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死闘のツルッペリン街道

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 「良くネェよ。あの「青ゾリ兄弟」の弟はマジで殺しに掛かったぞ。アイツ等は殺し屋だ。もっとカネ出さなきゃ契約違反だ。大体、冒険屋組合に登録している俺達は、大体、この殺し屋相手の護衛の仕事の査定なると一人頭、危険手当込みで五十ネッカー(500万)ぐらいは総額で掛かるんだよ」
 ラメゲは言った。
「うー、かったるいな」
 ラメゲは十本剣を背中に背負って欠伸をした。伸びをして縮んで口を押さえてフラフラとヨタついた。ラメゲのスーツの背中にはアヒルのマークが大きく刺繍されていた。
 ルシルスが歩いてきていた。そして、いきなり転けた。
 ルシルスは言った。
「痛いです」
 ルシルスは転けたままダボダボとした白い神官着の上から膝をさすっていた。
 途端に回りを歩いていた男達が一斉に振り返ってルシルスの前に来て手を差し出した。ちょっと見たことがない異様な光景だった。男達の目は皆血走っていた。
ラメゲは言った。
「ルシルス様に手を出すな」
 ラメゲが、背中に背負った十本剣の中からハンマー・ソードを抜いた。
男達は急に怯えた。
「うわあっ!」
 ラメゲのハンマー・ソードの刃が青白い光を放ち、男達は逃げ出していった。
スカイは言った。
 「何、転けて居るんだよ」
 ルシルスは言った。
 「私はグズでドジでドベですから、直ぐに転んでしまうんです」
 スカイは言った。
 「何か嘘臭ぇよ」
 どうも嘘臭かった。こういう風にウケ取りを狙ってやっているようにしか思えなかった。
バゲットが言った。
 「ルシルスさんの言うことは正しいんだ」
 バゲットが、後ろから、スカイの頭を小突いた。
 スカイはバゲットを見て言った。
 「何、お前も騙されて居るんだよ」
ラバナは言った。
 「そうよ、父さん、幾ら美人だからって、こんな怪しい女に騙されてはダメよ」
マグギャランは血走った目で言った。
 「ふむ、ルシルス。本当に二十八ではなくて14歳なのか」
 ルシルスはジト目で口元を隠して言った。
 「ええ、そうです。私は、14歳です」
 そしてスカイ達は、フラクター帝国銀行ウドル支店へと歩いて行った。結構簡単な物で、あちらこちらに、フラクター帝国銀行ウドル支店への道を示した、看板が立っていて、メイン・ストリートを歩いていくと、スカイ達は、程なく、巨大な真新しい茶色いレンガで立てられた、フラクター帝国銀行ウドル支店へとたどり着いた。ウドルは結構大きな街で、大体人口は十五万人規模らしい。
 スカイ達は、警備のロボットが居る中で回転ドアを潜った。フラクターの水色と青のマントと帽子を被った銀行員達が居た。
 スカイは、金貨の詰まったリュックサックを背中から下ろして前に抱えて言った。
 「よし、マグギャラン、コロン姉ちゃんダンジョン競技で儲けた金を入金するぞ」
 マグギャランも金貨の詰まったリュックサックを背中から下ろして言った。
「うむ、行くぞスカイ、コロン」
女の銀行員が言った。
「いらっしゃいませ。フラター帝国銀行です。どのような取引ですか」
スカイは腰の小物入れから通帳とカードを取り出した。
スカイは言った。
 「はい、普通預金の入金です」
 そしてリュックサックの口を開けて中の金貨を見せた。
マグギャランも言った。
 「こっちも一緒だ」
マグギャランもリュックサックの口を開けて金貨を見せた。
スカイは言った。
 「この2つのリュックサックの中身を全部入金してくれ。九万十八ネッカーと八万六十六ニゼ(90億180万円9万33円)を入金だ。三分の一ずつ三つの口座に分けて入れてくれ」
 マグギャランも通帳を出した。
スカイは言った。
 「コロン姉ちゃんも通帳出せよ」
 コロンは言った。
 「……持ってない」
 コロンは顔を赤くして困ったような顔をしていた。
スカイは言った。
 「しょうがねぇな、身分証明書を出して、今作って置けよ。錬金術士免許が在れば作れるだろう」
 コロンは頷きながら言った。
「……うん」
コロンは赤い財布から錬金術士免許を取りだした。
そしてコロンは、フラクター帝国銀行に、預金口座を作った。そして通帳とカードを受け取った。コロンは赤い財布にカードをしまった。そして、コイン・カウンターと呼ばれるフラクターの機械で、金貨のカウントは終了した。かっきり九万十八ネッカーと八万六十六ニゼ(90億180万円9万33円)あった。
 スカイは言った。
 「よし、マグギャラン。マイリース村の教会の口座に六万ネッカー(60億円)を送金するぞ」
マグギャランは、ゴロジのブランドマークが沢山入った手帳を見せて言った。
 「一応、俺のメモ帳には、マイリース村の教会のフラクター帝国銀行の口座番号は書いてあるのだ。だが、女の銀行口座にカネを振り込む事は、詐欺女に騙されていることだな」
 スカイは言った。
 「まあ、とっとと、やろうぜ、ベルマ親子達が、どんな顔するか見物だぜ」
マグギャランは言った。
 「ふむ、お前のメンツに拘る姿勢は、あまり良いとは思わぬのだが。まあ、マイリース村の美女からキスの一つも貰えるかもしれぬとは思うのだが。キス一つが六万ネッカー(60億円)というのも解せぬ話しだが」
 スカイは女の銀行員に言った。
 「これから、送金を、お願いします」
 スカイは通帳を出して顎でマグギャランを促した。
 マグギャランも頷いた。そして通帳を女の銀行員に渡した。
 マグギャランは拳骨を出して言った。
 「よし!これで借金返済完了だ!」
 スカイもマグギャランと拳骨を打ちあわせて言った。
 「おうよ!」
 長かった、借金生活も無事に終了したようだった。スカイは、どうしてもベルマ親子達には一泡ふかせてやりたかった。マグギャランの奴も、かなり頭に来ていたから、スカイとマグギャランは、国外退去に追い込もうとした、ベルマ親子達に一泡ふかせた事になるのだ。
 スカイは肩をツンツンと叩かれた。
 振り向くとコロンが、長い杖で、スカイの肩を叩いていた、コロンは、右手に杖を持って左手で魔法の呪文書を持っているため、両手が塞がっているのだ。コロンは杖を持っている右手の人差し指で後ろを示した。待ち行列が出来ていた。
スカイは言った。
 「おう、いけねぇや」
 スカイはマグギャランとコロンと一緒に、ラメゲとルシルスとバゲットと、ラバナが座っている待合い席まで歩いていった。
待合い席まで来る途中で声をかけられた。 白いパーマの五十代ぐらいの白い毛皮を着た小太りの女が言った。首には真珠のネックレスが付いている、そして紫色の派手派手なピカピカする服を着ていた。そしてトイ・プードルを連れていた。
 女は言った。
 「あなた達、ダンジョニアン男爵の迷宮競技に出ていたでしょ。ダンジョニアン男爵が発表した、ダンジョン競技中止宣言は本当なの。ダンジョニアン男爵の事だから、また、ジョークだとは思うのだけれど」
 スカイは言った。
 「知らねぇよ」