戒厳令都市デタトンの恐怖
それが如何に愚かな行為であっても、ロマシク・ボンドネードは自分より偉い権力者の言う事には全て従っていた。「ウイッキイド・ゴースト」の局長Wもロマシク・ボンドネードと同じ種類の人間のようだった。
ジョイシャーは言った。
「あっはん、それでは、私達はデタトン市まで行くのですわん」
Dr.パンプアップ・ハイはニヤニヤしながら言った。
「丁度、デタトン市への直通トンネルが出来ていますから、わっしらは、ここからデタトンに向かいますんで」
ロマシク・ボンドネードの前で、二人の闇医者は、マンドン・ジャボルが開けた床の穴の中へと入っていった。
三人の怪人、Dr.パンプアップ・ハイと、ジョイシャー、クマの看護婦さんは空中に浮かんだ。そして、立ったままの姿勢で、高速でトンネルの中を移動開始した。
Dr.パンプアップ・ハイは腕を組んでニヤニヤ笑いながら言った。
「いやあ、ガミオン大臣も、面白いキャラクターだよね。彼の本性は、激サディストの暴君キャラだね。落ち目になると人間の本性が出るね。ガミオン大臣は実に卑しい権力者だよ」
ジョイシャーは巨大な胸を持ち上げながら言った。
「あっはん、うっふん。実に、お馬鹿な権力者ですわん。このジョイシャーがウンダバッタラ病の治療薬なんか与える筈なんか無いのですわん」
クマの看護婦さんは言った。
「ガミオンは醜い権力者なのね。感動できないから嫌い。だから見殺しにする」
Dr.パンプアップ・ハイはニヤニヤ笑いながら言った。
「それじゃ、ハイロー・ゲーム院長からの命令の実行だよ。ボク達はレクリエーター君の復活を、させなければならない」
ジョイシャーは言った。
「ああん、このジョイシャーの患者ですわん。まさか、完全に死んだと思っていた、レクリエーター君が、生きていたなんて、さすが、院長ですわん」
クマの看護婦さんは言った。
「そうよ。院長の口癖は「こんな事も在ろうかと思って」だもん。院長は用意周到なのよ」
Dr.パンプアップ・ハイはニヤニヤ笑いながら言った。
「それでは、レクリエーター君の復活パーティーとして、デタトンで大きな花火を打ち上げようじゃ無いか」
スカイ達はアンが運転する、フラクター選帝製のエアカーに乗った。アンはエアカーを発進させた。
アンは言った。
「さあ、特攻要員4名です。デタトンまで連れていきますか」
マグギャランは言った。
「また、トリプル・ヘッド・ドラゴン・タートルの前を突っ切るのか」
アンは言った。
「実は、安全なルートが、昨日の偵察行で判明しているんですよ。そう言う意味も在って偵察を組織的に行っているわけです」
アンは昨日とは違う道でエアカーを走らせた。
メドウズの運転するエアカーはレニー達鋼鉄少女隊を乗せて発進した。
レニーは言った。
「嫌だ、死にたくない!」
だがハンドルを握るメドウズは冷酷だった。
メドウズは言った。
「あなたの様に図太い根性をしていれば、大丈夫ですよ」
レニーは声色を作って、ブリッ子のポーズをした。
レニーは言った。
「わたし、か弱い女の子なの」
メドウズは言った。
「何を今更。臭い演技をしてもダメです。あなたは十分図太い神経の女性です」
ローサル達は、ターイの運転する、自分達のフラクター選帝国製のエアカーに乗って、ソフーズのナビゲートでデタトン市の南西の門を目指した。シャールはエターナルの分派が作ったフラクター選帝国の科学製品は、あまり好きでは無かった。
ローサルは言った。
「ここから見ると、人の気配が無い以外は
普通の城塞都市だ」
ソフーズはガムを噛みながら言った。
「でもよ、ローサル。中は、どうなっているんだろうな」
ローサルは言った。
「そりゃ、古代モンスターで溢れかえっているんだろうさ」
ソフーズは言った。
「古代モンスター相手に、オレ達の剣の腕が通用するかなローサル」
ローサルは言った。
「あの凶剣士屍より、強い古代モンスターは居ないはずだぜ」
ソフーズは言った。
「確かに、そうだよなローサル。オレ達は、あのバケモノと戦って生き延びているんだもんな」
シャールは言った。
「オレの雷光を斬った屍の剣。あれは、剣士や戦士、騎士の高レベルの者が使える必殺技「剣技(つるぎわざ)」だろう。ローサルやソフーズも使える」
ローサルは言った。
「だがよ、シャール。「剣技」は出るまでに時間が掛かるんだよ。遠方の敵を攻撃は出来るが。近くで戦う時は「剣技」は出せない事になる」
シャールは言った。
「そうだ。だが、屍は出の早い「剣技」を使える事になる」
ローサルは言った。
「オレ達も、もっと強くなる必要があるって事だ」
スカイ達、南東門の前に辿り着いた。
アンは言った。
「さあ、特攻要員の4名の方々、到着です」
スカイはエアカーの助手席の扉を開けて降りた。
スカイは言った。
「ああ判ったよ」
マグギャランとコロン、ポロロンも降りた。
マグギャランは言った。
「ふむ、なかなか、静まりかえっているところが逆に不気味だな」
ポロロンは言った。
「南東門は開放されていてデタトン市の中が見えますが。異常は見当たりません」
コロンは言った。
「……でも怪しいの」
スカイは言った。
「それじゃ、デタトン市の中に入るぞ」
スカイ達はデタトン市の南東門を潜った。
マグギャランは言った。
「ミュータント化が起きるか」
スカイは自分の身体を見回した。そしてマグギャランとコロンとポロロンを見た。何も起きていなかった。
スカイは言った。
「いや、起きないようだな」
マグギャランは言った。
「やはり、デタトン市の正門を避けた事は正解だったようだな」
コロンは言った。
「……魔法の気配がするよ」
スカイは言った。
「どういうことだよ。コロン姉ちゃん」
コロンは言った。
「……魔法の力が強いの」
突然哄笑が、わきあがった。
「フハハハハハハハハ!よくぞ見抜いたな!」
南東門の通りの石畳の地面が割れた。
そして、中から、炎に包まれたドクロの顔をした。そして骸骨の身体にマントを羽織った怪人が現れた。
「私は、「魔界の使者」マンドン・ジャボル様配下の「魔界七勇士」の一人「大火炎ドクロ頭のジャギール」!」
スカイは言った。
「ジャギール、テメェ、畜生!いきなり現れるんじゃねぇ!」
大火炎ドクロ頭のジャギールは言った。
「デタトンに近づくなとマンドン・ジャボル様が直々に出向いて、責任者に警告したはずだ。なのに、なぜ、お前達は、警告を無視したのだ」
マグギャランは言った。
「それは、脅されているからだ。国家権力とは時に無辜の人民に危険を強制するモノなのだ」
大火炎ドクロ頭のジャギールは言った。
「デタトンに近づくな、近づくと…」
そこまで言うと、突然、大火炎ドクロ頭のジャギールの顔に炎の矢が命中した。
大火炎ドクロ頭のジャギールは顔を押さえた。
「何するのだ。最後まで台詞を言わせろ!」
作品名:戒厳令都市デタトンの恐怖 作家名:針屋忠道