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死闘のツルッペリン街道

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 「そうよ吸収合併なんかさせないんだからね!私達は冒険屋を雇っているのよ!既に「青ゾリ兄弟」達を追い払ったのよ!」
ブリディは袖口に付いたレースを見せながら指をパチンと鳴らして言った。
「冒険屋?それでは、ヒゲン君。君達のウォリャ殺投術の腕前を見せてくれ」
玄関からビール腹の大男が入ってきた。
「ガハハハハハハハハ!俺様は「ドンケツのヒゲン」!ウォリャ殺投術のウドル道場の師範だ!このウドルの犯罪巷じゃ、ちょっとばかり知られた顔よ!」
髪がモジャモジャで口髭を生やした男が出てきた。そして上着を脱いで緑色のタイツ一枚になった。腹は出ており胸毛とヘソ毛が盛大に生えていた。
 別の声がした。
「オーレーヲー♪ミーヨー♪俺は「ゴイスのカンオ」」
七三分けをして目の下に隈のある2メートル近くある大男が扉から現れた。ボディビルダーの様に鍛えて膨れ上がった大胸筋をしていた。
途端に、辺り一面に何とも言えない臭い匂いが走った。
 マグギャランが言った。
 「臭っ!これは、ゴイスの香水だ!」
確かに無茶苦茶臭かった。
何なのだコイツは。
何かドリアンのような匂いだった。
 ゴイスは、マグギャランの愛用しているゴロジと同じような男性向けの高級ブランドだった。
 細いサングラスを掛けてスーツを着た、痩せた男が肩を揺すって現れた。竹刀を持って、酒瓶のような物を持っている。そして言った。
「へへへへへ、上手い話に、ありつけそうじゃネェかヒゲン。この俺「赤唐辛子のガラシ」も一枚も二枚も噛み噛みと噛ませてもらうぜ。なあ「火炎殺法のギラーリ」の旦那」
 隣の背が百五十センチぐらいの眼鏡を掛けた、前を開いたエターナルのガウンの下が、筋肉質のスパッツ一枚の小柄な男「火炎殺法のギラーリ」に言った。
だが「火炎殺法」のギラーリは黙っていた。
金髪の四十代ぐらいのレオタードを着た痩せた女が言った。
 「ギラーリは無口なんだよガラシの大将。そうだアタシの名前は「武器屋のバンダ」さ」
 そして、「武器屋のバンダ」は、女性の高級ブランド、セシニのブランド物バッグからヌンチャクを取りだした。いや、ただのヌンチャクではない。片方の先端にはトゲトゲの鉄球が付いていて、もう片方の先端には、ナイフが付いている。よく判らないが凶悪そうな武器であることは間違いなかった。
 マグギャランは言った。
「ふん、馬鹿らしい。格闘技など剣で刺したら終わりだろう」
 ヒゲンが鼻くそを、ほじりながら言った。
「お前、男じゃないね」
 スカイは言った。
「何だよ。鼻ほじってんのが男かよ」
ヒゲンは、いきなりスカイに鼻くそを飛ばしながら言った。
「真の男とは素手で強い者の事を言うのだ」
 スカイはヒゲンの鼻くそを飛んで避けた。
「うわっ!汚ねぇ!」
マグギャランは言った。
「馬鹿らしいな。体重が多い、お前の方が素手では有利なのは当然だ」
 ヒゲンは腕を組んで言った。
 「かあっ!駄目だねぇコイツ等。玉が付いてネェよ。カンオ、いっちょ揉んで来いや」
 スカイは怒鳴った。
「舐めたこと言ってんじゃねぇぞ!」
 百九十センチぐらい在る筋肉質の「ゴイスのカンオ」が鼻歌を歌いながら前に出てきた。ドリアンの匂いが強烈に漂った。
「らんら♪ららりら♪ふふぅーん♪」
カンオが言った。
「俺の名前はカンオ。ウォリア殺投術ウドル道場次席師範だ」
 スカイはマグギャランを肘で小突いて言った。
「お前がやれよ」
 マグギャランはスカイを肘で小突いた。
 「嫌だよ。お前がやれ」
 スカイは言った。
 「俺はエア・バスの中で戦っただろう。順番的にはゼッテーお前だよ」
マグギャランは言った。
「俺は組み討ち格闘はホモくさくて嫌なのだ。抱くのは二十歳以上から二十九歳以下の領域の美女のみと決まっている」
スカイは言った。
 「お前は騎士だろう。一騎打ちなら戦って来いよ」
 マグギャランは言った。
 「バカ、聞こえたらどうする」
ヒゲンが耳ざとく聞きつけて言った。
 「おい、そこの黒髪の兄ちゃん騎士なんだってな。騎士が一騎打ちの決闘を断るつもりなのかい」
 マグギャランは弁解しようとしたのか、失敗したのか、しどろもどろで言った。
「いや、その、あのう」
スカイの前に「デカっ尻のヒゲン」が腕を組んで現れた。
ヒゲンは言った。
「おい、若いの、地獄見せてやるぜ。歳の功ってやつを拝ませてやる」
 ヒゲンが股間を掻きながら慎重にジワジワと間合いを詰めながら言った。
スカイは間合いを計っていた。「ドンケツのヒゲン」は狡猾に間合いを詰めてきていた。
 スカイは言った。
「うるせぇよ。しかもテメェは別の意味で汚ねぇよ」
ヒゲンは言った。
「ふふふふ、別の意味だけではない。ワシの道場では、まず入門1日目でサミングを教える。こんな風にな」
 ヒゲンは股間を掻いていた右手を下から、さり気なく跳ね上げた。スカイ目がけて目潰しを繰り出したのだ。
スカイは言った。
 「うわっ汚ねぇ」
 スカイは動揺しながら後ろに飛んだ。
 ヒゲンの臭い指が鼻の近くを通り過ぎた。
こんな指で目潰しを食らったら失明するかもしれなかった。
 ヒゲンは言った。
 「ほれ、ほれ、ほれ、ほーれー」
 ヒゲンは更に追い込むように両手を使って連続してスカイに目潰しを繰り出した。
スカイは言った。
「お前、マジ、汚ねぇよ」
 スカイは、うろたえて後ろに飛んで避けながら言った。
 ヒゲンは外見からは想像できない速さでサミングを繰り出している。
スカイは背中が壁に当たった。
ヒゲンは言った。
「これが歳の功じゃい!くらえ「ドンケツ」!」
ヒゲンは背中を向けてケツからスカイに、ぶつかってきた。
スカイは言った。
 「うげっ!」
スカイは自分でも奇妙に思える叫び声を上げて横に跳んで逃げた。
ヒゲンは板張りの壁にケツから、めり込んだ。
なんて破壊力なんだ。
なんて恐ろしいケツだ。
 ただのヒップ・アタックでは無い。分厚い壁板を砕く驚異のヒップ・アタック「ドンケツ」だった。これが「ドンケツのヒゲン」の「ドンケツ」…。
 スカイは転がって跳ね起きながら動揺した。
 ヒゲンは言った。
「へへっ、逃げ足は早いじゃネェか、ウサギちゃんがよ、ピョンピョンしやがる」
 ヒゲンは両手でウサギの耳の真似をして笑いながら、めり込んだケツを壁から引き抜いて言った。
あのケツには当たれネェ。
 スカイは「ドンケツのヒゲン」を見ながら距離を取った。
ヒゲンは言った。
「ウォリァ殺投術は投げ技主体の格闘技だが、ルールのない実戦では急所攻撃が可能となるため、打撃技を奥伝として型という形で教える。だがワシは、最初から極意技のサミングや金的蹴りを教えるのよ。実戦では投げより打撃が有効だからな」
ヒゲンは鋭い前蹴りをスカイに放った。
 スカイは腕を十字に交差させて受けた。
 いや、スカイが、受けようとするとヒゲンの蹴り足は引っ込められた。