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ヒトサシユビの森 3ナカユビ

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建設当初から関わっていて細部の造作は知り尽くしているということから、道の駅とショッピングセンターの捜索は亮太が受けもった。
建物を夜間警備する警備会社の警備員たちと工事期間を通じて顔見知りになっていたこともあって、いぶきの捜索を邪魔されるようなことはなかった。
迷子の子どもを発見しながら保護できなかった後ろめたさがあるのか、むしろ監視カメラが死角になる場所や設置されていない区域に入りこんでいないか、より注意を払って巡回すると、積極的な協力を亮太に申し出た。
かざねはミニローバーを走らせて、周辺を捜した。
街区を形成している区域は広くない。数分走っただけで、街灯もない暗い夜道に行きあたる。ヘッドライトをハイビームにして遠くの夜道を照らすが、誰ひとり歩いている者の姿は見えない。
そんな暗がりの道を幾筋も幾筋も、かざねは走り続けた。
夜が深くなり寒さが増していく中、亮太とかざねはいぶきを懸命に捜し続けた。
しかしいぶきの姿どころか手がかりひとつ浮かんでこなかった。そして東の山の稜線がぼんやり白み始めた頃、かざねは最後に石束駅を訪ねた。
石束駅は道の駅の徒歩圏内にある。さほど乗り物に興味を示すいぶきではなかったが、ひとりで列車に乗った可能性もなくはない。
列車内かもしくは降車した駅舎内で保護されることも考えられた。だが、駅員の話では、その手の報告は皆無であった。
星がひとつ、またひとつと消えていく夜明け時分だった。かざねは道の駅前の路肩に静かにミニローバーを寄せた。
道端に亮太が立っていた。かざねと目を合わせた亮太は、うなだれた首を横に振った。