赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 1話~5話
赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (2)
食事中のたまと、こわもての板長
「お母さんから芸者というものは、綺麗に座ることからその日のお仕事が
はじまると教わりました」
「なるほど。春奴お母さんなら、きっとそう言うはずです。
その通りです。もじもじしないで、シャンと背筋を伸ばして畳に座る。
そうすると誰でも美人になれます。
大きなお姉さんたちと同じように、粋な芸者さんになれます。
おや、おまえ。よく見ればそれは、春奴お母さんが大切にしてきた
着物だねぇ。
お前が着ているこれ。
知っているかいお前。これは、結城紬の上物だよ」
「へぇぇ。そうなんですかぁ、でもね。若女将・・・・
肩上げと、おはしょりが付いているなんて、なんだか子供じみていて
着ていて恥ずかしいかぎりです」
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 1話~5話 作家名:落合順平