尖閣~防人の末裔たち
目標;魚釣島領海を侵犯中の中国艦隊
攻撃手段;ハープーン
攻撃方法;斉射
」
以上だ。」
斉射とは、一斉射撃のことである。「あさゆき」の場合、ハープーンの発射筒は、4本1組でそれが2組搭載されている。異常がなければ一度に8発は発射できるということだった。
侵攻を目的としている中国艦隊に威嚇のために1発打ち込むといった脅しは通用しない。反撃を許すことは、即ち「あさゆき」の死を意味する。それが現代戦だ。そして古来から変わらないこともある、それは守りに徹するということは攻めることの10倍難しいということだ。ここにいる男達はそれを最前線で味わってきた。苦渋と緊張に苛まれながら。。。それが今解放される。最良のシチュエーションで。。。
この状況を噛みしめるように目を閉じて味わっていた河田の耳に、肯定的なあらゆる種類の声が雄叫びのように渦巻いている。その声に混じってきびきびと返される復唱が間違いなく終わるのを確認した河田は、目を見開き、布張りの部屋を見回す。その様子に、一同静まりかえってそれぞれが河田の次の行動を受け入れる準備をする。
「諸君。今、この時から日本は、真に独立国家として生まれ変わる。当たり前に国を守ることができる独立国となるのだ。」
胸の前に作った握り拳を揺らしながら力強く宣言する河田が言葉を終えると、誰からというでもなく万歳三唱が湧き起こった。
作品名:尖閣~防人の末裔たち 作家名:篠塚飛樹