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戒厳令都市デタトンの恐怖

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 「テメェ!ブランデー!このヤロウ!魔法使いなら攻撃呪文を使えよ!」
 酔いどれ女魔法使いブランデーは言った。
 「あひゃひゃひゃ、忘れた!ぜーんぶ酒飲んで忘れた!あひゃひゃひゃ!こりゃ面白いわね!」
 そして手に持った熱い酒の中身を、あおった。
そして酔いどれ僧侶のジンは無言のまま、身体を曲げて前屈みになって身体を揺すってチューチューとストローを、くわえて背中のタンクの酒を飲んでいた。
酔いどれ盗賊のウイスキーはボケーッと突っ立って鼻の穴から酒を飲んでいた。
コイツラ駄目だ。
スカイは首を振るった。
 スカイは言った。
 「おい、ウォッカ!戻って来いよ!」
 酔いどれ戦士のウオッカは言った。
 「酔っ払い切り!」
 だが果敢なのか?酔いどれ戦士のウォッカが、石男に両手持ちの剣で切りかかった。だが。石男の全身を覆う石に弾き返された。
ポロロンが言った。
「ウォッカ!危ないから戻って来なさい!」
 スカイは言った。
 「何だ、ありゃ。あんなモンスター、見たことねぇぞ」
スカイは剣を抜いたが、ためらっていた。
 五メートルの背丈の巨大モンスターと戦うのは、酒が入っていなければ考えつかない自殺行為だった。大体、歩くたびに地面が窪むような体重なのか、足の力だか判らない怪物相手に、どうしろと言うのだ。
 マグギャランは腕を組んで見ていた。
 マグギャランは言った。
「あれは、もしや、俺がコモン共通騎士国家試験を受ける際に「コモ騎士、頻出モンスター辞典」で勉強した、「石くれ男」だ。もう絶滅した筈の古代モンスターだ。出題頻度は確か星が二つだったような気がするな」
スカイは言った。
「おれ、この業界長いけれど、あんなモンスター見たことねぇよ」
スカイは今まで戦ってきたり見たりしたモンスターを思い出して言った。
 マグギャランは言った。
「いや、大昔のモンスターらしい。絶滅しているのだ。大体絶滅したモンスターが何故、コモン共通騎士国家試験で出るのか不思議に思っていたが。今、現実に生きて動いているからな。意外と役に立つわけだな。だが、俺が受けた800問も在るモンスター学科試験には出題されなかったが」
 マグギャランは腕組んで考えていた。
 酔いどれ侍のドブロクは言った。
「ここは、俺の出番だな。フラクター選帝国空眼流剣術を極めた俺は石や鋼鉄を切ることが出来る」
 酔いどれ侍のドブロクが巨大な徳利に入った酒を飲んで腰から抜いた抜き身のカタナに酒を霧のように吐き出して吹き付けた。
 酔いどれ侍のドブロクは言った。
 「秘太刀、酔っ払い返し」 
酔いどれ侍のドブロクが石くれ男に切りかかった。
下段に構えた剣を、すくい上げるように下から上へ切り上げた。
 だが剣は石くれ男の身体を覆っている石に弾き返された。
 スカイは言った。
 「全然切れねぇじゃねぇかよ!」
スカイはドブロクが石くれ男に切りかかって行って、全然、切れていないのを見ていた。
 マグギャランは首を振った。
 マグギャランは言った。
「スカイ。酔っ払いの、たわごとを真に受けるな」
 酔いどれ侍のドブロクは言った。
「酔っ払い返し!酔っ払い返し!」
 酔いどれ侍のドブロクは叫んで何度も石くれ男を剣で殴ったが。やはり切れなかった。
コロンは火球を作っていたが、酔いどれ戦士のウオッカと、酔いどれ侍のドブロクが石くれ男の近くに居るため使いどころを迷っているようだった。
 酔いどれ戦士のウオッカが、石くれ男の、直ぐ隣りで剣を地面に突いて腰の酒の瓶を取り外そうとしていた。
 石くれ男が顔を、酔いどれ戦士のウオッカの方に向けた。
 スカイは叫んだ。
 「ウォッカ、アブネェぞ!」
酔いどれ戦士ウオッカが酒の瓶を取り外して笑いながらスカイの方を見た。
 石くれ男が振り返って、酔いどれ戦士ウオッカの方を見た。そして巨大な手を振り上げた。そして振り下ろした。
 ポロロンが叫んだ。
「ウォッカ!」
 スカイは言った。
 「ウォッカが潰された!」
 スカイは石くれ男の1メートル半近くある巨大な手の平の下敷きになった酔いどれ戦士ウォッカを見て叫んだ。
思いっきり血が撒き散らされていた。
マグギャランは言った。
 「不味いな、あれは助からんな。即死だ」
 酔いどれ女魔法使いのブランデーが言った。
 「あひゃ!あひゃ!あひゃ!アンタ男だよウォッカ!アンタ、男として戦って死んだんだよ!男の中の男だよ!最高の死にっぷりだよ!」
酔いどれ女魔法使いのプランデーが燗にした酒を持って開いている片手を振っていた。
スカイは青ざめた顔で言った。
 「ぜってー、タダの無駄死にだよ」
ポロロンは言った。
「まだ息は在るかもしれません!助けに行きます!」
 ポロロンが潰されたウォッカの方へ走っていった。
 スカイは叫んだ。
「おい!ポロロン!」
 だが、ポロロンはウォッカの側に駆け寄っていった。そして、手に光りが出始めた。
 …あれは、治療魔法だ。
 スカイはポロロンが医者や、神父、神官、僧侶達が使う治療魔法を使おうとしている事に気が付いた。
だが、ウォッカはペシャンコに潰されて即死だ。あれでは助かりようも無かった。
 コロンが駆けていって、ポロロンを引っ張って首を横に振っていた。
石くれ男は、スローモーな動作でコロンとポロロンに向かって腕を振り上げた。
 スカイは言った。
 「あぶねぇぞ、コロン姉ちゃん!」
 スカイは駆けていった。
 コロンはポロロンを引っ張って転んだ、ポロロンもコロンに引っ張られて転んだ。
石くれ男の巨大な拳が地面にめり込んだ。
 間一髪、コロンが引っ張ったため、ポロロンは石くれ男の拳を避けることが出来た。
スカイとマグギャランは頷きあった。
 そして走っていって立ち上がりかけたコロンとポロロンを助け起こして引っ張ってきた。
石くれ男はスカイ達を追ってきた。だが、その動きは非常に緩慢だった。
 スカイは言った。
「どうするんだよ。あんな怪物倒せねぇぞ」
スカイはコロンを引っ張って後ろに下がった。マグギャランはポロロンを引っ張ってきた。
 マグギャラン言った。
 「うむ、だが、動きはスローモーではないか、あの怪物の巨大な手から繰り出されるパンチを避けながら先へ進めば良いだろう」
 ポロロンは震える声で言った。
 「ウォッカが…」
マグギャランは言った。
 「アレは即死だぞポロロン。諦めろ。お前の治療魔法がどんなに上手くても、あれでは助からぬのだ」
 スカイは言った。
 「それじゃ、お前達、走って、一気に、あの石くれ男の脇を通って駆けて行くぞ」
 マグギャランは言った。
 「それしか、あるまい。よし、行くぞ」
そして、スカイ達四人と、酔いどれ決死隊の四人は駆けて石くれ男の左脇を通り抜けていった。
 石くれ男は巨大な拳を振り上げたが振り下ろすより先にスカイ達は走り抜けた。
 後ろを見ると石くれ男は、ゆっくりと振り向こうとしていた。
 スカイは言った。
 「このまま、駆け続けるぞ」