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戒厳令都市デタトンの恐怖

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 「ゴメン、レニー。そんなに大事だって知らなかったんだ。レニー・ハンドリングは、勉強好きで将来立派な魔法使いになれるって噂を聞いて…。それで、きっとボクを助けてくれるって思って」
 御領主様の、お嬢様は言った。
 レニーは言った。
 「人の噂なんてアテには出来ませんよ」
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「レニー君。貴族にとっては、家督を継ぐことは重要な意味を持つんだ。少しはピココの事も理解してくれないか」
 レニーは言った。
 「理解はできますが。私は自分の都合を優先させなければ駄目だと思うんです」
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「君は頑固者なんだな」
レニーは言った。
 「ええ、そうです。私は頑固で、ワガママで自分勝手で、自分の都合を何時でも優先させる人間なんです」
 レニーは自嘲気味に言った。
 これだけ言えば、御領主様の、お嬢様だって諦めるだろうとレニーは考えた。
ピココはムッとした顔で言った。
ピココは言った。
 「レニー、ボクだって頑固者なんだぞ。ボクは、家督を継ぐためには何だってするんだ」
 レニーは言った。
 「それが、鋼鉄少女隊ですか。ですが、上手く行って、いないですよ。留衣は,ヤマト人の末裔で、神官魔法が使える神社の巫女ですし、サイは,グリップ男爵家に使えるスカウト団の娘というだけで,選んだのでしょう。そして、私は、エターナル受験を、しているだけで選んだ。でも、よく考えてください、私も含めて、サイも、留衣も冒険屋になることは望んでいないのです。あなたが、グリップ男爵家の嫡女で在るから、私達は御領主様の、お嬢様として、付き合っているだけです」
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは厳しい目でレニーを見た。
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。 「レニー君、君は、ピココを手伝う気は無いようだな」
レニーは言った。
 「そうです」
 ミスター・ジェイは言った。
 「ピココ、このデタトン市の事件が終わったら、レニー君は、パーティから外した方が良いだろう。冒険屋の仕事は,仲間内の信頼関係が無ければ、上手く行かない仕事になって居る。つまり命を仲間達と預け合う冒険屋の仕事は、チームワークが無ければ駄目だ」
レニーは、その言葉を待っていた。レニーは虚ろな笑みを浮かべた。
 レニーは言った。
 「ええ、それが一番良いと思います」
ピココは大声で言った。
 「いやだ!」
 え?なんで?
 ここまで来て、この御領主様の、お嬢様は何を言っているの?
 レニーは、思った。
ピココは言った。
 「ボクは、レニーと友達に、なりたいんだ」
 ピココは涙ぐんでいた。
 そんな理由なの?
 レニーは呆れた。
 馬鹿らしすぎた。こんな理由で、御領主様の、お嬢様が、自分を死ぬことが決まっているデタトン市の事件に連れて来たことに。
筋肉女老人レンジャー、ミセス・ポッポーは言った。
 「ミスター・ジェイ、なにかが来るわよ」
 レニーはハッとした。
 そして辺りを見回した。
 畑の中から、巨大なトゲの生えた金属製の鉄球を右腕に持った,二メートルぐらいのロボットが現れた。
 筋肉老人魔法使いミスター・シーンは言った。
 「あれは、古代モンスター、キラーボットだ」
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「多分、あの鉄球がメインの武器だろう」
 筋肉老人魔法使いミスター・シーンは言った。
 「直接は戦わない方がいい」
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「移動速度は遅いようだ。我々はデタトンへの道を走って、キラーボットを引き離す」
 そしてレニー達は走り出した。
 デタトンへと続く道を。

スカイ達四人と、酔いどれ女魔法使いブランデーはデタトン市の周りを囲む城壁まで来た。
スカイは言った。
「アンの奴、来ないな」
携帯電話を掛けてアンを待っていた。
マグギャランは言った。
「そう、すぐ、来るものではないだろう、俺達が全員乗れる馬車なら、速く走らせても時間が掛かる」
 マグギャランは神経質そうな声だった。そして辺りを警戒していた。
 他にも、デタトン市の正門の前に、別のパーティがやってきた。怪我人ばかりがいるパーティだった。
スカイは言った。
 「よう。お前さん達は、どこのパーティだい」
男の戦士は左腕が無く。魔法使いらしい男は右目に包帯を巻いていた。そして赤いローブから見える左腕には包帯が巻かれていた。
 左腕の無い戦士が右腕で剣を持ったまま言った。
 「俺達は黒獅子だ、そしてもう一組は機械兵団だ」
右目に包帯を巻いた魔法使いが言った。
「あんな強いモンスターは初めてだ。あれはミュータントなんかじゃない。絶滅した筈の古代モンスターだ」
 そして両足を失った神官らしい男がロボットに背負われて運ばれていた。他にもロボットに運ばれている怪我人が2人居た。そのロボット達も、足が、ひん曲がっていたりボディが欠けていたり凹んでいたりした。
マグギャランは、もっともらしい声で言った。
 「うむ、その通りだ。我々も、古代モンスターと戦って四人もの犠牲者を出してしまった」
 片腕の戦士は言った。
「そうだろうな。あの強さは異常だ。どうやって昔の人間は、あの化け物共を倒したというのだ」
ポロロンは言った。
「マグギャラン、スカイ、何かが走ってきます」
スカイは言った。
「本当だ。何か近づいて来るぞ」
 遠くの向こうの方から黄色い物体が走ってきた。
 何だありゃ。
 よく見るとフラクター選帝国製のエアカーだった。二台が空中に浮いて走ってきた。
 マグギャランは言った。
 「おお、あれが、俺達の帰りの足か」
 片腕の戦士が言った。
「おい、何かが居るぞ」
 スカイは言った。
 「何だ?」
 何かが飛び出してきた。
 黒獅子の戦士が、前に飛び出て剣を振るった。
 それは、全身が黄金色の頭の巨大な昆虫の様な怪物だった。両手には鎌の様な鋭く大きい爪が五本も生えている。
 片腕の戦士が怪物に押された。
 片腕の戦士は言った
 「不味い。片手じゃパワー負けする」
マグギャランは言った。
 「スカイ!コイツは跳びケラだ!出題頻度は☆一つ!」
片腕の魔法使いが氷の塊を杖の先に出しながら言った。
 「おい、まだ仲間が居やがるぞ。気を付けろ」
草の影から跳びケラが更に五匹現れた。
片腕の戦士は言った。
 「不味いな。コイツラとは、さっき戦った。上手く撒いた筈なのに、つけてきたのか」
マグギャランは言った。
「スカイ、コロン、ポロロン、気を付けろ。跳びケラは、7メートルぐらいを助走無しに軽く跳んで切りつけてくる」
5匹いた、跳びケラが跳ねて飛んできた。
 スカイは横に跳んで避けた。
コロンやポロロンも避けていた。
 だが、跳びケラ達の狙いは、黒獅子と機械兵団の怪我人達のようだった。
 マグギャランは言った。
「ええい、負傷者を狙うと卑怯な。ユニコーン流を見せてやる」
 マグギャランは跳びケラの背中に突きを放った。
 だが、金属の様な音を立てて、マグギャランの剣は弾き返された。