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戒厳令都市デタトンの恐怖

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 サイは困った顔をして辺りを見回して言った。
ピココは、腰から剣を抜いて太陽にかざして喜ぶ変な癖があった。
 ピココは言った。
 「うん、そうか。ゴメンちゃいで許して貰えば問題は無い」
 ピココは剣を腰にしまった。
 そして鎧を着たまま乱暴に椅子に座った。
前に壊れかかった椅子にピココは乱暴に座って鎧と体重の加算された質量で破壊した所をレニーは見ていたが。この御領主様の、お嬢様は、学習という言葉とは無縁の、頭をしているため、懲りずに鎧を着たまま乱暴に椅子に座っていた。
 ヤマト人の十六歳の巫女である留衣が聖女みたいな顔をして言った。
 「そうです。心を込めて謝れば、みんな許してくれます」
 本当に御領主さまの、お嬢様は、デタトンに行くつもりなの?レニーはピココを見ながら動揺を隠せなかった。錬金術はレニーの専門ではなかった。そんな、パーティがデタトンに行ってみたところで、何の役に立つというのだろうか?ミュータントに食べられる以外に役に立つはずが無かった。レニー達はランチの時間中に、ヒマージのタイダー・テレビ局のテレビクルーが次々とカイマン人間達に噛みつかれて食べられしまうスプラッター映像を観ていた。レニーは気持ち悪くなって吐いてしまった。
 騎士見習いのピココ・グリップは。グリフォン流剣術という剣術を学んでいるらしいが、強いとも弱いとも、野蛮な剣術などというモノとは無縁のレニーには判らなかった。そもそもピココは、あまり背が高くないのだ身長がレニーと同じ百五十八?しかなかった。
 そして、レニー・ハンドリング自身は「白き波濤」学派に入って、魔法都市エターナルの受験を目指していたエターナル受験生だった。
留衣・ナガタニは、グリップ男爵領に住むヤマト人の末裔で、巫女の能力を持っていた。
サイ・ミットはグリップ家に仕えるスカウトの家に生まれた娘だった。
この四人の中に、デタトン市で何らかの手伝いが、できるような能力を持った人間は居なかった。少なくともレニー・ハンドリングの知る限りでは。
 ピココは言った。
 「いやあ、ここのケーキは美味しいな。追加を頼むか。レニー、このチョコレートケーキはボクが貰うよ」
 ピココはレニーが最後に食べようと思って取って置いたランチセットに付いていたデザートのチョコレートケーキに苺の上からフォークを突き刺して持ち上げて大口を開けて三分の一を食べた。
 レニーは、反射的に言った。
 「それ、私の」
ピココは言った。
 「あ?うん、大丈夫、これから追加の注文を、するから。腹が減っては戦ができぬと言うじゃないか。とにかく、デタトンに、これから行くぞ。サイ、地図見て道を調べてくれ」
 ピココは、ほおばったまま笑顔を浮かべていた。

ポロロンと合流したスカイ達は、歩いていた。スカイ達は気まずく、ポロロンと一緒に歩いていた。
 スカイとマグギャランとコロンは、ポロロンに、小イジアのラブレターを渡す事になった成り行きを、多少自分達に都合の良いように作り替えて話した。
 ポロロンは言った。
「全ては、私の子供じみた、思いこみだったのですね」
 マグギャランは目を合わせずに言った。  「まあ、そういう見方もある」
スカイは言った。
 「だが、どうするんだよ。素直にアッパカパー要塞に戻れよ」
 ポロロンは強い語気で言った。
 「駄目です」
 スカイは面倒を放り出したくて。ポロロンの説得に向かった。
スカイは言った。
 「何だよ、何、片意地張って居るんだよ。イジア国や霧の橋鉄橋を通らなくても、ツルッペリン街道を通ってイシサに入って、アッパカパー要塞に帰れば良いだろう」
ポロロンは言った。
 「私は父のアッパカパー伯爵から勘当された身なのですよ」
 マグギャランは面倒くさそうに言った。 
 「頭を下げて、許して貰えばよいだろう」
 どうやら、スカイと同じ事を考えているらしかった。そしてマグギャランはスカイに指で合図をした。
 スカイはマグギャランに頷いて指で合図を送った。
 スカイは言った。
 「そうだよ。親子なんだから許して貰えよ」
スカイは言った。
コロンも頷いていた。
 ポロロンは言った。
 「マグギャラン、スカイ、コロン。私は貴族であり、誇り高きアッパカパー伯爵家の嫡女です。アッパカパー伯爵は、私の父である前に、伯爵なのです。その命令は絶対です。私に勘当すると言えば、その言葉は絶対なのです」
 スカイは言った。
「それじゃ、これから、どうするんだよ」
 マグギャランも言った。
 「そうだ、これからどうすると言うのだ」
 ポロロンは弱々しい声で言った。
 「判りません」
 スカイ達、3人は困った顔で顔を見合わせた。
 スカイは言った。
「ところで、お前はパスポートを持っているのか」
 ポロロンは言った。
「パスポート?いえ、持っていません」
 スカイ達、3人は困った顔で顔を見合わせた。
スカイは言った。
 「それじゃ、お前、どうするんだよ、こんな村なら、身分証は要らないが、外壁で囲まれた町に入ろうとしたら、門番に身分証かパスポートを見せなければ、ならないんだよ」
在る意味、予想できた事ではあった。スカイ達と一緒に霧の橋鉄橋を越えたときポロロンは顔パスで通ったからだ。
 マグギャランはゴロジの財布から身分証を取り出した。
 マグギャランは言った。
「その通りだぞ。俺達は、ちゃんとミドルン王国が発行した身分証を持っている。大人しくアッパカパー要塞に帰れ」
ポロロンは言った。
 「何とかします」
 スカイは言った。
 「何とかするって、どうするんだよ」
 ポロロンは言った。
「わかりませんが何とかします。
 スカイ達3人は再び顔を見合わせた。
 本当に、これから先どうするんだよ。
 おい。

レニー達四人は、ツルッペリン街道とは違う、田舎道を歩いていた。
 ピココは言った。
「うーん。晴れていて空気が良いな。何とも言えずに良い気分だ」
 ピココは言った。
 そして、呑気に大股でズカズカと歩いていた。
 ああっ。この御領主様の、お嬢様を、だれか止めて。
 レニーは。どんどんとデタトン市へ向かって歩いていく今の状況が信じられなかった。
今日は確かに晴天で、辺りは、なだらかな
草原で空気は良かった。草原の間を一本道が通っていた。
 サイが地図で調べたところ、トッビー街道という街道らしいが、石で舗装されたツルッペリン街道とは違ってゴツゴツした轍や、ぬかるみがあって、歩きづらい田舎道だった。

スカイ達は宿屋「トッパン」の食堂のテレビでミドルン王国の政府が流しているデタトン問題の解決に冒険屋を集めているミドルン王国の広報を見ながら言った。
スカイは言った。
「とにかく、デタトンに向かうのは駄目だ。デタトンを迂回していくに限るだろう」
マグギャランは言った。
「それならば、どうするのだ」
 スカイは頭の中で銭勘定をしながら言った。