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戒厳令都市デタトンの恐怖

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 「ミスター・ジェイ。判りました。ボクは生きます。逃げるときの邪魔になるので。鎧を今、捨てます」
御領主様の、お嬢様の鎧は。鎖鎧を着ないで、革の服の上に、ラーメラー・メイル(金属片鎧)を着て、籠手や脛当てを付けていた。兜は被っていなかった。
 御領主様の、お嬢様は革の上下一つになった。そして腰に剣帯を巻いて、金具で留めた。
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「それでは、デタトン製薬の帳簿を調べよう」

 ローサル達、キャンディ・ボーイズの四人は、デタトン製薬の本社の建物に入っていった。目指す場所は、デタトン製薬の社長室だった。
 案内の掲示板を見て、ソフーズが、デタトン製薬の社長室まで道案内をした。
 社長室は、赤煉瓦造りの堅牢な作りのデタトン製薬の本社の建物に相応しく、マホガニー製のドアで年期を感じさせる。変色した青銅製の金具が取り付けられていた。
 ソフーズはガムを噛みながら言った。
 「どうやら、罠なんかは無いようだぜ」
 ローサルは言った。
 「そうか。中に入ろうぜ」
ソフーズは扉を開けた。
 中には、書類棚がずらりと壁沿いに並んで、
壁の上の方には様々な賞状がずらりと飾られていた。皆、デタトン製薬がミドルン王国から授けられた、賞状のようだった。
 ターイは言った。
 「私達で、手紙を捜しますよ」
 シャールは言った。
 「オレもか?」 
 ターイは言った。
 「ええ、そうです。ミドルン王家とガミオン家の家紋で封印をされた手紙を捜せば間違い在りません」
 ソフーズはガムを噛みながら言った。
 「そんなに苦労する必要は無いぜ。大事な手紙なら、大事なモノを隠す場所にしまうモノさ。つまり鍵が付いた机とか金庫にだよ。これが盗賊の常識さ」
 ローサルは言った。
 「ソフーズ頼むぜ」
 ソフーズはガムを噛みながら言った。
 「任せろよローサル。もう、この部屋に入った時点で、隠し金庫が在る場所に見当は付いているんだ」
ソフーズは書類棚に近づいていった。そして、書類棚のガラスを開けて、中に入った革の背表紙で出来た帳簿らしいモノを一つ抜いた。すると、書類棚が動いて隠し金庫が現れた。
ローサルは言った。
 「なんで判ったんだよ」
 ソフーズはガムを噛みながら言った〉
 「これだけ重い書類棚だ。動かせば、絨毯に跡が残るって事だ。そして動いた形跡の在る本棚の本には、手垢で変色した革表紙の帳簿が在るって事だ。ドンピシャだぜローサル」
 シャールは言った。
 「だが、隠し金庫には罠が無いか」
 ソフーズはガムを噛みながら言った。
 「金庫はダイヤル式だ。オレの手は敏感だぜ」
 ターイは言った。
 「任せますよソフーズ」
ソフーズは、しばらく金庫をいじっていた。
カチッと音がした。
 ソフーズは、隠し金庫のダイヤル錠を解除した。
 ソフーズは額の汗を拭った。
 ソフーズはガムを噛みながら言った。
 「開いたぜ」
 ローサルは言った。
 「そうか。中には何が入っているんだ」
 ソフーズは、隠し金庫の扉を開いた。
金庫の中には金目の物は入っていなかった。全て、手紙のような書簡ばかりだった。
 ターイが言った。
 「私が調べましょう」
 そしてターイは仕分けを開始した。
そして中から、ひときわ豪華な紙を使った、封筒を抜き出していった。

 ターイは言った。
 「こちらは全て、ガミオン侯爵家の家紋の封印が蝋でされている手紙ですよ」
ローサルは言った。
 「どんな事が書いてあるんだ」
ターイは素早く、手紙を読んでいった。 
ターイは言った。
 「内容自体は長くないですね。全て、督促と言うべきか、恫喝と呼ぶべきか、そのようなモノですね」
 ローサルは言った。
 「書いてある内容を読み上げてくれ」
ターイは言った。
 「ガミオン大臣は、不老不死の研究をデタトン製薬にさせていました。読み上げましょう「早く、森人のような長い寿命か、不老不死になれる薬を作り出せ。早く作り出さないと、「ウイッキイド・ゴースト」を使って殺す事になるぞ」だそうです」
 ローサルとソフーズは吹き出した。
 ローサルは言った。
 「そりゃ、ご無体ってモノだぜ、ガミオン大臣。そう簡単に、不老不死や長い寿命の薬なんかできたら、誰も困りはしねぇや」
 ソフーズはガムを噛みながら言った。
「そうだよなローサル。やっぱり、権力者ってヤツは、どこまでも薄汚えヤツ等だよ。ガミオン大臣は特別だぜ」
 シャールは言った。
 「まあ、当然と言えば当然だな。ミドルン王家に正義は無い。オレがミドルン王国から弾圧される「雷光の裁定学派」の魔法使いで在る事を差し引いてもだ」
 ターイは言った。
 「実に愚かな話しですよ。不老不死は最近の研究で、不可能だと考えられているんです。全ては、魔法に対する迷信から来ているんですよ」
 ローサルは、ガミオン大臣の手紙を一通、取って中を見た。ソフーズも手紙を取って中身を見ていた。ローサルの持った手紙には、こう書かれていた。「ベッチィア社長、早くミドルン王国の為に、不老不死か、森人の様な長命になれる、錬金術の薬を作り出してくれ、断崖荒野の研究所は、二重の螺旋学派の魔法使いガリウス・マシェル所長が、不老不死の研究に失敗し、怪物を作り出してしまった。マシェル所長は死亡し、研究所は閉鎖する事になった。断崖荒野の研究所の研究資料をデタトン製薬に送る。不老不死の研究に役立ててくれ。マラール・ガミオン」と最後に署名がされていた。
 ローサルは言った。
 「断崖荒野って、どこだ」
 シャールが言った。
 「ミドルン王国の北の外れに在る荒野だ。研究所が在ったとは初めて聞く話だな」
 ターイは言った。
 「私達も、「辺境地方」に行った事あるでしょう。ロード・イジア要塞も同じです」
 ソフーズは言った。
 「確か、ミドルン王国の中央より、「辺境地方」の物価は二分の一なんだよな」
 ローサルは言った。
 「だが、十分な証拠は掴めたぜ、ガミオンのヤツは、不老不死の研究をデタトン製薬でさせていた」
 ソフーズは言った。
 「きっと、デタトン製薬の研究所だぜローサル」
 ターイは言った。
 「ええ、間違いないですね。ですが、研究所は第一から第三までの三つが在ります」
 シャールは言った。
 「ガミオン大臣の手紙を調べて研究所を絞り込むか?」
 ソフーズは言った。
 「待てよ、そんな面倒な事しなくても、いい手が在るぜ、こう言う会社には日誌が在るはずだ。このデタトン製薬の社長室の中に、日誌が在るはずだ」
 ターイは言った。
 「金庫の中にも日誌は在りますね。ですが、最新の日誌では在りませんね」
ソフーズは言った。
 「最新の日誌の在処は、この机に間違いないぜ。この社長室の机は、書き仕事をするための机だ。この机で日誌を書いて、書き終わったら、この机の引き出しにしまったに違いねぇや」
 ローサルは言った。
 「それじゃ頼むぜ。何を研究していたか判るってモノだ」
 ソフーズは、社長室の大きな両袖の机の鍵を鍵開け器で開けた。
 ターイがソフーズの肩越しに机の袖の引き出しを見ていた。