戒厳令都市デタトンの恐怖
「なんで、そこに居るんだよ!」
「そうだ!」
「ロマシク・ボンドネード!オマエが責任者だ!」
「逃げるな「逃げ足のロマシク・ボンドネード」!」
ロマシク・ボンドネードも騙しきれるとは思っていなかったが。嘘を、つき続けた。
ロマシク・ボンドネードは言った。
「私はオブザーバーだと言っているだろう!私に責任は無い!責任は全部、我が姪のモルガ・ボンドネードが引き受ける!」
モルガは言った。
「オイ、伯父貴、いい加減にしろ!」
ロマシク・ボンドネードは言った。
「モルガが責任者だーい!私は責任が無いんだーい」
ローサル達は、ロマシク・ボンドネードの醜態を見て笑っていた。
ローサルは言った。
「シャール。なんで判ったんだ」
シャールは言った。
「オレは生まれつき魔光眼を持っている。だから、魔法のエーテルの流れを見る事が出来るんだ。モルガ・ボンドネードの横でエーテルの流れが見えた。居るのは間違いなく、ロマシク・ボンドネードだ。だから、からかってやった」
冒険屋達はロマシク・ボンドネードを、つるし上げ始めた。
「オマエのせいで、仲間が死んだんだぞ!」
「オレは片腕を失ったんだ!」
ロマシク・ボンドネードが居る壇上に次々と、冒険屋達が昇っていき、ロマシク・ボンドネードとモルガ・ボンドネードは包囲されてしまった。
マグギャランが言った。
「行くぞスカイ」
スカイは言った。
「おうよ。テメェ!ロマシク・ボンドネード、コンチクショウ!オレ達をデタトン送りにしてテメェは、のうのうと安全な所で指揮官気取りかよ!」
スカイはマグギャランと一緒に壇上のロマシク・ボンドネードに詰め寄る冒険屋達の一団に加わった。
ロマシク・ボンドネードは、突然土下座をした。そして命乞いを開始した。
「私が悪かった。許してくれ!私が悪かった。許してくれ!」
ソフーズは吹き出した。
ソフーズはガムを噛みながら言った。
「ぷっ、情けねぇな。アレでも、ボンドネード一族かよ」
ローサルは言った。
「気をつけろよ。「逃げ足のロマシク・ボンドネード」だ、何か企んでいるぜ」
ソフーズは言った。
「あの状態で何が、できるって言うんだよ」
冒険屋達はロマシク・ボンドネードを包囲していた。
冒険屋達は口々に叫んでいた。
「こんな古代モンスターと、どう戦えと言うんだ」
「ふざけるんじゃ無い!」
「死んでいった仲間達をどうしてくれる!」
「美女のモンスターが出てこないぞ!」
「仲間の死体を埋葬していないんだ!」
突然、良く通る男性の大声がした。
「待ってくれ!皆、怒りを静めるのだ!」
背中に大剣を背負った、筋肉老人戦士に注目が集まった。
辺りが静まりかえった。
「私は、ブレキ元男爵だ。皆は、ミュータント騒ぎと聞いて古代モンスター達と戦う事になり、怒っている。だが、冷静になってくれ。我々が、ミドルン王国を救うために、今デタトンに行かなければ、後で酷い後悔を、することになるだろう。誰かが古代モンスターの発生場所突き止め、根絶しなければならない」
青いフルフェイスの兜を被った騎士が言った。
「だが、古代モンスターを倒す事は不可能だ!あんな強力なモンスターと戦った事は初めてだ!」
筋肉老人戦士は言った。
「皆、落ち着け。戦ってはいけない。我々の目的は、あくまで、古代モンスター退治ではなく、発生場所の発見にある。発生場所を発見できれば、古代モンスターの根絶が出来る筈だ」
顔に×印の傷を持った戦士が言った。
「だが、デタトン市に入った、ミドルン王国軍の兵士達が全員ミュータント化したはずだ。オレ達も、デタトン市に入ったらミュータント化するかもしれない」
筋肉老人戦士は言った。
「確かに、その危険性はある。だが、我々は、古代モンスターの発生する、デタトン市周辺のエリアの偵察を行ってきた。そしてミュータント化はしていない。原因は必ず、デタトン市にあるはずだ」
突然ロマシク・ボンドネードが言った。
「そうだ!私も、そう言おうとしていたんだ!諸君等、冒険屋達は、デタトン市の八つある門から突入する事になって居る。これは、ミドルン王国軍の兵士が入ってミュータント化した、正門以外の門でもある」
筋肉老人戦士は言った。
「判った。正門以外の門を選択する事は自由なのだな」
ロマシク・ボンドネードは言った。
「そうだ。自分達で判断してくれ。それぞれのパーティ専属のオペレータがデタトン市の街路を記した戦争用の地図を渡す。デタトン製薬も描かれている。確かに現状で一番怪しいのはデタトン製薬だ。だが、古代モンスター化の法則が、デタトン製薬以外の場所でも明らかになるかもしれない。怪しい場所は、デタトン製薬の本社。デタトン製薬の第一から第三研究所。デタトン製薬の第一から第五の製薬工場だ。それらは、全て、これからオベレータが渡す地図に描かれている」
筋肉老人戦士は言った。
「我々は、冒険屋として、ミドルン王国の為に働く必要がある。我々は、ミドルン王国全体が古代モンスターの活動場所となる前にに古代モンスターの発生場所を探し出し根絶し、ミドルン王国の全ての人間達を守る防波堤になる必要がある」
ロマシク・ボンドネードは言った。
「そうだ!私、ロマシク・ボンドネードも、同じ事を言おうとしていたのだ!」
冒険屋達は黙った。
そして壇上から降りていった。
スカイとマグギャランも渋々、降りていった。
スカイは言った。
「なんだよ、あの筋肉爺さん、何言い出すんだよ。上手い事言いやがって」
マグギャランは言った。
「うむ、上手く言ったが。あの筋肉老人は
、自分の命を賭けているから説得力があるのだ。コソコソとしているロマシク・ボンドネードの言葉には力がなく説得力がないのだ。オレも、筋肉老人に賛成するところはあるが。このミドルン王国はオレの祖国では無いのだ」
コロンとポロロン、そしてアンが居る場所に戻るとポロロンは涙を流していた。
ポロロンは言った。
「実に感動的な演説でした。わたくしは正義のために、ミドルン王国人民を守る防波堤になる決意はあります」
アンが言った。
「これが、デタトン市の地図です。軍事用ですから、できる限り紛失しないで持ち帰ってきてください。理想としては、スカイ、マグギャラン、コロンが死んで、ポロロン一人が帰ってくる事を望みます」
スカイは地図を受け取った。
そして素早く地図を見た。
スカイは言った。
「デタトン市の本社の建物はブードー子爵城の隣に立っている。第一研究所は、第一製薬工場に隣接している。だが、第二研究所と第三研究所は、かなり離れた位置にある。第二製薬工場から第五製薬工場まではバラバラの位置にある」
マグギャランは言った。
「正門の位置は、どこだスカイ」
スカイは地図を見た。
「このレインボー・リバー沿いの道と繋がっている」
スカイは言った。
「デタトン市の中を貫くレインボー・リバー沿いの製薬工場は、第三工場だ。一番怪しいのは、ここだな」
コロンが突然言った。
作品名:戒厳令都市デタトンの恐怖 作家名:針屋忠道