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2020.5.13「和音占い師Sayokoのライブ」にて

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私がいないこんな夜
C Don’t Say goodbye ai
行かないで 行かないで 行かないで
あなたがいないこんな夜


リナや周りの女性は歌詞の世界に入り込み、「行かないで 行かないで 行かないで」
の強い感情のリフレインに女性のすすり泣く声が多く聞こえた。

僕自身はこの2曲の歌詞の内容は全く頭に入っていなかった。
しかしこの歌い方は日本のベテランシャンソン歌手の越路吹雪の歌い方や、まくし立てる
歌詞の語りに近いのでは?と漠然と思った。
この2曲で完全にSayokoの歌の世界は客の心を鷲掴みした瞬間を見た気がする。

曲が終わると、拍手のあとに少し沈黙があり、アップテンポのジャズ風のインストルメンタルを「Doubtダウト」引き出した。
「おおー!」男性が歓声を上げた、女性も拍手で迎えた。
この曲は去年の作品のラストの人気盛り上がり曲とパンフレットに書いてある。
この曲は意外と長かった。客は満足そうに手拍子を打ち歌詞を歌った。

このライブでは、彼女はずっとピアノから指を離さず音を出し続けていた。

今度は少し感情的に、彼女は喋りだした。

語りMC

私は必ずライブの日に、今日の和音占いをして私とあなたの2つの未来を見て来ます。
そして今日は変える未来のチェンジと出ました。
何か古い事やマンネリな事に変えて、新しい事にトライやチャレンジをしましょう!
今がその時、物事には素敵なタイミングって必要ですね。
今日初めてライブに来てくれたあなたは、必然的に私に会えて、新しい事にチャレンジしましたよね。
タイムマシンはまだ発表されていません。便利そうだけど発明されたら、間違いなく悪用されます。
それだから過去や未来や運命はけして変える事は出来ませんが、和音占いを道しるべとして見える未来を選んで現在から歩き出す事は出来ます。そこまでが人間の能力の限界です。
2曲どうぞ。

僕笑いながらは「何をおっしゃるSayokoさん!」と思いながらも、もし本当に占いで見える2つの未来をチョイスして良い方に進めたら大きな失敗はないよな。などとも考えた。
そう言えば母親の観ていた、韓流の時代劇を思い出すと、将軍や帝王は戦の前に風水師などに重要な相談をして意見を真剣に聞いているいるシーンがよく出てきたのを思い出した。

「やっぱり占いって歴史が有って凄いモノなのかも?でもそんな物、僕自身は半信半疑でもいいよな、関係ないよな」と、無意味に自分に言い聞かせた。

歌の7曲目「2つの未来」
歌詞

A 右か左か コインの裏表
出会うか別れるか 生きるか死ぬか
毎日いつも そんな選択ばかり
YesかNoか いつもNoが言えない
すべてYesから始めたいとは思う

B もしも未来が見えるなら
当然良い道を選ぶはず

C 当たり!の昨日を 更に明日に再生して
今日を変えられたら 導けられるのなら
2つの未来の道しるべ 選ぶのはあなた

A 私か彼女か あなたか彼か
進むか止まるか 愛か無視か
私もあなたも 選択する時が来るかも
そんな事はない方が良い

B Ηello? それとも Goodby?
できればHelloを言いたい

C 正解!の昨日を 更に明日に再生して
今日を変えられたら 導けられるのなら
2つの未来の道しるべ 選ぶのは私



「心の中のサイレンス」
歌の7曲目

歌詞

A 果てしなく広い 宇宙の彼方に飛ばしてみる
あなたへの想いを流れ星に乗せて
恋に焦がれて 宇宙に憧れて送ってみる
あなたに届くように

B 見えない翼広げて 大空舞い上がると
心の樹海の中 何か聞こえる

C 私からのシグナル
繰り返す波のように
あなたの中のサイレンス 鳴り止む事はない
この胸に光が注ぎ込むように
Lucky Star &Lucky Day

D 移り行く時の流れ 巡りゆく星の流れ
すれ違う人の匂い 会えるのはあなた

A 果てしなく広い 宇宙に光よりも早い願いを送る
あなたへ確実に届く方法

C あなたからのシグナル
繰り返す波のように
あなたの中のサイレンス 止めど無く続く
あなたからのシグナル
降り続く雪のように
あなたの中のサイレンス 鳴り止む事はない
この胸に光が注ぎ込むように
Lucky Star &Lucky Day

D 移り行く時の流れ 巡りゆく星の流れ
すれ違う人の匂い 会えるのは私


MCで話した内容の詩の世界だった。和音占いの宣伝のような曲と分かってはいても、
心理学や哲学的なキレのある単語を並べた歌詞は70年代のプログレッシブロックに十分匹敵する説得力とポリシーが全面に出ていた。
詩の文章にも力があり、占いのファンにはたまらなく勇気が出そうな歌詞だった。
歌い方も地声がメインになり、いつの間にか力強い歌い方にどんどん変わっていった。

「ブライト」を聴いて下さい。
彼女はインストルメンタルのタイトルを言った。
場内は特に男性が盛り上がって、歓声を上げた。
これは黒子との激しいアドリブや掛け合いがある定番らしい。

ところが、ちょっと間があって黒子がSayokoに何やら指で5、3,4などサインを
送っていた。彼女は首を横に振り、次のサインを待ち、5,2,3のサインも首を振った。
5.3.1黒子のサイドのサインに彼女は真剣な顔で2度頷いた。
ほんの数秒ではあったが、真剣勝負の野球のピッチャーとキャッチャーのようなやり取りを見た感じで、野球ファンなら面白さに気づくシーンだった。

アップテンポのシャッフルのリズムの中で、手拍子に合わせアドリブ大会が始まった。
黒子がリズムを即興で作り、彼女はそれに合わせピアノを弾いた。
彼女がメロディやリフを弾き、黒子がリズムパーカッションでそれに応える。
黒子がソロで叩いている時、Sayokoは両腕をピアノの上に置き、首を縦に振り目をつむって聴いていた。
お互いにあおったり合わせたり、もたったり、突っ込んだり、見事に息が合っていた。
途中、裏リズムの掛け合いでSayokoは「Ah、Ah、Ah、Ahー!」と叫ぶフレーズがあり、
見方を変えると、悶えるシーンのようで、やたらに官能的だった記憶がある。
難関なブレイクや変拍子も入り、客の手拍子が一瞬、合わなくなると、いつの間にかわかりやすいフレーズに戻り、いつの間にか不思議に手拍子と合っていた。
ピアノのグリッサンドを多用して、
「バンバ、バンバンバン!」決めたフレーズをキッチリ決めて終わった。

観客は「オー!すげー!ブラボー」と叫び、
「うまい!」思わず僕は言ってしまった。
もう一つ、このアドリブ大会の途中でハッと、ある事に気がついた。

このライブは照明のライトの赤や青、緑や黄色やフラッシュなど色物照明効果やスモークなどは一切使っていない事だった。
普通のライブは曲の雰囲気に合わせてライブハウスのスタッフが適当に機械で操作する。
白いライト、スポットライトのみで、ステージには」白いドレスのSayokoと白いグランドピアノ、白と黒の鍵盤、黒い衣装の黒子と黒のパーカッション。
徹底して、色が白と黒しかステージに存在しない演出だった。

場内は拍手で湧きどよめきもあった。外国人はブラボーブラボーと吠えた。