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戒厳令都市デタトンの恐怖

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パーナーは言った。
「えーん、スレッド、恐かったよ」
 パーナーがスレッドの隣りで馬を走らせながら、ずっと泣いて居た。
 スカイはパーナーに怒鳴った。
 「テメェ、さっきとキャラが違うぞ!」
戦いが終わった途端にパーナーは泣き続けていた。
 パーナーは言った。
 「あの子、目つきが悪くて恐いよスレッドぉ」
スカイは言った。
 「テメェの呪い人形の方がコェーよ」
スカイの足の痛みはパーナーが人形から釘を抜くと、ひいていった。あんなに痛かったのが嘘のようだった。
 パーナーは言った。
「あんな事、言ってる。私の学派がマイナーで、地味で、格好が悪いからってバカにしているよスレッド」
スカイは言った。
 「コエーしイテェんだよ」
パーナーは言った。
 「ああっ、私が痛いって言っているよ。見ると痛いって言ってる。遠回しにブスって言っているんだ」
 パーナーがスカイを悪人に仕立て上げようと、し始めた。
スカイは叫んだ。
 「言ってねぇよ!」
 マグギャランが縛られて、鞍の後ろに、くくりつけられたまま、もっともらしい声と顔で言った。
「やはり、モルガ・ボンドネードの差し金であったのだな」
ラリー・プロンコは言った。
「ああ、そうだ、俺達も、こんな仕事は、したくはないが。この仕事をしないと、デタトンへの偵察部隊へ編入されてしまうから仕方が無いんだ」
 スレッド・プロンコは言った。
「俺達「鋼の鎖」は本来はモンスターを狩るのが仕事なんだ」
スカイは怒鳴った。
「テメェ等の方が、ミュータント問題のデタトン向きじゃねぇかよ!」
 スレッド・プロンコは言った。
「確かに、そうだが、だが、このミュータント事件は、明らかに変なんだ。軍隊の二千五百人がデタトン市の治安維持活動に向かって全員がミュータントになったらしい。それで俺達はボンドネード達と取り引きして、冒険屋を集める方の仕事に回っている」
マグギャランは言った。
「二千五百人もの軍隊が何故ゆえにミュータントになったのだ」
 スレッド・プロンコは言った。
「だから、ミュータントの駆除に向かったらしいんだ。そうしたら、生存者が五、六名ぐらいで、その生存者達もミュータント化したらしい」
スカイは怒鳴った。
「そんな所へ俺達を連れて行くんじゃねぇ!」
 ラリー・プロンコは言った。
「仕方がないだろう。これは仕事なんだ」

レニー達はフラワー・ビレッジに来た。
 ピココは言った。
「うむ、ここがフラワー・ビレッジか。よし、ボクたちは来たぞ」
 御領主様の、お嬢様は剣を抜いて太陽にかざした。
レニーは言った。
 「来ちゃいましたねの間違いじゃ無いでしょうか。早く帰りましょう。来ただけでも十分誉めてくれますよ。この蛮勇っぷりを」
 レニーは御領主様の、お嬢様の袖を引っ張って辺りを見回した。
確かに名前通り、フラワー・ビレッジには、そこら中に花が咲いていた。
 この近辺も、まるっきり安全とは言えそうに無い雰囲気を、していることにレニーは怯えていた。名前は、ファンシーなフラワー・ビレッジと言う村も昔はファンシーだったのかもしれないが、今は、到底ファンシーだとは思えなかった。どこからかミュータントが飛び出して来ないか心配だった。
ピココは笑顔で言った。
 「レニー。ボクが付いて居るんだぞ、心配するな」 
 どこから、その自信が沸いてくるの。レニーは泣き出したい気分を押さえた。
レニーは他の二人に振るために言った。
 「誰だって心配しますよ。そうでしょ、留衣、サイ」
 留衣は頷きながら笑顔で言った。
 「わたしは、大丈夫だと思います」
 サイは多少青ざめたように見える顔を、しながらも真面目な声で言った。
 「私はピココ様に付いていきます」
あーっ。もう少し、フォローして、ここから、この御領主様の、お嬢様を帰らせる事を考えて喋ってよ。
 だが、のんびりしていて状況を理解していないらしい、何も考えていない留衣と、生真面目で、御領主様の、お嬢様に家の都合上忠誠を誓っているサイでは話は上手く行きようが無かった。
ピココは言った。
「サイ、ピココと呼び捨てにして良いと言っているだろう」
 サイは青ざめた顔で言った。
「それはできません。私はピココ様の家に仕える一介の家臣の家に生まれた下々の娘です」
それはレニーも、できなかった。だから、呼びかける為の固有名詞を喋っていないのだ。
ピココは言った。
「無礼講だ」
 サイは青ざめた顔がより一層青ざめて震える声で言った。
 「いえ、無礼講でもダメです」
ピココは言った。
 「まるで、ボクが、なじっているようじゃないか。どうしたモノかな。今のボク達は、生まれも育ちも関係ない冒険屋(アドベンチャー)なんだ。もっと仲間内の繋がりが強くならないと駄目だ」
だが、その言葉は沈黙を生んだだけだった。
御領主様の、お嬢様は溜息を付いた。
 そして歩き始めた。
ピココは言った。
「兵隊が居るぞ」
しばらく歩いていくと、村の門には門番の様に槍のような武器を持った、2人の兵士が居た。
サイが言った。
 「あれはミドルン王国の軍隊の制服です」
 ピココは言った。
 「成る程。ミドルン王国の国旗、火食い鳥が描かれている」
確かに赤と緑のミドルン王国の国旗が門の上で風に、はためいていた。
サイが言った。
「このフラワー・ビレッジは生花を育ててミドルン王国中に売っているそうです」
 サイは「ミドルン王国観光案内バーミリオン大国編」を見ていた。この観光案内は正確な地図も付いていて大きさの割には使い勝手が良く、サイは、何時も、これを使って道を調べていた。
ピココは道端の赤い花を見ていた。
 ピココは言った。
「これは、バーミリオン・アイと言う花だな」
 レニーは聞いたことが無かった。レニーはエターナル受験に必要で無い知識は、余り多くなかったのだ。レニーの知っている花はヒマワリぐらいだった。
ピココは言った。
「どうしたんだレニー知らないのか?」
レニーは言った。
 「え、ええ」
レニーは怪訝に思っていた。なぜか御領主様の、お嬢様は変な声を、していたからだ。
 私、何か不味いこと言った?
ピココは屈んでバーミリオン・アイに指を差して言った。
 「これはバーミリオン大公国の国花だ」
 レニーは気まずくなった。
ピココは首を傾げて言った。
 「レニーは、魔法使い見習いなのに、ボクより物を知らないんじゃ将来立派なエターナルの魔法使いに、なれないぞ」
それなら、早く、お役ご免にして、私を解放して受験勉強させてよ。この御領主様の、お嬢様は。レニーは泣き出したくなった。
 ピココは言った。
「それでは、兵士達にデタトン問題対策委員会の場所を聞いてこよう。冒険屋達が集まっているはずだ」

スカイとマグギャラン、コロンの三人は、馬の後ろに鎖で縛られたまま、デタトン問題対策委員会が在るフラワー・ビレッジまで来た。
 スカイは鋼の鎖の連中に叫んだ。