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戒厳令都市デタトンの恐怖

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 「そうですか。寿命は長い方が良いですからね」
 計算高いロマシク・ボンドネードは、自分も、その利得に与れるか、どうか,胸の内で皮算用を立てていた。
 ガミオン大臣は言った。
 「実はロマシク。私の家系は、高齢になると、死に至る病、ウンダバッタラ病を発症してしまうのだ。私の父も祖父も、ウンダバッタラ病で死んでしまった。実は私もウンダバッタラ病の症状が出ているのだが。この闇医者達が作り出す錬金術の秘薬で辛うじて痛みを抑えているのだよ。そうだよ、ロマシク。私は死ぬのが怖いんだよ。この歳になっても、死ぬのは怖い。なぜ自分が死ななければならないのか理解出来ない。私は、ミドルン王国という歴史在る中コモンの大国の大臣なのだよ。生まれつきの大貴族ガミオン家の嫡男でも在る。その私が、下賎な、下らない庶民達と同じように死ななければならない事が理解出来ないのだ。そうだ。私は怖いのだよ。死ぬのが怖い」
ロマシク・ボンドネードは、ある程度納得した。なぜガミオン大臣が、胡散な闇医者を連れているかを。
 ロマシク・ボンドネードは言った。
「ウンダバッタラ病は、たしか全身の筋肉が骨と神経になる病気では?」
 ガミオン大臣は突然苦しみだした。
 ガミオン大臣は言った。
「そうだ。うううっ。薬を!左半身が痛み出した。骨化が進んでいる!全身が骨になってしまう!神経が痛い!痛い!痛い!」
金髪の女の闇医者は言った。
 「はいデスわん。ジョイシャーの、処方した、お薬ですわん」
 金髪の女医ジョイシャーは、ブリッ子のポーズを取ると巨大な胸の間から黒いレースの見せブラを見せて注射器を取り出した。
 そして、ガミオン大臣の左半身に注射の針を打ち込んだ。
しばらく経つと、ガミオン大臣は落ち着いた。
 ガミオン大臣は言った。
「私も歳だ。ウンダバッタラ病が進行している。身体が思うように動かない。とくに左半身の骨化が酷い」
筋肉質の闇医者は言った。
 「ええ、そうなんですよ。医学的見地から言うとウンダバッタラ病は完全に進行を止めることは出来ないんですねウンウン」
なるほど。と、ロマシク・ボンドネードは思った。この闇医者達は、ウンダバッタラ病の進行を食い止める薬をガミオン大臣に渡している訳では無い。
 多分、ガミオン大臣から高額の診療報酬を受け取る事が目的だ。遺伝病で在るウンダバッタラ病の進行を遅らせている訳では無いだろう。
ただ単にウンダバッタラ病の骨化と神経化の際に生じる痛みを緩和するペイン・キラーをガミオン大臣に渡しているだけに思えた。
 だが、ガミオン大臣は、この2人の闇医者を頼っている。
 つまり、この2人の闇医者は権力を持っている。だから、ロマシク・ボンドネードは、黙っている事にした。

翌日の早朝五時スカイ達4人はフラワー・ビレッジの村立体育館に呼び出された。
アンがミドルン王国の緑と赤の制服を着て居た。
スカイは言った。
 「何だよ。今度は何させるつもりだよ」
 マグギャランは言った。
「そうだ。オレ達は十分ミドルン王国のために働いたのだ」
 コロンは欠伸をして青いコートのボタンを留めていた。
 ポロロンは言った。
 「わたくしは何時でも正義の為にデタトン市へ行く覚悟が在ります」
 アンは言った。
 「良い覚悟ですポロロン。それに引き替え、この冒険屋の3人と来たら、ぐだぐだ文句を言うわ、欠伸はしているわ。だらしない腰抜けの○○○○のピーーーー(放送禁止用語)×××ですからね」
 スカイは言った。
 「その手には、二度目は、ひっかからねぇよ」
 マグギャランは言った。
 「そうだ、オレ達も学習は出来る」
アンは言った。
 「ほう、あなた達の様な非国民の、反ミドルン王国勢力の一員でも、学習は出来るのですか」
スカイは言った。
 「うるせぇな。オレ達は、適当に流しているだけさ」
 マグギャランは言った。
 「そういえば、酔いどれ決死隊のブランデーは、どうなったんだ」
アンは苛立たしそうな顔をした。
アンは言った。
 「あの女は逃げました。ただの酔っ払いだと思っていたら非国民だった」
 スカイは言った。
 「オレ達も逃げようぜ」
 アンは言った。
 「私が許すと思うのですか」
 マグギャランは言った。
 「難しい事では無いぞアン。オマエを、どっかに、ふん縛って地下室にでも転がしておけば良い。そしてオレ達は逃げ出せばいいのだ」
 アンは言った。
 「ほう、実行に移す度胸は在りますか。死ぬまで「ウイッキイド・ゴースト」に命を狙われる事になりますよ。あの酔っ払いの非国民ブランデーと違って、あなた達は、ミドルン王国に貸しが在るんですよ。森人達の国「永久(とこしえ)の森」をミドルン王国に服属させる長年の、二百七十年近く続けていた計画を、たった二週間で台無しにしたのですから」
 スカイは言った。
 「しょうがねぇだろう。どう考えても、ミドルン王国の方が悪いさ。森人達はミドルン王国が出来る前。シュドリア帝国の建国前から、「永久の森」に住んでいるんだ。アイツ等森人は千年ぐらい寿命が在るから、凄い昔の事も知っているんだよ」
 アンは言った。
 「森人が如何に危険だか判っているのですか。人間よりも頭が良く、魔法が得意で、精霊も使えて、弓矢が上手く、容姿が優れていて、長寿で、病気に掛かりにくい体質をしている。どう考えても人間よりも優れているんですよ」
 スカイは言った。
 「アイツ等森人は、アイツ等で、大した野心を持っているわけじゃ無いさ」
 マグギャランは言った。
 「うむ、オレもスカイに賛成だぞ。なんとなくマッタリとした森人の情緒に、オレも深く感じ入るところが在るのだ」
 アンは言った。
 「あなた達は、森人達に騙されているんですよ。森人達は戦争が始まったら如何に危険な、連中だか知っているのですか。フラクター選帝国建国戦争、混沌の大地戦争で、他にイシサ建国戦争などで森人達が如何に危険な働きをしたかを知っているのですか」
 スカイは言った。
 「知らないな」
 マグギャランは言った。
 「確かに森人は、人間の歴史では様々な介入をしているが。森人は結局は、歴史上、自分達の住む森以上に勢力範囲を広げようとはしていないのだ。アン・ヘイコックよ。確かに森人は人間よりも優性遺伝を持った種族かも知れないが、気にしすぎでは無いかね」
 アンは言った。
 「十分気にします。もしフラクター選帝国の思想を森人達が全員信じたら、どうしますか。優性遺伝を持った森人達に人間達は支配されてしまいます」
 マグギャランは言った。
 「アンよ、フラクター選帝国の皇帝で森人が皇帝だった事は一度も無いのだぞ。今の皇帝は竜人族だ」
 アンは言った。
 「これから将来に森人達が、フラクター選帝国の皇帝になったらどうするのですか」
 マグギャランは言った。
 「うむ、アンよ、未来の事は誰も判らぬのだ」
 やる気の無いスカイ達3人と、1人だけ張り切っているポロロンは、アンに連れられて、フラワー・ビレッジ村立体育館に向かった。 
レニー達はメドウズに呼ばれた。