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戒厳令都市デタトンの恐怖

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 マグギャランは言った。
 「なに、なんて頑丈な身体をしているのだ」
片腕の戦士が言った。
「まともに戦うな!跳びケラは動きが素早い上に身体を覆っている外殻は、物凄く固い」
クラクションが鳴らされた。
 スカイは、エアカーの方を見た。直ぐ、そこまで来ている。
 左側の運転席にはアン・ヘイコックが座ってハンドルを握っている。
スカイは言った。
「エアカーだ!アンが来たぞ!」
 アンの運転するエアカーがドリフトして、更にグルグルとスピンして回転しながら走ってきて跳びケラを跳ね飛ばしてスカイ達の前で止まった。
スカイ達の前に停まったエアカーの、ガル・ウイングのドアが開いた。
 アンが言った。 
「さあ!早く乗って!」
 スカイは言った。
 「よし乗り込むぞ!」
 マグギャランは言った。
 「だが、これは四人乗りだぞスカイ」
アンがクラクションを鳴らした。
 アンは言った。 
 「さっさと詰めて乗りなさい!」
 まずコロンが後部座席に入った。そしてポロロンが横に入った、
マグギャランは言った。
 「スカイ、お前は助手席に乗れ」
 スカイは言った。
 「判ったよ」
 スカイはアンの隣のドアを開けて、助手席に座った。そしてブランデーがスカイの横にに無理矢理入った。
 マグギャランは言った。
 「アン!コロンの杖が長くてドアが閉まらないぞ!」
 アンは言った。
「構いません。このまま急発進します」
 アンが言い終わる前に、エアカーはグルグルとドリフトを開始してターンが始まった。スカイはブランデーの肘で横っ面が押された。全身にGが掛かって、スカイは、気分が悪くなった。案の定、回転に弱いコロンは口を押さえていた。アンは、飛び掛かってくる、トビケラをエアカーで、跳ね飛ばした。
 アンの運転するエアカーはレインボー道路を猛スピードで走りはじめた。
 マグギャランは言った。
 「酷い運転だな」
 助手席でスカイは、酒を魔法瓶から出しているブランデーに押されてアンの肩にぶつかった。
 アンは言った。
 「運転の邪魔です」
 スカイは言った。
 「助手席に二人は多すぎだよ」
アンは言った。
「我慢しなさい」
 スカイは言った。
 「それだけかよ。ん?」
スカイは、レインボー・リバーの川の中から,三十メートルぐらいの巨大な影を発見した。川のヌシにしては大きすぎる。
 スカイは前を指で示した。
スカイは言った。
 「おい、アン。見て見ろ、レインボー・リバーに何か居るぞ」
 アンが言った。
 「カイマン男など、私のハンドル捌きで、かわしてみせますよ」
 アンがエアカーのハンドルをぐるぐると回した。
だが、突然、レインボー・リバーから巨大な三十メートルぐらいある小山のような巨大モンスターが現れた。
 なんじゃい!ありゃ?!
 スカイはドラゴン・タートルらしい甲羅の生えたモンスターを見て驚いていた。
 あんなモンスターと戦って勝てるはずはなかった。
 マグギャランは言った。
 「ぎゃぁっ!ドラゴン・タートルだ!それも三つも頭が付いているぞ!アレはトリプル・ヘッド・ドラゴン・タートルだ!出題頻度は☆2つ!」
 アンは言った。
 「突っ切ります」
 アンがエアカーのスピードを上げた。
マグギャランは叫んだ。
「止めろ!炎を三つの頭から同時に吐くぞ!突っ切るな!安全運転だ!」
 アンは言った。
「ゴー!」
 アンはエアカーのハンドルを捌いて、トリプル・ヘッド・ドラゴン・タートルが三つある頭を向けている方向から右に回り込もうとした。
 だが、その先はレインボー・リバーだった。
スカイは叫んだ。
 「アブネェ!ドアが開いて居るだろ!」
 アンはハンドルを、ぐるぐると回した。
「このハンドル捌きに任せなさい!」
スカイ達の乗ったエアカーは、水しぶきを上げてレインボー・リバーへと突進していった。
スカイは驚いた。
 スカイは言った。
「何だ!沈まないぞ!」
アンは言った。
「このフラクター製のエアカーは、水上も走れるんですよ」
 アンがエアカーにレインボー・リバーの上を走らせていた。

 レニー達は,デタトン市の外壁に辿り着いた。
 レニー達を担当しているウイッキィド・ゴーストのメドウズが,エアカーでレニー達を迎えに来るらしかった。
 ウイッキィド・ゴーストの携帯電話でメドウズは、レニー達、鋼鉄少女隊と、ダイナマイト・シルバーズが、全員無事だったことに驚いていた。二台のエアカーが迎えに来ることになった。
 メドウズは言った。
 「ドラゴン・タートルが出たんです迂回路を通ります」
 メドウズの、とった迂回路は、モンスターと遭遇せずに済んだ。
 サイがフラワー・ビレッジに到着するとエアカーの中でサイが泣き始めた。
ピココは言った。
 「どうしたんだ、サイ」
 御領主様の、お嬢様は怪訝そうな声で聞いた。
サイは両手で顔を押さえて泣いていた。
サイは言った。
 「怖かったんです。とても怖かった」
ピココは言った。
 「サイは,グリップ男爵家のスカウト団の団長の娘だろう。なんで、そんなに臆病なんだ」
 御領主様の、お嬢様は言った。
 サイは涙ぐんでいた。
 サイは言った。
 「もう,許してくださいピココ様」
 レニーは言った。
 「本物の古代モンスターを見れば当然ですよ」
律儀で生真面目手で、御領主様の、お嬢様に忠実なサイがレニーの味方についてくれるかもしれなかった。
サイは涙を拭っていた。
 サイは言った。
 「確かに私はスカウト団の団長の娘です。でも、だからといって、お父さんと同じでは無いんです。私には勇気は在りません。むしろ、子供の頃から、臆病だったんです」
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは溜息をついた。
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「ピココも未熟だな」
 ピココも泣きそうな顔だった。
ピココは言った。
 「どういう事ですかミスター・ジェイ」
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「ピココは冒険屋の基本的な編成を考えたのだろう」
 ピココは言った。
 「え、ええ、そうです。戦士系がボクで、魔法使い系がレニー、スカウト系がサイで,回復系が留衣です。何か、おかしいことが、在るのでしょうか」
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「確かに、ピココが編成した、鋼鉄少女隊のパーティは、バランスがいい。最初から冒険屋の仕事を行う編成としては理想的とも言えるだろう。だが、重大な欠陥がある」
 ピココは困惑した顔だった。
 ピココは言った。
 「どのような、欠陥でしょうか」
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「仲間同士の信頼と理解が、まるっきり無い事だ」
 ピココは言った。
 「確かに、そうです。ですが、ミスター・ジェイ。冒険を続けていけば、必ず信頼も理解も得られると思っていたんです」
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「ピココは、今のままでは、グリップ男爵家を相続しても悪い領主にしかなれないぞ。それも領民に嫌われる領主になってしまうだろう」
ピココは言った。