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戒厳令都市デタトンの恐怖

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 それは間違いなかった。ロマシク・ボンドネード達もミュータント化した兵士達と戦ったのだ。一人は身体が鋼鉄の角が全身に生えたサイ人間に変わり。一人は高電圧の稲光を発する電気ウナギ人間に変わり。一人は溶解液を吐く透明化するカメレオン人間に変わり、一人は頭が花に変わって全身が植物になり全身の花から致死性の猛毒の花粉を撒き散らした。一人は巨大な犬歯を生やしたチーター人間になり、高速移動して次々と兵士を殺していった。
 暴れ回って。ミドルン王国の兵士が合計で四百五十九人死亡した。そしてモルガも含めて重軽傷者が合計で八百七十三人も出た。安全第一主義のロマシク・ボンドネードは、かすり傷一つ負わなかったが。だが、戦った結果、重要な事が判った。ミュータントと戦ってもミュータント化は起きないと言う事実に。つまり、ミュータント化現象は病気のように伝染することは無いのだ。ミュータント化が起きる要因はデタトンに在ることは間違いは無かった。
 ロマシク・ボンドネードは言った。
 「私に考えがある。冒険屋のパーティを、二組ずつ組み合わせて偵察に送り込む」
 モルガは言った。
 「どういうことだ。二組ということに意味が在るのか」
 モルガが用心している顔をした。
 ロマシク・ボンドネードは言った。
 「ああ、そうだ。二組のうち、一組は本命で、もう一組は、ミュータントに殺されても仕方がないパーティとして、ミュータントに殺される的になるパーティだ。そうすることによって不意打ちを仕掛けられた場合、本命の方の盾となって、本命の方の生存率を上げていく。そして本命の方は、偵察が終わったら、ミュータントの発生源に向かって貰わなくてはならないから、できるだけ偵察の段階では消耗はして貰いたくない」
モルガは言った。
「だが発生源は、デタトン製薬の工場で間違い無いんじゃねぇのかよ」
 モルガがテーブルの菓子入れの中から、マンマール社のヘロナッツチョコを取りだした。そして口に放り入れた。
 ロマシク・ボンドネードは言った。
 「いや、そう断定する事はできない。ミドルン王国の軍隊の生存者達の話では、デタトン製薬の工場に辿り着く前に街の中でミュータント化が起きたからだ。他の場所が発生源になっている可能性を考慮するべきだ」
 モルガは言った。
「だが、どの道、デタトン製薬以外に怪しい場所はねぇだろう」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
「確かに、そうだ。だが、ミュータントの発生源という意味では、なぜ、どこで、どうして発生したかを、はっきりさせなければならない。そのためには偵察をして、ミュータントの分布図を作る必要がある。そこからミュータント化の法則が導き出せれば、発生した理由も判るはずだ。つまり第三段階の発生源の根絶が出来る。それによって我々はミドルン王国の国王陛下からボンドネード・ファミリーに依頼された、この仕事を達成できる」
 モルガは言った。
「だが伯父貴、妙だとは思わねぇか。なんでミドルン王家が直々にアタイ達ボンドネード・ファミリーに仕事を依頼したんだ」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
 「正確にはガミオン大臣だ。ガミオン大臣と私が親しい事は知っているだろう」
モルガは言った。
「成る程。だが、変だぜ。何で、ミドルン王国の諜報組織ウィッキィド・ゴーストが、うろついているんだ」
 ロマシク・ボンドネードは声を低めて言った。
 「深く考えるな」
 モルガは言った。
「成る程な」
モルガは用心深そうな顔をして頷いた。
あまり深く考えると不味いことは世の中には沢山ある。だから安全第一主義のロマシク・ボンドネードはウイッキィド・ゴーストが、やって来ている事に関しては考えを停止していた。
 ロマシク・ボンドネードは言った。
「まず、現在、集まっている。パーティの顔ぶれを確認していく。それから、二組のパーティの班編制を行っていく。そろそろ予定の最低限のラインであるパーティ数である、32パーティ以上が揃うこととなる。現在、我々が偵察に使えるパーティは総計、37パーティが集まっている。これは予定よりも多い。5パーティは控えとして温存しておく」
モルガは言った。
「3つのパーティは、狩り集め要員達だ。コイツラも偵察に回すか?」
ロマシク・ボンドネードは言った。
「私は、約束は守るよ。彼等とは取り引きをしている。彼等は控えで、これからも冒険屋達を集めて貰う」
それから暫く、ロマシク・ボンドネードと、モルガはパーティの編成を組み合わせていた。
ロマシク・ボンドネードは言った。
「…次のW&M事務所は、コーラーが戦士のスカイ・ザ・ワイドハート。14歳の小僧だが、七歳の時から冒険屋組合に加入してスカウトとしてキャリアを積んだ後、11歳の時に戦士に転職。マグギャランは、コモン共通、国家資格の騎士で特技はユニコーン流剣術皆伝。コロナ・プロミネンスは、「炎の門」学派という魔法使いの私でも聞いたことの無い学派の魔法使い見習いだ。だが、錬金術士免許一級など沢山の資格を持っている」
ロマシク・ボンドネードは履歴書を読み上げていた。
 モルガは言った。
 「どうするんだ伯父貴」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
 「確かにこのパーティは、仕事の達成率は悪く無い。本命の方に入れておくか」
 モルガは言った。
 「顔写真見る限りじゃ的のパーティに入れた方が良いような強さの感じられない、見ているだけで力が抜けて、いくような奴等だぜ」
ロマシク・ボンドネードは言った。
「私は仕事の達成率と内容で判断する。見てくれなど関係はない」
 モルガは言った。
「まあ、確かにな、コイツラは、意外と見た目以上に抜け目無い連中であることは間違いねぇよ。伯父貴はダンジョニアン男爵の迷宮競技を知っているか」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
「ああ、知っている。ヒマージ王国のダンジョニアン・シティで開かれている人間を使った一週間に一回開かれる一日掛かりの大賭博レースだ」
 モルガは言った。
 「あれで、コイツラが、伝説となった最後の迷宮競技で奇跡を起こして一位に、なるところを場外券売所のケーブルテレビで見たんだよ」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
「賭は止めておけモルガ。ボンドネード・ファミリーは堅実に冒険屋で稼ぐのが家のルールだ」
 モルガは言った。
 「付き合いだよ、付き合い」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
 「だが、賭は家訓で禁止だ」
モルガは言った。
 「固いこと言うなよ」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
 「勝ったのか」
 モルガは言った。
 「いや、すった」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
 「負けるような賭は、するな。イカサマしてでも勝て。それがボンドネード・ファミリーだ」
モルガは言った。
「しょうがねぇだろ賭なんだから運が良ければ勝つし、悪けりゃ負けるさ」
 ロマシク・ボンドネードは言った。
 「リートに知らせて置くからな」
 モルガは怯えた顔で言った。