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戒厳令都市デタトンの恐怖

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 「何かが起きている様だぜローサル」
 ローサルは言った。
「行ってみて調べるぞ。デタトンの秘密を」
シャールは言った。
「リーダーは、お前だ」
 ターイは言った。
 「その通りですよ」
 ソフーズは言った。
「もちろん、俺はローサルに付いていくぜ」
 ローサルは言った。
 「それじゃ決まりだ」
 何がデタトンに在るのかは判らなかったが、大きな陰謀が在ることは間違いなかった。そこに一枚噛んで、何かを得られることは間違いなかった。

 スカイ達四人は呼び出された。
 スカイ達は武器や荷物を返されていた。
 だが、逃げだそうにもミドルン王国の兵士の話では、逃げ出すと指名手配になると言う事だった。それでスカイ達は逃げ出す事を諦めた。スカイ達が逃げ出す事を諦めると手枷足枷は無くなった。
スカイ達は、のっぺりした顔の兵士に呼び出された。こいつが、スカイ達に指名手配の話しをした男だった。
「W&M事務所の人々はフラワービレッジ、村立体育館に来て下さい」
 マグギャランが、もっともらしい声で言った。
「ほう、ついに、俺達の出番か」
スカイは小声で言った。
 「何、言っているんだよ、逃げ出すんだよ」
マグギャランも小声で言った。
「コラ、スカイ馬鹿者、まずは油断させようと言う、俺の高度な戦術を理解できんのか」
スカイは小声で言った。
「小細工なんかしないで、そのまま逃げ出すんだよ」
 マグギャランは言った。
 「世の中、場合と空気の流れを敏感にキャッチして読んで賢く、抜け目無く立ち回るのだぞスカイ」
ポロロンは言った。
「さあ、マグギャラン、スカイ、コロン行きましょう」
コロンは青いコートのボタンを留めていた。

 レニー達は、坊主頭の四十代ぐらいの兵士に呼び出された。
「私は兵士Y。鋼鉄少女隊の人達はフラワー・ビレッジの体育館に来て下さい」
ピココは言った。
 「よし、みんな行くぞ」
 ピココは元気良く立ち上がり、腰から剣を抜いて、かざした。
 レニーは言った。
「行かなければならないの間違いでは無いでしょうか」
死刑執行の順番が回ってきた死刑囚になった気分だった。これからギロチンか、絞首台に向かう人間の気持ちが良く判った。
 ピココは言った。
 「何を気弱な事を言っているのだレニー。このボクが付いて居るんだぞ」
どこから、その自信が沸いてくるの。この御領主様の、お嬢様は。レニーは泣きたい気分だった。
 留衣は言った。
 「私は大丈夫だと思います」
サイは青ざめた顔のまま言った。 
「私はピココ様に付いていきます」
ピココは言った。
「それでは、みんな出発進行だ!」
 ピココは剣を腰に、しまうと歩き出した。
 レニー達は、その後を付いていった。

 白髪の中年の男がフラワー・ビレッジ村立体育館の壇上で喋りはじめた。
「私は、ブードー子爵です。デタトン市を治める領主です」
スカイは言った。
 「何で、あいつはデタトンに居ないんだ?」
マグギャランは言った。
 「さあな。まあ何かの事情で運良くミュータント化を逃れたのだろう」
ポロロンは言った。
「マグギャラン、スカイ。壇上で人が喋るときは黙って聞く物です」
スカイは言った。
「いやあ、怪しくないか?ポロロン」
 マグギャランは言った。
 「確かにスカイの言うとおり怪しいと言えば怪しいのだぞポロロン」
 ポロロンは言った。
 「さあ、黙って話を聞きましょう」
 暫くブードー子爵の退屈な話が続いた。
 内容は、ただ製薬会社が在る以外目立った特徴の無いデタトン市だという話しだった。そして、ある日突然ミュータントが発生してしまい。命からがらブードー子爵は逃げ出したという話しだった。
 ブードー子爵が話し終わると、壇上に鎧を着て帯剣した、茶色い巻き毛をショートヘアーにした女が拡声器を持って登ってきた。一応美人なのだろうが。野卑さが全身から、滲み出ていた。つまりガラが悪そうな感じだった。
 女は喋りだした。
「おう、冒険屋のテメェ等。アタイはモルガ・ボンドネードだ。テメェ等に、これから班編制を言い渡す。耳の穴しっかり、かっぽじいて聞いて、ソイツ等と組みを作りやがれ。良いな判ったか」
 台の上に乗っかったモルガ・ボンドネードが、拡声器で言った。
 あれはフラクター製の拡声器でアサガオの花のような形をした真鍮製の奴だった。結構普及していてスカイは何回も同じ物を見た事があった。
 スカイ達冒険屋のパーティは集められて。体育館の中で整列させられていた。結構集まったモノで、三十から四十ぐらいの数の冒険屋のパーティが集まっていた。そして、下の方からモルガにミドルン王国の赤と緑の軍服を着て赤いベレー帽を被った男が話しかけていた。
スカイはマグギャランに言った。 
 「何だよ、何で、班を組むんだよ」
マグギャランは言った。
 「さあな、判らないな。だが、俺達の数が少なすぎるから、そういうパーティは班を組んで人数を増やすのではないのか」
 ポロロンが言った。
 「マグギャラン、スカイ。黙って聞きましょう」
マグギャランは言った。
「うむ、だが、この状況で。従順にデタトンに行くことは無いだろう。逃げ出すことを考えた方が賢明だ」
 スカイは頷いて言った。
「確かにそうだよな」
 ポロロンは言った。
「スカイ、マグギャラン。あなた達には正義の為に働こうという気構えは無いのですか」
 スカイは言った。
 「いやあ、なあ、嫌だろう。ミュータントに、なるのは」
 目でマグギャランに合図した。マグギャランは頷いた。
 マグギャランは言った。
 「そうだ。得体の知れないミュータント化現象が起きているのだ。我々の手には余る代物だ。だからトンズラこくに限る」
 ポロロンは言った。
 「スカイ、マグギャランあなた達は、ミドルン王国の国民ではないのですか。国民ならば、このような非常時に力を合わせて団結して、国のために命を懸けて働こうという心構えは無いのですか」
スカイは言った。
 「ここはバーミリオン大公国で、俺はクリムゾン大公国の出身だし。コイツなんか、最近ミドルン王国人になったばかりだし」
スカイはマグギャランを親指で合図を送った。
 マグギャランは頷いた。
 マグギャランがスカーフで口元を隠したまま小さく手を上げて言った。
「そう、その通り。やはり生まれた国と同じという訳には、いかぬ」
スカイは言った。
「そうだよ。やっぱり俺もバーミリオン大公国の事件だと思うと、やる気が低下するし。やっぱり同じミドルンの中でも外国だよ」
ポロロンは言った。
「さあ、壇上で再び話が始まりそうです。黙って聞きましょう」

レニーは、事態が引き返しの付かない段階に入っている事に動揺よりも、諦観の念を覚えて離人症に、かかったように、ただ呆然とフラワー・ビレッジ村立体育館の中で立っていた。
何処で、どう間違えたのだろう。こんな事に、なるはずは無かった。