心霊探偵☆藤村沙織の事件簿
やはり中学生だった。
県内にある有名私立中学へ通っているとのこと。名刺をさし出すとオドオドしながら受け取った。
ニコニコ興信所 所長 藤村沙織
わたしの名刺を穴があくほど見つめてから、彼は恐るおそる顔をあげた。
「あの、ぼくネットでいろいろ調べて、それでここへ来てみたんですけど……霊と交信ができるって本当ですか?」
やはり裏稼業のほうか。でも残念、そのコウシンじゃないんだな。
「悪いけど、うちは霊媒やってるわけじゃないのよ。ここは探偵事務所なの。イタコを探してるんなら恐山へ行ったほうがいいわ」
「でもホームページには、心霊調査も受け付けるって……」
「調査するだけよ。なぜそこに幽霊が現れるのか、どんな因縁が隠されているのか。あくまでも調べるだけ。霊とはお話できないの」
そう説明してやると、彼はちょっと考えてからわたしの目をまっすぐに見て言った。
「じゃあ、その調査というのをお願いできますか」
作品名:心霊探偵☆藤村沙織の事件簿 作家名:Joe le 卓司