戒厳令都市デタトンの恐怖
スカイが後ろを見るとコロンが魔法の杖を構えていた。
「……「魔界」を名乗る者は、四大元素魔法「炎の門」の倒さなければならない敵なの」 スカイとマグギャランは剣を抜いた。
スカイは言った。
「いくぞ!」
マグギャランは言った。
「当然だぞスカイ」
スカイとマグギャランは剣を振りかぶり、大火炎ドクロ頭のジャギールに斬りかかった。
マグギャランの剣は大火炎ドクロ頭のジャギールの骸骨の身体に弾かれた。
だが、スカイの剣は、大火炎ドクロ頭のジャギールの左腕を切り落とした。
大火炎ドクロ頭のジャギールは左腕を押さえて言った。
「痛たたたたた!何をするのだ!この魔界七勇士の身体に傷を与えるとは!ええい!逃げねばならぬ!」
大火炎ドクロ頭のジャギールは穴を開けた地面にマントで全身を、くるむと消えた。
スカイは言った。
「なんだよ、あいつ。何者だよ」
マグギャランは言った。
「なぜ、オレの剣が弾かれて、オマエの剣がジャギールの腕を切り落とした」
スカイは自分の剣を見た。
スカイは言った。
「クリティカル・ヒットが出たんじゃないのか」
マグギャランは言った。
「確かにオマエの剣は、名剣「勝者の剣」だ。だが、オレの剣も名剣「レディ・ガーダー」だ」
マグギャランは訝しげにスカイを見ていた。
「今、何が在ったのだ」
スカイは言った。
「なんだ、あの奇妙なモンスターは」
マグギャランは言った。
「オレの蘊蓄では判らないな。古代モンスターではないようだ」
コロンは言った。
「……「魔界」を名乗ったの。四大元素魔法は「魔界」と戦う事が使命なの」
ポロロンは言った。
「悪です。悪を見ました。ですが、私は何も出来ませんでした」
マグギャランは言った。
「ポロロンよ、あの大火炎ドクロ頭のジャギールは、古代モンスターより強力なモンスターの筈だ。剣を持っていない、オマエでは戦いようがないだろう」
ポロロンは言った。
「いいえ、わたくしには、このケッポラ蹴撃術の二本の脚があります」
マグギャランは言った。
「威勢が良いのはいいが、現実問題を考えるのだぞ、ポロロンよ」
スカイは地図を見た。
スカイは言った。
「これから、デタトンの中を歩くか。だが、出来るだけ正門近くは避けた方がいいな」
マグギャランは言った。
「うむ、スカイよ。歩くのは無理だ。目の前に古代モンスター、タイガーン十匹だ」
スカイは言った。
「それじゃ走るだけかよ!行くぞ!」
スカイ、マグギャラン、コロン、ポロロンは走り出した。
デタトン市の南西の門には、幾つもの、エアカーが停止していた。
その中には、レニー達、鋼鉄少女隊が乗ったエアカーもあった。
メドウズはエアカーを南西の門に止めた。
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「デタトン製薬の本社を調べる事が目的のパーティは私達だけでは無いようだ」
レニーは、再び死を感じていた。
何で私のような、魔法使い見習いが、こんなエターナルの魔法使いでも生還が危ぶまれる危険な古代モンスターとの戦いをするというのよ!
レニーは諦観の念と、離人症に罹ったような状態から、ついに怒りの念が沸いてきた。沸々と沸騰を開始した。
レニーは言った。
「なんで!私がデタトン市に行くって言うのよ!」
メドウズは言った。
「それは、あなたが元気だからです」
レニーはプチンとキレた。
レニーは言った。
「私の様な!低レベルな!魔法使い見習いに何が出来るって言うのよ!」
メドウズは言った。
「あなたでも、デタトン市の探索は出来ます。あなたは、魔法使い見習いですが。健康な身体をしています。古代モンスターの発生場所を捜してきてください」
御領主様の、お嬢様は言った。
「そうだよ。ボク達でも出来る事は在るんだ」
レニーは言った。
「そんなモノ!無い!」
ローサル達キャンディ・ボーイズは、ターイの運転するエアカーで、デタトン市の南西の門に辿り着いた。
他のパーティ達も南西の門に集まっていた。
ローサルは言った。
「結構多いな」
シャールは言った。
「多分、デタトン製薬の帳簿を調べるのが目的だ。オレ達の目的はデタトン製薬と、ミドルン王家やガミオン大臣との手紙のやりとりだ。他のパーティの連中はミドルン王家とガミオン大臣が絡んでいる事は知らないはずだ」
ローサルは言った。
「そうだよな。オレ達はデタトンで何が行われていたかのガミオン大臣達の陰謀の証拠を握る事だ」
ソフーズはガムを噛みながら言った。
「きっと悪い事やっているぜローサル。権力者ってヤツ等は、オレ達平民達よりも、ずっと悪い事して、権力握っているんだぜ」
ローサルは言った。
「まあな、オレ達は、この古代モンスター騒ぎの核心となる真実を得られればいいんだよ。きっと、すげぇ秘密があるはずだぜ」
ターイは言った。
「さあ、降りますよ。口を、つぐみましょう。あの薄っぺらな愛国者の筋肉老人達も居ます」
ローサルは言った。
「ああ、そうだな」
ローサル達キャンディ・ボーイズの四人は南西の門を潜った。南西の門から見える、赤い煉瓦の時計台が付いた建物が、デタトン製薬の本社のようだった。だが、デタトン市は広い。大分歩く事に、なりそうだった。
レニー達鋼鉄少女隊は、メドウズの運転した、エアカーから降りると、ダイナマイト・シルバーズと合流した。
他にも十台近くのエアカーが止まっていた。
レニー達、鋼鉄少女隊と、ダイナマイト・シルバーズは作戦を練っていた。
デタトン製薬の本社を目指すにしても、デタトン市という城塞都市は、かなり広かった。
先に他の冒険屋のパーティ達は南西門からデタトン市に入っていった。
ローサル達キャンディ・ボーイズの四人は
、南西門を潜った。
他の冒険屋のパーティも九パーティ居た。
ローサルは言った。
「古代モンスター化はオレ達には起きていないな」
ターイは言った。
「ええ、他のパーティにも起きていません」
ソフーズはガムを噛みながら言った。
「オレはもう、ドキドキだぜローサル。何時古代モンスターになるか判らねぇぜローサル」
シャールが言った。
「待て、エーテル流が変わった」
キャンディ・ボーイズの三人は止まった。
突然辺りに女の高笑いが響いた。
「をほほほほほほほほほほほほ」
目の前の舗装された公園の広場に、蝙蝠が集まってきた。
他の冒険屋のパーティも身構えた。
ローサルとソフーズは剣を抜き、ターイは鉄節鞭を構えた。
蝙蝠の群れは人柱の様に集まった。
金髪の赤い水着のような服のようなモノを纏った身体をした女のような怪物が現れた。背中と腰、頭には3対の蝙蝠の翼を持っている。
女の形をした怪物は言った。
「私は「魔界七勇士、大蝙蝠羽(おおこうもりばね)のガイザンガー」
大蝙蝠羽のガイザンガーを右手を上に上げて。
「冒険屋達よ。デタトン市に近づくなと警告をしたはずだ。その警告を無視したな。処罰をする。死刑!」
作品名:戒厳令都市デタトンの恐怖 作家名:針屋忠道