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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 1話~5話

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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (4)
 廃娼運動


 「はいしょう運動?、何ですか、それ?」

 眠っているたまの頭を、清子が手で触る。
無邪気な笑顔を見せる15歳の清子に娼婦のことなど、とうてい理解できない。
いや。娼婦という言葉自体を知らない。
無理もない。群馬で『廃娼運動』がおこったのは、明治のはじめの頃だ。
 
 「女性の人権を守るため、公娼制度を廃止しようと立ち上がった
 社会運動のことだよ。
 女が春を売る公娼制度は、男尊女卑の封建制度の時代に確立したんだ。
 江戸や大阪の都市部に、人口が集中し過ぎたためさ」

 「人口が集中し過ぎると、女が金で売られていくのですか?」

 「人口が増えても、男と女のバランスがとれていれば問題はない。
 でもね。おサムライの町の江戸は、男たちがあふれていた。
 仕事のない農家の次男や三男まで、働き口をもとめて都市部へ
 集まってきたからね。
 男があふれれば当然、欲望のはけ口が、あちこちにつくられる」

 「へぇぇ・・・そうなんだぁ。そんなこと、はじめて知りましたぁ」