螺旋世界
「パーティーが組めた人たちからドアの向こうに進んでください」
「よしっ。行くぞ」
俺はドアの取っ手に手をかけて前に進んだ。
入ると目の前にモニターがあるだけの部屋になった。
モニターには地図が映し出された。
~これから貴方たちは町に出ます。このパーティーでまずはルフラン帝国へ攻撃するための拠点に向かってもらいます。ルフラン帝国からの本格的な攻撃はまだ始まっていませんが、野に生物兵器は放たれています。貴方たちが力をつける時間はまだあります。しっかりと実力をつけて拠点に向かってください。
他のパーティーの状況や、生き残っている人の数などは随時報告いたします。脳内に直接話しかけます。パーティー内であれば送る相手と言葉を思えば連絡可能です。
武器や防具などは様々な町に出品されています。生物兵器だけでなく「魔物」も野に徘徊していますので討伐依頼の報酬としてお金をもらうことが可能です。
以上ですべての説明を終わります。命に気を付けて頑張ってください。~
ピンッ
すると、目の前は急に景色が変わり町の風景になった。
「いや、しかしすごいな。僕たちがいる地球とは文明が違うよね」
「あぁ。本当にすごいな。そういえば陽はどうしてここに残ったんだ?」
「僕?僕は単純に助けてあげたいって思ったんだよね。自分たちにしかできないことがあるならやってあげないと」
「すごいな。そういう人って初めて見たかも」
陽はすごい人だ。命を人のために使う人って世界に何人いるんだろうか。
「実花は?」
「うち?うちはゲーム凄い好きなんだ。ゲームの世界に入り込んだみたいでわくわくしてもた。せやからゲームの世界で死ねるならそれでええ」
やっぱりここに残ってる人は気持ちが俺なんかとは違う。たとえ変な理由でさえ、本気でここに残ってる。自分は生半可な気持ちで残ったがいいんだろうか。
「「「「死者が出ました。残り31名です」」」」
は?もう?
「今の、聞こえたか?」
「うん。僕も聞こえたよ。こんなに早く死んじゃう人が出るなんて、町の外に出て無謀なことしたんだろうね。きっと」
「ほんまに早いね。RPGの基本は町でしっかり装備を整えへんとね」
「まぁその通りなんだけど、この死んだ人って地球でも死んだ扱いになるんだったよね。こんなに簡単に命が無くなるもんなのかよ」
「今の死者は馬鹿だっただけ。ちゃんとしてれば死ぬことなんてそうそうない」
「僕もそう思うよ。僕たちはしっかり準備してからいこう」
「あぁ」
「まずこの町を見て回ったほうがいいと思うんだけど四人より二人ずつ別れて探した方が効率いいと思うから分けよう」
「どう分けるの?」
「うちはのあちゃんと一緒がええな」
「じゃあ、俺と陽、のあと実花のペアで」
「何かあったらみんなに報告しようね」
こうして二つのペアに分かれて行動開始した。