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戒厳令都市デタトンの恐怖

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 「何か、変よ、ミスター・ジェイ」
ミセス・ポッポーは、いい年して弓矢を持っている女レンジャーだった。筋肉が盛り上がっていて、迷彩色ビキニの上下というレニーには信じられない格好をして歩いていた。
 だが、レニーには、もう関係が無かった。
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「何が、どう変なんだ」
 筋肉女老人レンジャーのミセス・ポッポーは言った。
 「よく、この辺りを見て、ご覧なさい、すり鉢状の窪みが出来ている」
 筋肉老人魔法使いミスター・シーンは言った。
 「こういう、地形ではないのか」
 だが、レニーは、関係が無いから、そのまま、歩いていった。
 ん?
 なんか地面が揺れた。
 左足の足下が急にガクンと前に滑った。
 目の前の道が急に陥没したのだ。
 レニーは叫び声を上げた。
 「うわぁぁぁぁあああああああ!」
 そして、すり鉢状に凹んだ、地面の奥底へ向かってレニーは、ずり落ちていった。
手足をバタつかせて、何とか這い上がろうとしたレニーは、すり鉢状の凹んだ底に潜んでいる怪物を見た。
巨大な牙が生え揃った口を開けてレニーを食べようと、していたのだ。
 レニーは大声で叫んだ。
 「ぎゃああああああああああ!助けて!助けて!」
 そして必死に手足を動かして這い上がろうとしたが、すり鉢状の地面は掴み所が無く、どんどんとレニーは底で待ち受けている怪物の口へと近づいていった。
 筋肉老人魔法使いミスター・シーンの声がした。
 「どうしたレニー君」
 レニーは大声で叫んだ。
「食われる!食べられてしまう!」
 底を見ると、怪物が嬉しそうに巨大な口を開けたり開いたりしていた。
 レニーの左足は怪物の口の直ぐ近くまで来ていた。
レニーは言った。
 「嫌だ!足が!足から食われる!」
 レニーは叫んで左足を引き上げようとしたが、砂の地面は掴み所が無かった。逆に左足が、ずべった。
レニーは最後の絶叫を上げた。
 「嫌あああああぁぁぁぁ!」
 怪物の口が閉じた。
 その時、レニーの身体は急激に引っ張られて空中に浮いていた。
レニーは言った。
「あれ?」
 筋肉老人戦士ミスター・ジェイは言った。
 「どうやら間に合ったようだな」
レニーの右腕にローブが結び付いていた。
 それで急激に引っ張り上げられたのだ。
ミスター・ジェイ達、筋肉老人がロープを引っ張っていた。
 助かった?
 でも…
 心に引っかかりがあった。
 すり鉢状の地面をロープに引きずられて上がっていくと、ピココと、留衣とサイもロープを引っ張っていた。
ピココは言った。
 「大丈夫かレニー」
 レニーは言った。
「ええ」
 でも全然嬉しくなかった。
筋肉老人魔法使いミスター・シーンは言った。
 「早く、ここから立ち去った方が良い。これは古代モンスター、ヒトジゴクだ。地中を移動して、ああいう、すり鉢上の凹みを作る能力を持っている」
 ピココは言った。
 「どうしたんだレニー。左足の靴が無いじゃないか」 
 レニーは、自分の左足を見た。
 確かにレニーの左足のローファーは脱げていた。
 きっと、靴はヒトジゴクに食われてしまったに違いない。
 筋肉老人戦士のミスター・ジェイは言った。
 「ピココ、レニー君、早く移動しなければ駄目だ」
 ピココは手をレニーに差し出した。
 ピココは言った。
 「レニー、行こう」
 レニーは言った。
 「嫌だ」
 そっぽを向いた。
筋肉女老人レンジャーのミセス・ポッポーは言った。
「レニーさん、このまま、ここに居ては、またヒトジゴクが地面を陥没させて、食べられてしまう」
レニーは立ち上がった。
レニーは言った。
「帰る」
 筋肉老人魔法使いミスター・シーンは言った。
 「帰り道にも、モンスターが出ないという保証はないぞレニー君」
 レニーは、ためらった。
 確かに、このまま一人で帰ろうとした場合、どこに潜んでいるか判らないミュータントと一人で戦う事になる。それは避けたかった。
レニーは黙った。

ロマシク・ボンドネードはオペレータが受けた報告で、作られていく、ミュータント地図を見ていた。中心のデタトン市に向けて、十六の方向から進む冒険屋のパーティ達からの報告で遭遇したミュータント達の名前や特徴などが次々と書かれていった。
 そして、在る法則に気が付いた。
 古代の絶滅した筈のモンスターと類似点を持ったミュータントばかりが出てくることに。
ミュータントではない。デタトンに出た怪物は古代モンスターなのだ。
だとすると前提が全く異なってくる。
 デタトンに出たのは、絶滅したはずの古代モンスターだったのだ。
 一体、デタトン市で何が起きたのか?
 ロマシク・ボンドネードは考えて、いたが。
 今の段階では、余りにも考える材料が少なすぎた。ハッキリとした考えは、まとまらなかった。纏めようが無かったのである。
 そして考えを纏めて真相に近づく事に危険を感じていた。
 それは、冒険屋としての長年の経験に基づくカンだった。

 マグギャランは、辺りを見回していた。 スカイも、辺りを見ていた。確かに、この辺りには、5、6メートル在るような巨大な蜘蛛が住んでいるとしか考えようがない蜘蛛の巣が辺り一面に出来ていた。
 直径3、4?の極太の蜘蛛の糸が辺りを覆っているのだ。
 マグギャランは言った。
「何だ、何故に、ここには、こんな巨大な蜘蛛の巣が在るのだ」
 スカイは言った。
「気を付けろよ。ゼッテー何か居る」
 酔いどれ盗賊のウイスキーが突然言った。
「ふんげっ!」
歩きながら上を向いて鼻から酒を飲んで、いた酔いどれ盗賊のウイスキーが、突然空中に吊り上げられた。
スカイは叫んだ。
 「ウイスキー!」
 スカイが上の方を見ると。蜘蛛の巣が張り巡らされた木の上に巨大な蜘蛛の胴体に人間の女の上半身が付いた怪物が居た。そして酔いどれ盗賊のウイスキーは胴体に付いている巨大な口に頭から囓りつかれ食べられていた。
 辺りに酔いどれ盗賊のウイスキーの血が飛び散った。
ポロロンは言った。
 「ウイスキー!」
 吊り上げられた酔いどれ盗賊のウイスキーの胴体までが既に食べられていた。
スカイは言った。
 「逃げろ!」
ポロロンは言った。
 「でも、ウイスキーが!」
 ポロロンは上を向いてウイスキーを見ていた。コロンがポロロンの手を引っ張った。
杖の先には火の玉を出した。
 マグギャランは言った。
「まだ、何処かに、あのクモ女の仲間が潜んでいるか判らぬのだ、逃げるのが先決だポロロン」
突如スカイの左足が引っ張られた。ドンドンと強い力で上に引っ張られていく。1、2秒でスカイの頭の高さを左足のブーツが超えていった。そして。右足が地面から離れた。
上を見たら別のクモ女が居た。
マグギャランが叫んだ。
 「スカイ!」
 コロンが杖の先から、炎の矢を放った。だが、スカイが吊り上げられている蜘蛛の糸は丈夫で一撃では焼き切れなかった。コロンは更に炎の矢を連続して五発放った。
 炎の矢が蜘蛛の糸を焼き切った。