年賀 そして、元旦
「えりゅしおん」に入ると、櫻澤は職員に案内されて、高齢者たちに明るく挨拶をしました。
「新年のご挨拶に参りました。皆様、あけましておめでとうございます。本年も素晴らしい1年でありますように」
「おめでとうございます」
「本年もどうぞよろしく」
お互いに挨拶を済ませると、彼女はおもむろに袋の中身を取り出しました。
「つまらないものですが、こちら、お年賀でございます」
「お年賀」と書かれたのし紙に包まれた品々を見て、お年寄りたちは驚きながらも、うれしい気持ちになりました。
「おやまあ、いい品だねえ」
「素敵なお嬢さんに、素敵なお年賀。お正月から、こりゃめでたいめでたい」