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戒厳令都市デタトンの恐怖

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スカイ達は急いで後ろに下がった。鎌の付いた触手が唸り音を上げてスカイ達目がけて襲いかかってきた。
 マグギャランは叫んだ。
「これは古代モンスター鎌切り花だ!出題頻度は星二つ!」
 酔いどれ女魔法使いのブランデーは言った。
「あひゃひゃひゃ!ドブロク!お前の秘剣の出番だよ!鎌切り花を切り刻んで、やっちまぇ!」
 ブランデーが、また、おかしな事を言い始めた。
スカイは言った。
「おい、何言って居るんだよ、あんな刃物を一度に十本も使うような怪物相手に、どうしろって言うんだよ」
マグギャランは言った。
 「そうだぞ。ジンの時も変だったな。何で、そんなことを言うんだブランデー」
 ポロロンは言った。
「そうです。なぜ、死地に追いやるような事を言うのです」
そして、ポロロンは酔いどれ侍ドブロクの手を引っ張った。
酔いどれ侍ドブロクは言った。
 「メチルを飲みたかったな…」
 酔いどれ侍ドブロクは開いている手で徳利から酒を飲んだ。
そして、ポロロンの手を振り解いた。
スカイは言った。
「捕まえろ」
スカイと、マグギャランとコロンも、酔いどれ侍ドブロクを押さえようとした。だが、酔いどれ侍ドブロクはスルリと、その手の間を、すり抜けていった。
酔いどれ侍ドブロクは言った。
「フラクター選帝国ヤマト領空眼流剣術皆伝ドブロク。参る!秘太刀酔っ払い返し」
酔いどれ侍ドブロクは腰から抜いたカタナの刀身に口に含んだ酒を吹き付けると、鎌切り花に向かって斜面を突進していった。
 「ドブロク!」
 ポロロンは叫んだ。前に出ていこうとするのをコロンが押さえつけた。
鎌切り花の十本近くある触手が一斉にしなった。酔いどれ侍ドブロクの身体が滅茶苦茶に切り刻まれて空中でバラバラになった。
そして、鎌切り花は花の真ん中に着いた牙が付いた口でバラバラになった酔いどれ侍ドブロクを刃の付いた触手で刺して食べ始めた。
スカイは言った。
「とりあえず逃げるぞ。デタトンへ向かう」
スカイは言った。
鎌切り花は根っこが足のような形をしていて、それで、動き回れるようだった。だが移動速度は遅いようだった。これなら十分逃げられる。
 ポロロンは言った。
 「ドブロクが死んでしまいました」
 マグギャランは言った。
「鎌切り花は剣の達人でも勝つのが難しいと「コモ騎士、頻出モンスター辞典」に書いてあった。やはり、古代モンスターは強力だな」
 スカイは、回りで動く影を見つけた。
 よく見ると、トウモロコシ畑の間に鎌切り花が動いているのが見えた。道路の左右から合計で二十匹近くがトウモロコシ畑の間を動いて、こっちに向かっていた。
スカイは叫んだ。
 「鎌切り花が沢山トウモロコシ畑に居るぞ!囲まれる前に走って逃げ出せ!」
スカイ達は走って逃げ出していった。
 デタトンへ向かう道路を一目散に。

レニー達は、森を潜り抜けた。
 そして田園が見える場所に来た。
 二十匹以上居たピラニア魚人達の群は陸に上がって、レニー達を追って、こようとした。だが、陸上ではピラニア魚人達は動きが鈍くなった。レニー達は何とか走ってピラニア魚人達を振り切って、ここまで辿り着いた。ここからは、城壁と中心部にある城が良く見えた。それがデタトン市で在ることは間違いなかった。
筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「あれがデタトン市なのか」
 筋肉女老人レンジャー、ミセス・ポッポーは言った。
 「そのようね間違い無いわ」
 ピココは言った。
 「レニー、ボクの靴を履いてくれよ。ボクは素足でも健康に良いから、構わないんだ」
 御領主様の、お嬢様は言った。
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「ピココ、レニー君には、人の心が伝わらないんだ」
 レニーは言った。
 「十分、伝わっています。私が迷惑を受けると言うことだけは十分判っています」
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「ピココの事も考えてやってくれ。ピココは、父親が与えた試練を乗り越えなければ、グリップ男爵家の女男爵になれないんだ」
レニーは言った。
「私は、エターナルの女魔法使いになりたいんです。その為の受験勉強をしていたんです。それなのに、ピココ様の試練の手伝いをする事になって、エターナル受験の勉強が出来ないんです」
 レニーは不満の真相をぶちまけた。
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「それが、レニー君の不満なのか」
レニーは言った。
 「悪いですか。私は子供の頃から、エターナルの女魔法使いになる夢が在るんです。自分の夢をピココ様のせいで台無しに、したくはないんです」
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「ピココの試練が終わるまで待っては、もらえないのか」
 レニーは言った。
 「エターナルの入学資格は原則的に十八歳からです。それから遅いと、軽く見られるんです。私は、エターナルの魔法の研究者として過ごすことが夢ですから、最初のスタートラインで遅れを取ることは嫌です。だから精一杯、勉強して、十八歳でエターナルの魔法使いになりたいんです」
レニーはエターナルの受験の事情を答えた。
 ピココは泣きそうな顔でレニーを見た。  ピココは言った。
「そんな重大な事、レニーは、一言もボクに話してくれなかったじゃないか」
レニーは言った。
 「それは、私の一身上の都合ですから。御領主様の、お嬢様である、ピココ様の試練の方を優先させただけです」
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
「どうやら、レニー君の事情も判ってきた。
そう言う話は、もっと早くするべきだ」
 筋肉老人魔法使いミスター・シーンは言った。
「レニー君は、エターナルの実戦入学枠を知らないのかね?」
 レニーは言った。
「それは何ですか?」
レニーはエターナルの実戦入学枠という話は初耳だった。
 筋肉老人魔法使いミスター・シーンは言った。
 「これは、モンスターとの戦闘を行う試験で、魔法を使った高い戦闘能力を審査する方式だ。エターナルは、まだやっている筈だが」
レニーは言った。
「初めて知りました」
 筋肉老人魔法使いミスター・シーンは言った。
 「確かに、これは、正規のエターナルの受験方法ではないから入学案内にも、詳しくは書いていないだろう」
レニーは言った。
 「エターナルの入学案内って、八百ページある字の細かい本なんですよ。だから、私は全部目を通してはいません。通常の受験方法の所だけ目次を見て目を通しました」
御領主様の、お嬢様は、うなだれていた。 ピココは言った。
「レニー、レニーが勉強するなら、ボクの試練は後回しで良いよ。それでも、いいから、レニーがエターナルの魔法使いになってから一緒に父上の課した試練を果たせば良いんだよ」
レニーは言った。
 「私は、利己的な人間なんです。子供の頃からの夢です。私の人生は、エターナルの魔法使いになる以外の選択肢は最初から無かったんです」
 ピココは言った。