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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 16話から20話

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 「なんですか。魔がさすって?」

 「こころに魔が差すのです。
 心の隙間に、突然、思いもよらない悪い考えが起きることです。
 『悪魔が囁やく』とか、『つい誘惑に負けた』なども同じ意味です。
 突然の運命的な出会いが、小春を狂わせたの。
 当の本人はそんな風には思っていないでしょうが、結果として、
 誰が見てもそうなったの」


 「というと小春姉さんは魔がさして、人の道を踏み外してしまったのですか?」


 「その反対。まるっきり逆の立場なの。
 道を踏み外したのは、造り酒屋の若旦那。
 道楽が好きで、ノンベェの造り酒屋の跡取り息子を好きになってしまった
 小春が、世話を焼き始めたのが事のはじまり。
 もう一度酒蔵の仕事につかせるため、いろいろと陰で骨をおったのさ。
 子細を教えてあげるから、こっちへおいで。清子」


 たまを抱いた豆奴がガラス戸を開けて、ベランダへ出ていく。
後について清子もベランダへ出る。
銀色に輝く水面の上に、会津の象徴でもある磐梯山が、悠々とそびえている。
磐梯山は、猪苗代湖の北にそびえる活火山。

 
 「会津といえば、猪苗代湖と、活火山の磐梯山。
 民謡の会津磐梯山は、このあたり一帯を歌ったものといわれています。
 
 ♪小原庄助さん、なんで身上つぶした?
  朝寝朝酒朝湯が大好きで、それで身上つぶした、
   あ~もっともだぁ、もっともだぁ♪
 という合いの手の入る、全国的に有名な歌さ。
 知っているだろうお前も?。それくらいは」

 
 「(エンヤー)会津磐梯山は宝の(コリャ)山よ。
 笹に黄金が(エーマタ)なりさがる・・・という、歌でしょう。
 知っています私も。それくらいなら」