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尖閣~防人の末裔たち

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ファイナル。。。最終進入中ということは、普通の空港で言えば、滑走路に向かって、まっすぐ慎重に着陸態勢に入っている状況だ。US-2のような飛行艇も同じだろう。しかもあの機体は飛行艇なだけに動きは鈍いはずだ。今がいちばん危ない。中国軍戦闘機に妨害されたら危険だ。皆川は、そう考えると。急にUS-2が心配になった。
「「いそゆき」こちらTida-03。そのUS-2の位置を。。。当機からの位置を教えてください。」
皆川のダミ声がイヤホンに響く。そういうことか、大谷は納得した。今、US-2が狙われたら助かる命も助からない。下手をすると、US-2の乗員にも危険が及ぶ。
「Tida-03、こちら「いそゆき」え~。貴機の3時の方向。高度500フィート(150m)」
「了解。」
皆川と大谷は3時の方向、即ち右真横の海面を注視する。しばらく間が空いて、
「いたっ!」
指を指しながら大谷が叫んだ。まもなく皆川も確認して頷いた。US-2独特の濃い青い塗装のお陰で見失いそうになる。
「こちらTida-03タリホー(目視で確認)。近いですね。」
皆川がマイクに吹き込むのが聞こえる。
あと少しだ。頑張れ。大谷が拳を握った。見失わないように海にとけ込みそうな塗装のUS-2を凝視する。その視界を一瞬小さな明灰色の物体が横切る。大谷が目を凝らすと、その明灰色がSu-33であることが分かった。先ほど左に急旋回して行った機体だろう。こともあろうに真っ直ぐにUS-2を目指して飛行している。
「皆川さん、ヤバイっす!あれっ!スホーイ(Su-33)がUS-2に向かってますっ!」
大谷が皆川に叫び、指さしている。
「何をしやがるっ!」
皆川は唸り声をあげると、スロットルを全開にして機首を下げる。P-3C、Tida-03のエンジンが吠え、プロペラ機とは思えない加速感がコックピットを襲う。Tida-03は自らのエンジンパワーと、降下による重力加速で一気に速度を上げると、US-2、Seagull-02に向かって突進していった。


作品名:尖閣~防人の末裔たち 作家名:篠塚飛樹