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戒厳令都市デタトンの恐怖

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これで、男系のボンドネード・ファミリーは相続順からいけば、ルーサーが死亡すれば弟のロマシク・ボンドネードが相続する事になる。そしてエターナルの魔法使いの息子達2人の、どちらかに相続させれば問題は無い。
モルガが証人になって、カッシーの死の責任はロマシク・ボンドネードには回ってこなくなる。
 マンドン・ジャボルは言った。 
「よし、邪魔者は片づいた」
 それはロマシク・ボンドネードの答えでもあった。
 マンドン・ジャボルは言った。
「いいか責任者よ。このマンドン・ジャボルを怒らせたくなければ、デタトンに近づかない事だ。これから人が近づいた時、デタトンから魔界の軍勢が押し寄せることになる」
そして、マンドン・ジャボルは割れた床から消えていった。
 ロマシク・ボンドネードはホッした。
 だが、ロマシク・ボンドネードは、第二段階を明日の明け方と共に進めるつもりだった。そして第二段階が成功した時点で、第三段階へ明日中に移行する。
 勝負は明日だった。
モルガは言った。
 「おい、カッシー、どうした。生きているかよ?」
 モルガが、カッシーの頬を叩いていた。
ロマシク・ボンドネードは言った。
 「駄目だ。モルガ、あんな怪物に吹き飛ばされたんだ。カッシーは死んでいる」
 モルガは言った。
 「いや、伯父貴生きているようだぜ。心臓は動いている」
 モルガはカッシーの首筋に手を当てて言った。
 カッシーの白目が青い瞳になった。
 カッシーは言った。
「あーん、もう、今日のオレ様最悪。戦闘中にオネンネなんて、ダサダサ。オレ様らしくないったら、ないない。テンションがた落ち」
 壁に、めり込んで死んだハズのカッシーが
壁から出てきた。
 なんという頑丈さだ。
ロマシク・ボンドネードはカッシーが全身に付いた壁の粉を払い落としている所を見て呆れていた。
 カッシーは頭が悪くて、医者に、なれないから、軍神マチョキンの神殿で回復魔法を学んでいる。
 全身が光っているのを見ると、どうやら自分で自分の身体を治しているようだった。

ポロロンは嘆息していた。
 ポロロンは言った。
「ああっ、なんて、この世界は、こんなにも、悪に満ちているのですか」
 スカイは言った。
 「そりゃ、まあ、世の中、上手くは行かないよな」
 ポロロンは言った。
 「いえ、わたくしはスカイのように諦めません。戦います。私は、正義の為に戦います」
 マグギャランは言った。
「ポロロンよ。正義などと言う物は、およそ、相対的な物なのだぞ。世の中適当に、かつ曖昧に出来ている物なのだ」
 ポロロンは言った。
 「相対的とは、何でしょうか。正義は常に一つの筈です」
 マグギャランは言った。
 「つまり、相対的とはな。在る人間が,自分には正義が在ると、考えて居て戦いを挑んでも、戦いを挑まれた人間には、別の正義が存在する場合も在るのだ。それは、国と、国の関係でも同じではないかね」
 ポロロンは言った。
 「いいえ、私は、常に正義は、どちらか一つに在ると考えます。相対的などと言う考え方は、私には考えられません」
 マグギャランは言った。
 「どうするのだ、ポロロン」
ポロロンは言った。
 「つまり、わたくしは、このデタトン市の悪を必ず倒してみせると言う事です。それが正義の為に生きる、アッパカパー伯爵家に生まれた者の義務で在り、宿命なのです」
 マグギャランは言った。
 「だが、ポロロンよ、お前は、アッパカパー伯爵の娘で在って、戦う能力など無いだろう。どう考えても、デタトン市の中の方が、強いミュータント。つまり、古代モンスターが潜んでいるだろう」
 ポロロンは言った。
 「いいえ、わたくしには戦う力は在ります。わたくしは、アッパカパー伯爵領に伝わる、足技主体の民族格闘技、ケッポラ蹴撃術の使い手です。そして、イシサの教会に伝わる回復魔法も少し使う事が出来ます」
 スカイはフト気がついた。
 スカイは言った。
 「そういえば、ポロロンのメイドのプリムが蹴りばかりで、オレ達に戦いを挑んできたが、あれがケッポラか」
 ポロロンは頷いて言った。
 ポロロンは言った。
 「そうです。プリムは、ケッポラが得意なので、私のメイドをしていたのです」
スカイは言った。
 「それじゃ、マーガリーナは、何なんだ。何もしていなかっただろう」
ポロロンは言った。
 「マーガリーナはトレーダー語が得意です、ですから、わたくしにトレーダー語の勉強を教えていたのです。ですから、わたくしは、今、トレーダー語が喋れます」
 確かにコモンの共通語であるトレーダー語を喋っていた。
マグギャランは言った。
 「で、どの程度の腕前だというのか。いや、蹴り技ならば、脚前とでも言うのだろうか」
 ポロロンは言った。
 「わたくしは、プリムと組み蹴りをして、三回に一回は、プリムから勝ちを取れます」
マグギャランは言った。
「で、プリムは、強いのかねポロロンよ。大体、オレとスカイの二人を相手に、分銅鎖を振り回して蹴り技乱発で、ほぼ互角だったぐらいか。だが、オレ達も手は抜いていたぞ」
 ポロロンは言った。
 「確かにプリムは、ケッポラが得意ですが、アッパカパー伯爵領には、もっと得意な人達は沢山居ます。プリムは、同世代の、わたくしの話し相手だったのです」
 マグギャランは言った。
 「それじゃ、ポロロン。オマエは、どうするのだ」
ポロロンは言った。
 「わたくしは正義の為に戦います。デタトンの悪を蹴り倒します」
スカイは言った。
 「大体、なんか怪しいぜ、このデタトンの古代モンスター事件は」
 マグギャランは言った。
 「確かにそうだ。オレ達は逃げ出す事を考えた方が良いだろう。あの古代モンスター相手に、まともに戦えるとは思えぬ」
ポロロンは言った。
 「この後に及んで何を言うのですか。ミドルン王国の為、そして正義の為に悪と戦うのです」
 コロンは言った。
「……でも、そのウェディング・ドレスでどうやって戦うの?」
 ポロロンは言った。
 「確かに、このウエディング・ドレスではケッポラを使うのは少し難しいです」
 ポロロンは自分が着ている裾を引きずる泥や土埃で所々汚れた白いドレスを見た。
 ポロロンの白いドレスは、今日の偵察行で,裾が、すっかり土埃で汚れていた。
 「それじゃ、オレのナイフで裾を切るか?」
 スカイは腰のナイフをポロロンに見せて言った。
 「ええ、そうします」
 ポロロンは、スカイのナイフを受け取ると、
白いドレスの裾を自分で切っていった。白いドレスの裾から筋肉の付いた形の良い脚が出てきた。
 大体、膝下ぐらいの長さでポロロンのウエディング・ドレスの裾は切られた。
 マグギャランは言った。
 「プリムが、やった空中三段跳び蹴りは出来るのかね」
ポロロンは言った。
 「あまり、得意では無いのですが。わたくしも出来ます。今見せましょう」
 ポロロンは、空中に跳ね上がった。
ポロロンは言った。
 「ハイっ!」
 ポロロンは掛け声を掛けると、空中で三段跳び蹴りを行った。