赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 11話から15話
赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (15)
(15)ミイシャの憂鬱
「どうした。いつもの笑顔がないぜ?」
いつもの時間。いつものように置屋の2階へやって来たミイシャに
いつもの笑顔がない。顔がこわばったままだ。
『どうしたんだよ。おまえさんらしくないぜ』たまの問いかけに、
ミイシャが小さくうなだれる。
伏し目のミイシャの目線の先に、ピンクのカーテンがぴたりと閉ざされた
少女の部屋が見える。
「具合が悪いのか。ひよっとして、入院したのか?」
「長くなりそうですって。今回は。
女の子のお母さんが、オロオロしながら、あちこちに電話をかけているもの」
「そうか。大変だなぁ。心臓の病気というやつは・・・・」
「100人にひとり。
生まれたときから、心臓に何らかの異常のある人が居るそうです。
中には、自然に治ってしまう軽度の人もいます。
でもね。たいていは手術をしなければ治らないそうです。
弱い心臓に余計な負担をかけないよう、日常生活も制限するんだって。
あの子のように」
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 11話から15話 作家名:落合順平