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銀の錬時術師と黒い狼_魔の島

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 レギウスは神妙な顔つきのリンを見上げる。走ったせいでリンも汗をかいていた。薄い生地が肌に張りつき、地肌が透けている。思わず、深く切れこんだ彼女の胸元に視線が吸いつく。
 食い入るように見つめていると、リンがレギウスの目つきに気づいた。自分を見下ろし、たちまち頬を紅潮させる。
 両腕で胸を隠そうとするリンに、レギウスが軽い調子で、
「いまさら隠してもしかたねえだろ?」
 リンがまなじりをつりあげてレギウスをにらむ。
「ときと場所を考えてください!」
「じゃあ、ときと場所がふさわしければ問題ねえってことだよな?」
 リンが低い声でうなる。レギウスは笑う。笑う余裕ができた。リンは笑う気になれないようだ。腕のなかに豊かなふたつの半球を抱えこんだまま、まだ唇をとがらしている。
 なおもレギウスがリンをからかおうとすると、どこからともなく白い影が虚空の隙間から立ち現れた。
 白い少女。いままで姿の見えなかった、〈破鏡の道〉の案内人だ。
 表情のない氷河の色をした瞳がふたりをからめとった。リン、次にレギウスを見やって、十歳前後の少女の容姿そのままに、遊びに飽きた子供みたいにプイと背を向け、ゆっくりと歩きだす。
 レギウスはため息をついた。立ちあがる。酷使した全身の筋肉が痛みとなって抗議の声をあげる。背中を伝う冷たい汗の感触がたまらなく不快だった。
「……休憩は終わりだな」
 リンが肩をすくめる。深く切れこんだ胸元の襟をつまんでパタパタと風を送る。胸の谷間に汗の粒が吸いこまれていった。
「行きましょう。その前に、レギウス……」
「あん?」
「わたしの前を歩いてください」
「なんでだよ?」
「わたしが前にいるとレギウスはいろいろと気にかかるようですからね。その状態では動きにくいんじゃないんですか?」
 リンは目でレギウスの腰の下を示す。
「へ?」
 視線を落として、納得した。
 レギウスの股間は自分でも気づかないうちにまたもや膨満していた。