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銀の錬時術師と黒い狼_魔の島

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 リンの微笑みがレギウスの硬くしこった心を解きほぐしていく。その解放感がたまらなく気持ちよかった。
「わたしはあなたに出会えてよかったと思ってます。これはわたしの本心です」
「十中八九、月の女神が仕組んだ出会いだろうけどな」
「たとえそうであっても、わたしの気持ちは変わりません」
「おれは欠点だらけの男だ」
「そうですね。わたしをがっかりさせてくれましたし」
「まだ言うか?」
「そんなに簡単に忘れられることじゃありませんよ?」
「じゃあ、おれが今夜、きれいさっぱり忘れさせてやる」
 レギウスが両手の指をワサワサとうごめかすと、とたんにリンはポッと頬を赤らめた。そんな反応がおもしろい。もっとからかいたくなってくる。
「あの……レギウス」
「あん?」
 ワサワサ、ワサワサ。
 リンは肩を縮めて、ますます赤面する。
「お願いしたいことがあるんですが……」
「なんだよ? 言ってみろ」
「船のなかで食べたいので、お土産を頼んでもいいですか?」
「……おまえの好きにしろよ」