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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 1話~5話

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 「明治のはじめ。矯風会や救世軍などの団体が、盛んに廃娼運動を展開した。
 群馬は全国に先駆けて、議会で廃娼宣言を出した。
 だけどね。廃娼運動が日の目を見たのは、ずっとあとの昭和31年
 (1956)のことさ。
 売春防止法が制定されて、ようやく遊郭と赤線地帯が一掃された。
 群馬はそうした動きに先駆けた県なのです」

 遊郭・娼婦・赤線という言葉の洪水に、清子が小首をかしげる。
たまもピクリと反応をみせる。
しかし。清子の懐の暖かに誘われて、またたまが、眠りの中へ落ちていく。

 「わからないか、お前の歳じゃ・・・。
 売春の温床だった赤線や娼婦という言葉は今じゃ、まったくの
 死語だものねぇ。
 ところでさ、お前。好きな男の子はいるのかい?」

 若女将が、清子を真正面から見つめる。
突然の質問に、油断していた清子の瞳がまん丸になる。
『おっ、面白そうな話になってきたぞ!』眠りに落ちかけていたたまが、
うす目をあける。
たまの小耳がピクピクと、興味津々に動き出す。

 「おや・・・赤くなってきたところを見ると居るんだね、好きなひとが。
 よかったぁ。おまえももう、一人前の女だねぇ」

 「好きな人がいると、なんで一人前になるんですか?」