年賀 そして、元旦
お年寄りたちがお年賀の品々を楽しげに見ていると、そこへまた1人、若い女性がやってきました。
「おじいちゃ〜ん、あけましておめでとう!」
それは、櫻澤の部下の、小柴亮子さんでした。おじいちゃんの姿を確認したあと、予想外の先客を見て、小柴さんはびっくり。
「え、さ、櫻澤店長?あ、あの、あけましておめでとうございます」
部下の突然の登場に、櫻澤もびっくり。
「あけましておめでとうございます、小柴さん」
「ど、どうして店長がここに居るんですか」
聞かれた櫻澤は、わざと軽く小柴さんをにらんだあと、くすっと笑うと、言いました。
「私、今年から他人に優しくすると決めたの」
目を皿のようにして上司を見つめる孫娘に、おじいさんは尋ねました。
「この人が、亮子の、仕事場の、店長さんかい?」
小柴さんは、ほんの少し苦い顔をして答えました。
「うん、そうだよ」
「いつも、孫がお世話になってますだ。今年も、どうぞよろしく」
櫻澤は頭を軽く下げました。
「彼女はすごくまじめに頑張っています。ね、小柴さん?」
小柴さんは、照れくさそうな顔をしました。