまで降りてきた玄如を、一目見ようと
女性達が集まる。
でも霧が濃くなり、玄如の姿を隠してしまいます。
昭和10年。小唄勝太郎がレコードを出します。
このとき。「おはら庄助さん なんで身上つぶした・・・」
のおはやしがつきました。
それが全国的に広まり、有名な民謡になりました。
有名人でありながら、実体がよく分からない不思議な人物、
それが会津の小原庄助さんです」
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 16話から20話 作家名:落合順平