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戒厳令都市デタトンの恐怖

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 途中で全滅したパーティーは、6パーティー、死亡者は42人、怪我人は重傷者36人だった。第一段階のミュータントマップ作成に参加した32パーティー、162人から78人が使えず。84人を第二段階のデタトン市への突入しての古代モンスターの発生場所を突き止める任務に参加させる。
 更に控えの5パーティ26人を第二段階に参加させる。31パーティー、合計110人が第二段階に参加する事になる。
ここまで、段取りは整った。
 ロマシク・ロマシク・ボンドネードは言った。
 「これで、段取りは付いた。明後日、デタトン市の内部へ向けて第二段階の古代モンスター、発生場所探索の任務を開始する」
 モルガは肉の塊を食べながら言った。
 「でもよ伯父貴。こんなに死ぬとは思わなかったぜ。冒険屋は目端が利くはずだ」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
 「ああ、そうだ。だが、予定の範囲内だ。第一段階で、優秀で無い冒険屋のパーティーは脱落する事になる。必然的に、優秀な冒険屋のパーティーだけが、更に危険な、第二段階のデタトン市内部での古代モンスターの発生場所の探索が出来る。そして、そのまま第三段階の発生源の根絶に向かう。それで、我々、ボンドネード・ファミリーはミドルン王家から依頼された、この仕事をコンプリートすることが出来る」
 モルガは言った。
 「さすが、伯父貴は、冒険屋のキャリアが長いだけ在ってズル賢いな。頭が回る」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
 「人聞きの悪い事を言わないでくれ。私は、ミドルン王国の臣民として働くのだよ」
モルガは言った。
 「伯父貴はガミオン貴族派なんだろう」
ロマシク・ボンドネードは言った。
 「そういう政治の話しはよしてくれ。私は、政治と宗教の話しは、しないんだ」
 モルガは、余計な事を言おうとしていた。現在のミドルン王国は、ガミオン貴族派、ベチャル改革派、マキル軍部派の三つの派閥に分かれていた。ロマシク・ボンドネードはガミオン貴族派で、兄のルーサー・ボンドネードはベチャル改革派、弟のリート・ボンドネードはマキル軍部派だった。
 そのとき、異変が起きた。何かが崩れる音がしたのだ。
 ミドルン王国が接収しているフラワー・ビレッジの村長の家の臨時作戦室の、下の方で何かが起きたのだ。
 ロマシク・ボンドネードは素早く、逃げだそうとした。
 モルガは言った。
 「伯父貴!またアタイを置いて逃げ出す、つもりかよ!」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
 「違う、音源を確認するのだ」
 突然床が裂けた。
 そして、巨大なバケモノが飛び出してきて、姿を現した。
 蛇のような胴体に、人間に似た六本在る腕の上半身が付いた怪物だった。人間の上半身は五メートルぐらいもある。
 モルガは剣を抜いたまま固まっていた。
「なんだよ、この怪物は。こんなモンスター。アタイは見たことも聞いたこともねぇ」
怪物は六本在る腕を左右二本ずつ組んでいた。
怪物は言った。
「私はマンドン・ジャボル。現在は「魔界の使者」とでも呼んで貰おうか」
ロマシク・ボンドーネードは逃げだそうとしたが。この臨時作戦室には逃げ出すための入り口がマンドン・ジャボルの巨体に塞がれていた。
 ロマシク・ボンドネードは常に安全第一が身上だった。
 逃げられない場合のセカンド・プラン、「交渉」に移った。
 ロマシク・ボンドネードは時間を稼ごうとした。
 ロマシク・ボンドネードは言った。
 「何だ、お前は」
怪物マンドン・ジャボルは言った。
 「ミドルン王国は、このマンドン・ジャボルが、これから支配する。と、この私が今、決めた。お前達には忠告のために五人の兵士を送り返したが。どうやら判って、くれないので。この私が直々に出向いて、やって来たのだ」
怪物は言った。
 「何を言っている」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
この怪物は、ミドルンを支配すると言っているが。何を根拠に言っているのか。確かに、ミュータント化はミュータントではなかったが。古代モンスター達を操る能力を、この怪物は持っていると言うのだろうか。
 怪物マンドン・ジャボルは言った。
「このマンドン・ジャボルは、この世を魔界にする事ができるのだ。そして、このミドルン王国のみならず、コモン全域、果ては世界全部を魔界にしてしまうのだよ。そして、このマンドン・ジャボルは魔王として世界に君臨するのだ」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
「ハッタリだ」
 マンドン・ジャボルは言った。
 「ほう、何故ハッタリと言い切れる」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
 「お前が、本当にミドルン王国を魔界にする力を持っているなら、わざわざ、このフラワー・ビレッジまで出向く必要はない。お前の方に不利な条件がデタトン市に在るから、我々が冒険屋を使うことを妨害しようとしている」
 それに自らを魔界の使者と名乗っている。何か魔王と名乗れない理由が在ることは間違いなかった。
 マンドン・ジャボルは言った。
「いいのかな、いいのかな。そんな事を言って良いのかな。知らないよ。知らないよ」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
 「何を言いたい」
 マンドン・ジャボルは言った。
「フフフフフフ。このマンドン・ジャボルが、その気になって命令を出せば。魔界の軍勢が動いて、一気に、この村に集結しているミドルン王国の連中を皆殺しに出来るのだ。当然、お前も含めてだ」
ロマシク・ボンドネードは言った。
「だが、私達も、冒険屋をデタトンに送り込む事が出来る。そうすれば、お前が困り隠そうとする何かを見つけ、このミュータント問題を解決する事になるだろう」
 突然愚か者の声がした。
カッシーは言った。
「ハハハッ。なぁーに。ねえ、何の音?」
 カッシーが臨時作戦室に入ってきた。
 ロマシク・ボンドネードは、瞬間的に策を思いついた。
 カッシーをマンドン・ジャボルに殺させる策をだ。そうすれば、ボンドネード家の家督争いからカッシーが消える事になる。
 カッシーはマンドン・ジャボルを見て笑い出した。
 カッシーは言った。
「アハハッ。何?超ダサ。そんな格好悪い格好しちゃって。蛇の胴体なんか今の時代に流行遅れだよハハッ。やっぱりオレ様の様に、極上の筋肉の服を身に纏わないとダメダメ」
 マンドン・ジャボルは言った。
「何だ、このバカ者は」
カッシーは言った。
 「アハハッ!オレ様を知らないの?あーん、もう、そんなダサダサの格好しているだけあって時代に乗り遅れているね。ハハッ!まあ、いいや。じきに、オレ様がテレビの電波に乗って、MHK・マッチョ・ワールドでアナウンサーするから…」
 マンドン・ジャボルは言った。
 「べし」
 マンドン・ジャボルは言うと巨大な尻尾を振り回した。
 カッシーは言った。
「うげら!」
 カッシーに直撃した。
 カッシーは吹き飛ばされて壁に、めり込んだ。
 どうやら、ロマシク・ボンドネードが策を巡らす必要も無かったようだ。
 カッシーは口から血を吐いて、目が白目を剥いて、鼻血を垂らしていた。