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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 1話~5話

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 和服の色に合わせて赤、黄、青、緑、桃色、水色、紫などの、
半襟が用意されている。
原則として赤襟は、少女向けとされている。
既婚女性は赤や、それに近い色は避けたほうが無難とされている。

 花柳界には『襟替え』のしきたりがある。
少女がつける赤い半襟。これは「半人前」を意味する。
白い半襟へ掛け替える儀式を襟替えと呼び、半玉や雛妓(すうぎ)が、
一人前の芸妓になったことを形であらわす。
また。このときから、一人前の玉代を受け取ることが出来る。
髪型も大人の日本髪にかわる。
こうしたことを踏まえ、襟を替える前の雛妓たちのことを花柳界では
『赤襟』と呼んでいる。

 老舗旅館の裏手からの帰り道。
腹が満たされたたまは、清子の腕の中で眠りこけている
そんなたまと清子を交互に見つめながら、若女将がポツリとつぶやく。

 「清子。湯西川という街は、優しいところだ。
女たちの人情が豊かな街なのさ。
 お前にはまだわからないだろうが、いつかそれを実感する日がやってくる。
 一年前。わたしがここへやってきた日。
 何も知らない私を花街の女たちが、自分の娘のように迎えてくれた。
 わたしはね、自分で着物を着ることができなかったんだよ。
 そんなわたしに、ひとつひとつ手ほどきしてくれたのが、あんたの
 お母さんだ。
 春奴姉さんは、心やさしい辰巳芸者だよ」

 「辰巳芸者?、辰巳芸者って、いったいどんな芸者なのですか?」