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戒厳令都市デタトンの恐怖

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 「ミドルン王国には大義が無い」
 ソフーズはガムを噛みながら言った。
 「ガミオン大臣の弱みは握ったぜ、国庫金を「不老不死の秘薬」の研究に使っていることがよ、ミドルン王国の平民達が知ったら、税金の不正流用で、みんな頭に角生やして、怒り狂うぜ」
 ローサルは言った。
 「まあな、場合によってはミドルン王国中で暴動が起きるよな」
ソフーズはガムを噛みながら言った。
 「どうする、ローサル?この情報でガミオン大臣達を脅すかよ?それとも「ベチャル改革派」か「マキラ軍部派」にカネを条件に情報を流すかよ」
 ローサルは言った。
 「いや、この情報は使わない方が利口だぜ」
 ターイは言った。
 「確かに、そうですね。「ミドルン王国の実権者」と呼ばれるガミオン大臣の派閥「ミドルンの本流」は、まだガミオン大臣の娘婿ロニール・ガミオンに実権を禅譲していません。政局は不安定ですよ」
ソフーズはガムを噛みながら言った。
 「どうしたんだよ、ローサル。何か隠していないか。「ベチャル改革派」と「マキラ軍部派」は大金を出して、ガミオン大臣の弱みを欲しがるはずだぜ。金儲けのチャンスだろう?」
 ローサルは言った。
 「ガミオン大臣達「ガミオン貴族派」に復讐されるのは避けた方が良いぜ。それに、オレ達はガミオン大臣とコネを持っているロマシク・ボンドネードと知り合いだ。つまりオレ達も一応「ガミオン貴族派」という事だ。今後を考えれば、このカードは使わない方が良いぜ」
 ローサルは既に呪いの渦の手下、Dr.パンプアップ・ハイと契約を結んでいた。
 もうすぐ「ドゲッサー計画」が開始される。それまで待てば良かった。連絡は必ず呪いの渦の手下Dr.パンプアップ・ハイから来るはずだった。

筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「ピココ、私達はデタトン市に行って、死んだ、主神エーライの僧正ミスター・クークックの亡骸を捜さなければならない」
 筋肉老人魔法使いミスター・シーンは言った。
 「仲間の死は常に悲しいモノだな。我々は、老後を有意義に社会奉仕するために、冒険屋になったが。仲間の死は考えていなかった」
 筋肉女老人レンジャー、ミセス・ポッポーは言った。
 「そう、弔わなければならない」
筋肉老人戦士ミスター・ジェイはピココの頭に右手を置いて、長身の腰を折って言った。
「ピココ、良い領主になるんだ」
ピココは言った。
 「判りました、ミスター・ジェイ。ボクは必ずグリップ男爵家を相続して女男爵になります」
 ダイナマイト・シルバーズはデタトン市に向かう道を歩き出した。
レニーと、御領主様のお嬢様は、しばらく見送っていた。
ピココは言った。
 「結局、レニーとボクだけになったな。忍者だった留衣は消えて、サイは先に実家に帰った」
レニーは言った。
 「それでは、ピココ様の冒険屋のパーティ鋼鉄少女隊も解散ですね」
ピココは言った。
 「父上に電話を掛けたら、男爵家を継ぐ事を認めなかったんだ。デタトン問題を解決したのはロマシク・ボンドネードだからね」
 レニーは内心せせら笑いを浮かべて居た。
 この御領主様の、お嬢様は、いい加減、グリップ男爵家を継ぐのを諦めて私を自由にしなさいよ。今からなら、エターナル受験も間に合うから。
ピココは言った。
 「スカイから学んだ事がある」
レニーは白々しく言った。
 「何を学んだのですか」
ピココは言った。
「リーダーとは強引で在るべき事。つまり、レニーは、ボクがグリップ男爵家を相続するまで、エターナル受験は出来ない。今、ボクが決めた」
レニーは一瞬頭が真っ白になった後、怒りで手を振るった。
レニーは怒りでピココの頬を平手で叩いた。
 ピココはニヤリと笑った。
 そしてピココはレニーの手を掴んだ。
 「レニー、御領主様の、お嬢様である、ボクを、今ひっぱたいたんだ。ボクが父上に知らせて、ハンドリング家をグリップ男爵家の弁護士から外してもいいんだ。もし、ハンドリング家の、財産による支援が受けられなかったら。財産を失ったハンドリング家の娘で在るレニーはどうやって、エターナル受験を進めていくつもりなんだ?」
レニーは顔が青ざめていった。レニーは家庭教師無しで、エターナル受験に必要な「初等六元魔法」を会得は出来なかった。
レニーは言った。
 「卑怯じゃない」
 ピココは言った。
 「確かに卑怯だけれど、ボクは、レニーと同じように、自分の目的を優先させるだけだよ」
レニーは言った。
 「なんてワガママなの。剣を持って武張って居ても、そう言う自分勝手な、お嬢様臭さが抜けないところが嫌なのよ」
 ピココは言った。
 「ふーん、そうなんだ。それがレニーがボクを嫌う理由なんだね。だがね、レニー。ボクがコレからグリップ男爵家を継いでも、レニーみたいに従わない、面従腹背の人間達は必ず出てくる。留衣のように裏切る人間も居る。サイのように最初から心の弱い人間も居る。領内の全ての人民を治めるのがグリップ男爵という領主のボクの務めになるんだ」
 レニーは言った。
 「それと私が、何の関係が在るのですか」
ピココは言った。
 「それで、ボクも理解したんだ。今回のデタトンの事件を通してね」
 レニーは言った。
 「何を理解したというのですか」
 ピココは言った。
 「つまり、レニー程度の人間を治められなければ、ボクはグリップ男爵家を次の世代に残す為に運営する事は出来ないと言う事だ。だから手始めにレニーをボクの部下一号として支配するのだ」
 レニーは言った。
 「まるで絶望と頸木の王じゃ無いですか」
 ピココは言った。
 「そこまで悪くは無いさ。さあ、いくぞ、レニー。ボク達は新しい仲間を捜すんだ。みんなボクより歳が若くて優秀な仲間の女性達だ」
 ピココは走り出した。
 そして笑顔で後ろを振り返って、レニーを見た。
 ピココは言った。
 「さあ来いレニー!ボクに付いてこい!」
 レニーは地団駄踏んだ。
 「最低最悪の御領主様の、お嬢様!」
 そして、レニーは走った。 
 
 スカイ、マグギャラン、コロンはポロロンと一緒に、運行を再開したばかりの、フラクター選帝国製のエアバスに乗るために臨時の停留所を目指して歩いていた。
目の前をレモン色と白のドレスを着た、若い金髪の女が通り過ぎた。
 案の定マグギャランがヘロヘロした足取りで近づいていった。
マグギャランは言った。
 「あのう、どこの御婦人でしょうか。私は自由騎士(フリーランサー)のマグギャランと言う者でございます」
 マグギャランは金髪の長い髪の女に声を掛けた。
確かに、奴が声を掛けるだけあって、かなりの美人だった。
 金髪の女は言った。
 「私はアン・ヘイコックです」
はあ?アン?
 黒い三つ編みに軍服を着ているアンとは完全に別人に見えた。
アン・ヘイコック?は笑いながら言った。
 「これから、ウィッキィド・ゴーストの仕事が在るんですよ。そこから先は秘密です」
ポロロンは言った。 
「マグギャラン、何故、あなたは、恥知らずにも、見ず知らずの女性に気軽に声を掛けるのですか」