戒厳令都市デタトンの恐怖
大蝙蝠羽のガイザンガーは、手から何かを打ち上げた。
シャールは言った。
「俺に任せろ。オレの眼「魔光眼」は、魔力の流れを見られる」
そして炎の雨が降ってきた。
冒険屋達は、炎の雨の降る中をを逃げ回っていた。だが、炎の直撃を受けた冒険屋は火柱になって燃え上がり。街路を、のたうち回った。
シャールの杖から雷光が走り。
キャンディ・ボーイズの四人を守った。
炎の雨は雷光が防いだ。
シャールは言った。
「雷光壁だ。かなり強力なモンスターだな」
ソフーズは言った。
「結構色っぽいモンスターだぜ。デートでも申し込むかよローサル」
ローサルは言った。
「ケツ女のミラーナ・カーマインには劣るがよ。ああいうモンスターはベッドの上で、どんな声を上げるんだ」
シャールは言った。
「あれは、魔族だ。人間の世界には関わりを持たないはずだが。だが、魔族なら、四大元素魔法「雷光の裁定学派」は戦わなければならない」
ローサルは言った。
「オレ達も戦うかよ」
レニーは、南西門の外から、怪物と戦う冒険屋達を見ていた。
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「随分と強力なモンスターだな、ミスター・シーン」
筋肉老人魔法使いミスター・シーンは言った。
「ミスター・ジェイ。あれは、魔族だ。魔界に住んでいるモンスター達だ」
ミセス・ポッポーが言った。
「あの戦士は、キャンディ・ボーイズの「ウソつきローサル」よ」
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「あの女怪物と戦えるのか」
レニーは、四人の若い男達が、大蝙蝠羽のガイザンガーと戦う光景を見ていた。
剣を持った戦士が、地面に、剣を突き刺した。疾風の様な、衝撃波が、大蝙蝠羽のガイザンガーに向かって走った。
大蝙蝠羽のガイザンガーは3対の蝙蝠の羽を閉じた。
そして戦士の衝撃波を受けた。
突然、細い剣を持った剣士らしい男が消えた。
大蝙蝠羽のガイザンガーの背後に細い剣を持った剣士は回り込んでいた。
そして細い剣を、大蝙蝠羽のガイザンガーの蝙蝠の翼が開いた瞬間、狙いすましたように打ち込んだ。
大蝙蝠羽のガイザンガーは肩に刺さった細い剣を見た。
細い剣を持った男は離れた。
瞬間、極太の稲光が貫くように走った。
全身が感電して黒く焦げた大蝙蝠羽のガイザンガーは、うずくまった。
大蝙蝠羽のガイザンガーは言った。
「くっ!この魔界七勇士「大蝙蝠羽のガイザンガー」を追い詰めるとは!見くびったわ!」
3対の蝙蝠の羽を広げて、大蝙蝠羽のガイザンガーは飛び上がった。
生き残った冒険屋達から拍手が、わき起こった。
御領主様の、お嬢様は言った。
「あれは、剣技(つるぎわざ)だ。ボクも早く剣技を使える騎士になりたいんだ」
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「ピココ、強い騎士になる事と、良い男爵になる事は同じ事では無いぞ」
御領主様の、お嬢様は言った。
「ボクは、力が欲しいんです」
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「強いだけでは絶望と頸木の王のような、暴君にしかなれない。私はピココには、領民に好かれる領主になって欲しい」
レニーは内心せせら笑っていた。この御領主様の、お嬢様に領民に好かれる領主になれる筈はないでしょ。
御領主様の、お嬢様は今まで聞いた事の無い、すねたような声で不平を言った。
「ボクは、たった四人の鋼鉄少女隊ですら、纏める事も好かれる事も出来なかったんですよ」
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「レニー君、留衣君、君達はピココを支えて欲しい」
レニーは言った。
「私は、自分の夢を優先させます」
留衣はニコニコしながら言った。
「私は、わたしの出来る範囲内でピココ様を支えます」
筋肉老人魔法使いミスター・シーンは言った。
「ミスター・ジェイ、我々の目的は、古代モンスターの発生場所の特定だ。早く、デタトン製薬の本社に向かおう」
スカイ達は、南東の門から入って、古代モンスター達から逃げ回っていた。
古代モンスター、三つ足鉄巨人が、スカイ達の隠れた、建物の前を通り過ぎていった。
そして何とか振り切った。
スカイは言った。
「何とか振り切ったか、手間かけさせやがって」
ポロロンは言った。
「スカイ、アンに連絡を入れます、黒い携帯電話を貸してください」
ポロロンは携帯電話を掛けた。
ポロロンは携帯電話に話しかけた。
「わたくしです。ポロロンです」
携帯電話からアンの声が聞こえた。
「そちらの状態はどうですか」
ポロロンは携帯電話に話しかけた。
「わたくし達は、大ドクロ頭のジャギールという魔族と遭遇しました」
アンは携帯電話の向こうで言った。
「ちっ、古代モンスターの次は魔族ですか。あなた達も魔族に出会ったのですか。魔族は伝説の存在ですよ」
ポロロンは携帯電話に話しかけた。
「ですが、自分で名乗っていたのです。「魔界七勇士」だと」
アンは携帯電話の向こうで言った。
「判りました。私達も、古代モンスターの次に魔族が出た事を認めましょう。今、私がいる、デタトン問題対策委員会の作戦室では、情報が集まって来るはずです。状態が明らかになったら、こちらから電話を掛けます」
ポロロンはスカイにウイッキイド・ゴーストの黒い携帯電話を返した。スカイはベルトのポーチに入れた。
マグギャランは言った。
「どうやら、このデタトン市の古代モンスター騒ぎは良からぬ方向に向かっているようだな。まさかオレとしても伝説の魔族と戦う事になるとは思わなかった」
レニー達鋼鉄少女隊と、ダイナマイト・シルバーズは、生き残った冒険屋達と、デタトン製薬の本社の赤い建物を目指して歩いた。
そして、デタトン製薬の本社の赤煉瓦造りの大きな、建物に辿り着いた。
レニー達鋼鉄少女隊とダイナマイト・シルバーズの他の、冒険屋達もデタトン製薬の本社の入り口に来た。
筋肉老人女スカウト、ミセス・ポッポーが言った。
「罠の気配はない」
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「それが罠かもしれない」
筋肉老人魔法使いミスター・シーンは言った。
「ミスター・ジェイ、勘ぐりはしないほうがいい。我々は、このデタトン製薬の本社の帳簿を調べる事が目的だ」
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「そうだな」
御領主様の、お嬢様は言った。
「ミスタージェイ。あんな強力な魔族が再び襲ってきたら、どうすれば、よいのでしょう」
何考えているの、この御領主様の、お嬢様は?決まり切った事じゃない。
レニーは言った。
「ピココ様、殺されるだけですよ」
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「ピココ、逃げて生きるんだ」
御領主様の、お嬢様は言った。
「逃げ切れるとは思えません。ボクは、鎧を着ているから足が遅くなります」
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「ピココは若い、生きるんだ。死んで、いくのは私達の様な年老いた者達からだ」
御領主様の、お嬢様は涙を流した。涙を拭いながら喋っていた。
御領主様の、お嬢様は言った。
作品名:戒厳令都市デタトンの恐怖 作家名:針屋忠道