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戒厳令都市デタトンの恐怖

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 マグギャランは剣を抜いて柵の上から飛び降りた。
 金髪の男は言った。 
「剣を抜いて抵抗するつもりか、ならば、こっちも、その気で行くぞ」
マグギャランは剣を突き付けて言った。
 「お前達の剣の流派は何だ、俺はユニコーン流皆伝の自由騎士(フリーランサー)マグギャランだ」
金髪の男は言った。
 「俺達はマンティコア流剣術皆伝のプロンコ兄弟だ。俺は兄のラリー・プロンコ」
 短髪の男が名乗った。
 「俺は弟のスレッド・プロンコ」
マグギャランは言った。
「二対一とは卑怯の極み。しかも馬に乗っているとは」
ラリー・プロンコは言った。
「これも仕事なんでね」
 ラリー・プロンコが馬から飛び降りて分銅鎖を音を立てて振り回した。
 弟のスレッド・プロンコも馬を降りて前に出てきた。
 手には、ラリー・プロンコと同じ剣の柄に長い鎖が付いた武器を持っている。前にスカイ達が戦った事のある、マンティコア流剣術を使う青ゾリ兄弟の兄ゴドルが使った武器に似ていたが、長さが大分違った。こっちの方は5メートル近くは在るような長い鎖が付いていた。
 ポロロンが、まだ叫び声を上げていた。
「ああっ!皆さん、争いを止めるのです!」
 スカイはケンケンして跳び跳ねながら、どうにかして、足に絡まった鎖を解こうとしていた。
 真ん中で髪を分けている男が馬を操って、後や前に移動しながら言った。
 「しぶとい奴だな、素直に引きずられて居ろ。そんな、やり方で脱出しようとする奴は初めてだ」
 その度にスカイは足を引っ張られて転けかけていた。だが力の方向が変わる瞬間にジャンプすると、宙を浮いた身体ごと右足が引っ張られるため、何とか、片足立ちの姿勢を維持できていた。
スカイは言った。
「うるせぇテメェ!いきなり、人の足を、ふん縛って何しやがる!」
スカイはジャンプして左足で跳ねながら馬の動きに合わせていた。
 よし!
 スカイは絡まった部分を解くことに成功した。そして足を絡まった方向の反対側に回した。鎖が自然にほどけていった。
 スカイは言った。
「よっしゃ、脱出成功じゃい!」
 スカイは、自由になった右足で地面をドスンと踏んづけて気合いを入れた。
 スカイは言った。
「マグギャラン!加勢するぞ!」
スカイは腰の剣を抜いて一対二で戦っているマグギャランの所へ駆けていった。
だが、マグギャランは一対二の戦いを何とかこなしていた。ラリー・プロンコとスレッド・プロンコの振り回す分銅鎖を全て、剣の突きだけで弾いているのだ。
 マグギャランは言った。
「スカイ、今日の俺は、何かが、ひと味違うぞ。二対一でも勝てる。やはりソークス効果が出て居るぞ」
 ラリー・プロンコが腰の剣を抜いて言った。 「スレッド!接近戦を仕掛ける!」
スレッド・プロンコは言った。
 「判った!」
 スレッド・プロンコは抜き身の剣を持ったまま左に移った。
マグギャランは剣を構えながら言った。
「ふん、二対一でも今日の俺は違うぞ。ユニコーン流の極意はスピンドル・スラスト一本に在るのだ」
 スレッド・プロンコは片手で持った剣を横殴りに振り抜いた。
 だが、マグギャランは剣の片手突きで横殴りの一撃を跳ね上げた。スレッド・プロンコの上体が、あおのいた。
 だが、更にスレッド・プロンコの背後から分銅鎖が、しなって飛んで来た。
マグギャランは左腕で分銅鎖を受けた。
分銅鎖がマグギャランの左腕に音を立てて絡まった。
ラリー・プロンコがすかさず、分銅鎖をマグギャラン目がけて投げて飛ばしてきた。
 間に合えよ!
 スカイは言った。
「うおりゃ!」
 スカイはダッシュからジャンプして剣を振り下ろして飛んでいる分銅鎖を空中から叩き落とした。
 ラリー・プロンコはスカイを見た。
 ラリー・プロンコは言った。
 「パーナー!影を使え!」
 ラリー・プロンコが撃ち落とされた鎖を引き寄せながら。ゴスの女に叫んだ。
パーナーは言った。
「判ったわラリー」
パーナーが首から、ドレスを着た人形を取り外した。
 そしてゴスの服の腰から銀色に輝く5寸釘を抜いた。
スカイはラリー・プロンコと向かい合った。 スカイは言った。
 「なんのつもりだ」
ラリー・プロンコは言った。
 「じきに判るさ」
パーナーは5寸釘を、人形に突き刺した。
 突如、スカイの腹に激痛が走った。
 スカイは言った。
 「ぎゃあ!イテェ!マジ!イテェ!」
  立って、いられないような酷い痛みだった。
パーナーは言った。
「これが「影と照り」学派の魔法なのよ」
パーナーが暗い顔に笑みを浮かべた。
 コロンがスカイの近くに走ってきた。
 コロンは横で言った。
「……影に気を付けるの!」
 影?
 スカイは自分の足下を見てみた。そうしたらパーナーの方から影が伸びていてスカイの影と、くっついていた。この時間の日の光で作られている他の影とは明らかに異質な影の向きだった。
 何だ、これは?
パーナーは言った。
 「あら、なかなかしぶといのね、わたし自分の言うこと聞かない男は嫌いなの。そういう男は…折檻!」
そして更に腰から五寸釘を取り出した。そして人形に5寸釘を突き刺した。
スカイは言った。
「うぎゃっ!」
 今度はスカイの足に激痛が走った。立っていられなくてスカイは足が膝からカクンとなって片膝を付いた。
 何なんだ?
 これは?
 スカイは、激痛の中でパーナーの前で膝を付いていた。
 パーナーは言った。
「さあ、私の前に這いつくばって命乞いをしなさい」
パーナーは更に腰から新しい釘をグルグルと指で回して抜いて人形に5寸釘を刺した。
スカイの、もう片方の足にも激痛が走った。そしてスカイは前に突っ伏して倒れた。
動けネェ。
 スカイは痛みの中で、足が自由を利かなくなっている事に気が付いた。
マグギャランとポロロンが異口同音に同時に叫んだ。
「スカイ!」
不味い!
スカイの足は、動かなかった。
ラリー・プロンコが言った。
「確かに、お前は、強いことは強いな、だが、俺達、3人を同時に相手にできるか」
マグギャランは言った。
「ええい、一対三とは些か、分が悪いな」
 マグギャランは三方から囲まれた。
 スカイは痛みで身体が動かなかった。
マグギャランはプロンコ兄弟達の剣は何とか捌けたが、一緒に連携して使う鎖に次々と絡めとられていった。
 そして鎖でグルグル巻きにされて、三方向から三本の剣を同時に突き付けられた。
マグギャランは全身を鎖でグルグル巻きにされた。
 マグギャランは言った。
「降参する」
スカイ達3人は、鋼の鎖の連中の鎖に縛られて馬の鞍の後に更にロープで縛り付けられて運ばれていた。ラリー・プロンコの馬にコロンが、くくりつけられていた。スレッド・プロンコの馬にマグギャランが、くくりつけられていた。途中で名前を聞いた中分男のタック・タフトの馬にスカイが、くくりつけられていた。
ポロロンはパーナーの馬の鞍の後に横座りして乗っていた。