戒厳令都市デタトンの恐怖
ダイナマイト・シルバーズの四人と、レニー達鋼鉄少女隊の四人は、恐慌を来したサイを前にしていた。
サイはガタガタと震えていた。
サイは言った。
「私は、もう、これ以上ピココ様には付いていけません。許してください」
ピココは言った。
「判ったよサイ。怖いんだね。ごめんよボクは、サイを苦しめていた事に気がつかなかったよ」
あのう、私も苦しめているんですけれど。レニーは、御領主様の、お嬢様が言っている言葉に内心むかっ腹を立てていた。
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「ピココ、それがいい。サイ君は、生まれつき、気が弱いのだろう。人間には気質が様々にある。勇気が在るだけでは蛮勇でもある。
人には全て、それぞれ異なる長所と短所がある」
御領主様の、お嬢様は蛮勇だと思うんですけれど。レニーは内心イヤに、なりながら思った。
ウイッキイド・ゴーストのメドウズは言った。
「それでは、鋼鉄少女隊のサイ・ミットを精神的な外傷による心の壊れと処理します。それで、よろしいですね」
ピココは言った。
「うん、サイに不利にならないようにしてくれ」
レニーは、わざとフラついた。
レニーは言った。
「ああっ、私も心が壊れて、デタトンに行きたくないの。どうにか許してください」
メドウズは冷たい顔をしていた。
メドウズは言った。
「レニー・ハンドリング。あなたは、全然元気じゃ無いですか。仮病はダメです」
レニーは拗ねた声を出した。
レニーは言った。
「だって死にたくないの。あなたはデタトンに行かないのに私は行かされるでしょ。あんな強力な古代モンスター達が大挙して集まっているデタトン市へと」
メドウズは言った。
「おかしな声色を使ってもダメです」
レニーは言った。
「なんでサイは良くて、私はダメなの」
ピココは言った。
「レニーは肝っ玉が太いじゃ無いか」
何言っているの、この御領主様の、お嬢様は。
レニーは拗ねた声で言った。
レニーは言った。
「私は、肝っ玉なんか太く在りません。私は死ぬのが怖いんです」
メドウズが冷たい目でレニーを見た。
メドウズは言った。
「多数決です。レニー・ハンドリングが、図太い神経を持っていると思う人は手を挙げてください」
メドウズは手を挙げた。
ピココも手を挙げた、ダイナマイト・シルバーズの四人も手を挙げた。最後に留衣が手を挙げた。
メドウズは言った。
「レニー・ハンドリング、あなたは、十分に図太い神経を持っています、デタトン市内部への突入に参加して貰います」
レニーはキレた。
「なんで、私が、デタトンに行かなければならないのよ!」
ピココは言った。
「サイは仕方が無いけれど、レニーは、行くべきだよ」
レニーは言った。
「私は魔法使い見習いだから、高度な魔法は使えないの」
ピココは言った。
「ボクのグリフォン流も切り紙の腕前で、免許皆伝ではないから、古代モンスター相手には戦えないけれど、ボクは、このデタトン市の事件の解決に参加できれば、父上から、十分な殊勲を得たとして、グリップ男爵家を継げると思うんだ」
なるほどね、とレニーは思った。
デタトン問題に参加しても丸っきりメリットが無い事にはならない。
ピココは言った。
「もし、デタトン事件が解決したら、ボク達のパーティーは、解散すればいいんだ。それでいいだろうレニー、留衣」
留衣はニコニコしていた。
留衣は言った。
「ええ、判りました」
レニーも、チャンスを感じていた。
レニーは言った。
「それも、そうですけれど。この、デタトン市の事件で、パーティー解散は本当なのですか。ピココ様」
レニーは内心、しめた、と思っていた。口約束でも、約束を取れば、単純な頭の、御領主様の、お嬢様は約束に効力を感じる可能性は高かった。
ピココは言った。
「うん。ボクは、女男爵に、なることができればいいんだ。父上が、認めてくれれば、そこで鋼鉄少女隊は解散だよ。でも、デタトン市にボク達が行って、古代モンスターの発生場所を見つけてからだ。それまでレニーも付き合って貰うよ」
なんで、ここで、お役ご免にしてくれないのよ。この御領主様の、お嬢様は。レニーは
ピココが、あくまで、デタトン市にレニーを連れていこうとする事に内心憤慨していた。
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「サイ君は仕方がないが、レニー君は、参加する必要があるな」
レニーは反論した。
レニーは言った。
「なぜですか。
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「封建領主とは、領民の安全を守るという義務があるのだ。ピココのグリップ男爵家も同じだ。レニー君も、グリップ男爵家に守られていたから、エターナルの魔法使いを目指す事が出来た。だが、レニー君は自分の都合だけを述べてはならない。レニー君には、今まで守られていた事に対して、グリップ男爵家への義務が生じているのだ」
レニーは言った。
「私の自由はないのですか」
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「自由はあるが。義務は果たさなければならないモノだよ。私達ダイナマイト・シルバーズも、ミドルン王国から受けていた、安全と平和に対する義務として、デタトン問題の解決に向かわなければならない」
レニーは、もはや、何も言う気力をなくしていた。この頑迷な筋肉老人戦士ミスター・ジェイには何を言っても無駄だと思えていた。
何とかして逃げ帰ってみせるとレニーは思っていた。
ローサル達、キャンディ・ボーイズは、フラワー・ビレッジ村立体育館に向かって歩いて行った。
ローサルは言った。
「これはデカイ、事件だ。ガミオン大臣も動いている。ガミオン大臣は「ミドルンの本流」と呼ばれている「ガミオン貴族派」の派閥の領袖だ」
ソフーズは言った。
「そうだよなローサル。これは、デタトンには、とんでもない秘密があるって事だよ」
ターイは言った。
「そうですね。ここまで来た甲斐が在りました。古代モンスターが生まれた理由がデタトン市にあるはずです」
シャールは言った。
「「雷光の裁定学派」は雷光で全てを焼き払えば良い。それは、古代モンスターでも同じだ」
ローサルは言った。
「ガミオン大臣は何か隠しているはずだぜ」
ソフーズは言った。
「そうそう、悪い事してバレて隠そうとしているヤツさ。偉くても人間のやる事は変わらねぇよ」
ローサルは言った。
「デタトンの秘密を暴く。そして、オレ達は利益を得られるって寸法だ」
ターイは言った。
「そうですね。私もミュータントだと思っていましたが。絶滅したはずの古代モンスターが相手となると考え方が変わりますね」
シャールは言った。
「確かに、そうだな、古代モンスターは絶滅したはずだ。なぜ、今、生きているのかが判らないな」
ローサルは言った。
「シャールも魔法使いらしく興味持っているじゃ無いか」
ソフーズは言った。
「そうそう」
シャールは言った。
「古代モンスター相手に、俺の雷光が、どこまで通用するかに興味がある」
ターイは言った。
作品名:戒厳令都市デタトンの恐怖 作家名:針屋忠道