戒厳令都市デタトンの恐怖
今の時代に、中コモンの大国ミドルン王国で王になろうなんて、なかなかスケールがデカイ野心家だよ」
ローサルは言った。
「オレは本気だ」
Dr.パンプアップ・ハイはニヤニヤしながら言った。
「それじゃあさ、キミもコレから始まる「ドゲッサー計画」に参加するかい?」
ローサルは言った。
「ドゲッサー計画とは何だ」
Dr.パンプアップ・ハイは言った。
「それは、秘密だよ。ただ参加する意志があるか、どうか聞いているんだ」
ローサルは言った。
「詳細は教えないのか」
Dr.パンプアップ・ハイは言った。
「ボクは、ただ参加するか、どうかを聞いているのさ」
ローサルは言った。
「参加する」
Dr.パンプアップ・ハイは言った。
「良い判断だよ。内容を知らなくても利益になる事が判っているんだね。それは利口な判断だよ」
ローサルは言った。
「ああ、そうだ。オマエが「呪いの渦」の手下なら。必ず、俺はチャンスを得られる」
Dr.パンプアップ・ハイはニヤニヤしながら言った。
「そういえば、君の名前を聞いていないね」
ローサルは言った。
「俺の名前はローサル。ミドルン王国首都、浮遊都市ウダルのスラムで生まれた。親は知らない。だから姓を持っていない」
Dr.パンプアップ・ハイはニヤニヤしながら言った。
「ああ、キミが冒険屋のパーティ、キャンディ・ボーイズのリーダーの戦士なんだね。それじゃ覚えておくよ。後で必ず。使いを送るから待っていてね。いいかい?ドゲッサー計画だよ。それじゃ、キミの仲間三人の魂を肉体に戻すかな。そしてボクは消えていると」
途端に、Dr.パンプアップ・ハイは消えた。
むせ込む音が聞こえた。
ローサルは振り返った。
ソフーズ、ターイ、シャール達が、意識を取り戻した。
魂が肉体に戻ったようだった。
ローサルは言った。
「お前達無事か」
シャールは言った。
「何が起きたんだ。あのドクロの煙一つで、オレは意識を失った」
ソフーズは言った。
「なんかよ、身体から意識が離れるような変な感覚だったんだよローサル」
ターイは言った。
「これは、心霊系の魔法かも知れません。表には出てこない魔法です」
ローサルは言った。
「もう、このデタトン製薬第一研究所には用は無いぜ帰ろうぜ」
ソフーズは言った。
「おい、ローサル、ガミオン大臣達が企んでいる、「不老不死の薬」の秘密を調べるんじゃ無いか」
シャールは言った。
「確かに、そうだ」
ローサルは言った。
「いや、十分判ったさ。頭の、おかしいケイミー・ボーリズという研究者が、魔族化する薬を使ったのが原因だ」
ターイは言った。
「なるほど、それならば、納得できますね。ただ、その魔族化する薬を、どこからケイミー・ボーリズは手に入れたのですか」
ローサルは言った。
「「呪いの渦」からじゃねぇのか」
ソフーズは吹き出した。
ソフーズは言った。
「そいつは、悪趣味な冗談だぜローサル」
シャールは言った。
「確かに与太話の類いだな」
ローサルは言った。
「さあ、オレ達の目的は達した。フラワー・ビレッジにでも帰ろうぜ」
ソフーズはガムを噛みながら言った。
「デタトンの古代モンスター騒ぎを解決して、ロマシク・ボンドネードに恩を売るってのはどうだ」
シャールは言った。
「どうせ、ロマシク・ボンドネードが手柄を独り占めするつもりだろう。エターナルの魔法使いらしい小狡さだ」
ローサルは言った。
「確かにオレ達が、ロマシク・ボンドネードに義理立てする必要も無いぜ」
ターイは言った。
「それでは、私の運転で、フラワー・ビレッジに帰りましょう」
ソフーズは言った。
「ロマシク・ボンドネードに何て言い訳するんだローサル」
ローサルは言った。
「言い訳なんて、何とでもできるさ」
スカイ、マグギャラン、コロン、ポロロン、ピココ、レニーは、第一研究所まで辿り着いた。
デタトン市の中では、古代モンスターから人間に戻った、町人達が、街路で右往左往していた。
スカイ達は、その中を走って行った。
「なんだよ、急に人間だらけじゃないかよ」
マグギャランは言った。
「古代モンスターになって居た美女も居るかもしれぬ」
コロンは言った。
「……人間に戻せて良かった」
ピココは言った。
「きっと、デタトン製薬の第一研究所に、魔界の尖塔があるんだ」
レニーは言った。
「なんで、私も走る必要があるのよ!」
スカイ達は、駆け足で、デタトン製薬の第一研究所の建物の前に辿り着いた。
煉瓦造りの重厚な建物だったが。普通の建物と違って、窓が少なかった。
ローサル達キャンディ・ボーイズの四人が第一研究所の建物から出てきた。
ローサルは言った。
「なんだ、お前達も来ていたのか」
スカイは言った。
「オレ達は、モルガ・ボンドネードが使う「鋼の鎖」っていう冒険屋四人組に捕まったんだよ」
ローサルは言った。
「それで、どうしたんだ」
スカイは言った。
「仕方なく、デタトン市の古代モンスター騒ぎの解決に参加させられた」
ローサルは言った。
「ダセェな」
スカイは言った。
「モルガも同じ事言っていたよ」
ローサルは言った。
「それで、第一研究所に何で来たんだ」
スカイは言った。
「中に黒い尖塔が在ったか?」
キャンディ・ボーイズの魔法使いが言った。
「「魔界の尖塔」か?」
スカイは言った。
「そうだよ、それを捜して破壊するのが目的なんだ」
ローサルは言った。
「オレ達も全部は調べていないさ。なにせ、かなり広い研究所だからな」
スカイは言った。
「それじゃ、オレ達は突撃するぞ。ローサル、オマエ等も来るかよ」
ローサルは言った。
「オレ達の仕事は、ここで終わりだぜ。オマエ等で頑張ってくれよ」
そう言うとローサル達キャンディ・ボーイズの四人は歩いて行った。
スカイは言った。
「なんだよ、付き合いの悪いヤツ等だな」
マグギャランは言った。
「仕方がないだろうか」
ポロロンは言った。
「悪の根源「魔界の尖塔」を破壊します」
ピココは言った。
「ボク達が、デタトン問題を解決したら、父上も、ボクがグリップ男爵家を継ぐことを認めてくれる」
レニーは言った。
「そして、私は、晴れて自由で、お役御免で、エターナル受験に専念できる」
コロンは言った。
「……魔界は四大元素魔法の敵なの」
スカイ達六人は、デタトン製薬の第一研究所に突入した。
中は、デタトン製薬第五工場と同じように生き物の内臓のような感じだった。
スカイは法則に気がついた。
内蔵のような物体に続いている血管の太いモノが、一つの方向に向かって繋がっていた。
スカイは言った。
「多分、こっちだ。こっちに、何か重要なモノが在るはずだ」
マグギャランは言った。
「オマエのカン頼みか」
スカイは言った。
「この血管の動脈の様に太いヤツが繋がっている方に歩いて行けばいいんだよ。川の支流から本流そして源流に辿り着くって言う寸法だ」
作品名:戒厳令都市デタトンの恐怖 作家名:針屋忠道