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尖閣~防人の末裔たち

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「機長、石垣基地からです。」
了解。
 返事をした浜田は、無線操作パネルでチャンネルを石垣基地の周波数に合わせた。
 今までにない険しい表情で淡々と返事する浜田にいつのまにか全員が注目していた。
「了解、出動時間変更。待機します。エンジン始動は0740。以上」
 通信を終えた浜田は、外に出ると、スライドドアを開け放ったキャビンにあぐらをかいて座った。副操縦士席の加藤もそれにならう。キャビンの磯原と機上整備士の土屋もあぐらをかいて車座になった。
「命令が変更になった。緊急事態だ。」
浜田は、それだけ言うと、聞く準備ができているか1人ずつクルーを目を確認していく、
「魚釣島に何者かが上陸し、建物を建てた。日の丸を掲げているので侵入者は、恐らく日本人。人数は今のところ6名が確認されている。しかも武装している可能性がある。詳細は不明で、今離陸する「きんばと2号」の情報次第だそうだ。」
 一同が固唾を飲む音が聞こえそうな沈黙が訪れる。それを引き裂くように、「きんばと2号」が甲高い音にターボプロップ特有の低くて太い音を響かせながら滑走路を全力疾走して離陸していった。
浜田は、「きんばと2号」が上昇して車輪を格納するのを目で追った後、視線をクルーに戻して言葉を続けた。
「俺達は、離陸時間を0700から0745に変更し、完全武装の特警隊(特別警備隊)6名を乗せて離陸する。俺達の荷物は客人の邪魔にならないように隅に寄せておこう。
エンジンスタートは0740。
昇護の仇討ちだ。気張って行こうぜ。以上」
浜田の掛け声に全員が「おう!」と声を合わせた。その声がコンクリートの照り返しが熱くなり始めた石垣のエプロン(駐機場)に勇ましく響いた。

作品名:尖閣~防人の末裔たち 作家名:篠塚飛樹